科学的ヒューマニズムとは 今実用的人間学で推進したいもの
「科学的ヒューマニズムの歴史」 理性への道、ブッタからドーキンスまで P,Dハチョン著2004年 新幹社
この本は、2000年2001年に、この年のカナダとアメリカのヒューマニスト、アソシエーションから表彰を受けた女性の社会科学者であり、教育学者であるハチョンによるものです。 彼女はまた東洋の哲学にも深い知識を持っています。 佐竹はこの本を読むことによって、自分の立場を明確にすることができました。
科学的ヒューマニズムとは、人間が神のような超越的な存在者によって作られたのではなく、自然現象によって作られてきた、という考え方です。
キリスト教やイスラム教では、人間は絶対者である神の手によって作られたものであるとされています。
本の最初に挙げられているのは、紀元前600年のシャカ(ブッダ)についてです。当時の神秘主義的な霊やアニミズムに満ちた考え方に対して、ブッダは、創造主たる神が人間を罰するのではなく、自然の因果の法則によって、出来事が起こると考えました。個人は永久ではなく、死ねば、いってしまったというだけである。また霊など存在しないこと、いろいろな悩みは欲望から生ずるので、欲望をたちきり、正しい生活をしていくことにより、その悩みを断ち切ろうとしました。もちろん、地獄、極楽などを考えて、神のような仏を考え出したのは後世の人で、ブッダの考え方とは全く違いました。ブッダはそういう輪廻の輪から抜け出そうとしたのです。
2番目に書かれているのは、孔子についてです。孔子は、草分け的ヒューマニストとかかれています。もちろん、ブッダと同じように、後世には孔子は神に祭り上げられました。孔子は、霊の存在や、死後の世界については、わからないと、言いました。そして庶民のために現実的な政治を変革するにはどのようにしたらよいかを話しました。
3番目は西暦1年のローマの詩人、ルクレティウスです。彼の考え方はエピクロスの考え方の基本となっているも原子論にもとづく、唯物論的思想で人間が神より大切であるとするヒューマニズムの思想です。
以後、ルネッサンスのヒューマニズム、モンテーニュ、D, ヒューム、、ヘッケル、J、デューイ、シュバイツアー、J、ハックスレー、サルトルとカミュの実存主義、アイザック・アシモフ、カールサガン(セーガン)、H.Oウイルソン、リチャード・ドーキンスなどが具体的な、科学的ヒューマニストとして挙げられている。いずれも、神や超越者を第一に考えず、人間が、自然的に神と関係なく生じたこと、神ではなく人間が最も大切であると考えているという点で共通しています。
カール、セーガンの『科学と悪霊をかたる』(1997年新潮社)や、ドーキンスの『神は妄想である』(2007年早川書房)などは佐竹が大変感銘を受けた本です。ドーキンスの本の帯封には「あのドーキンスがなぜここまでむきになるのか?-非合理、迷信的な思考が幅をきかせる時代に激しい抗議の声を上げる、「脱宗教宣言」とかかれています。
私がこれに付け加えるには、排他的な宗教を徹底的に批判したBラッセルはぜひくわえるべきだとおもうことと、マルクスやエンゲルスなども、本来科学的ヒューマニズム者であることを示すべきではないかと思っています。いずれにしても、私の実用的人間学も、この科学的ヒューマニズムの系譜の中に加えられたいと思っています。
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