民のための政治 ー朝鮮時代と現在の日本、アメリカ
韓国歴史ドラマ 世宗と、世祖について
韓国歴史ドラマの「大王世宗」(86話)と、「イ、サン(世祖大王)77話」も、いよいよ面白くなってきました。ただ、両方とも、BS放送であることと、平日の昼間の時間なので、見ていない方も多いと思います。(追記:2011現在イ サンはNHKの通常放送で放送中です)朝鮮王朝の中で、特にすぐれた王とされる4人の王のうち、三人がこれらのドラマに登場してきます。朝鮮王朝で、もっともすぐれた大王といわれる、4代の世宗と、52年間も在位の21代の王である英祖とその孫の最も愛された王といわれる22代正祖です。
その三人に共通していることは、民が最もたいせつであり、政治はその民のためにあるという、儒教の文治政治の精神に基づいて政治を行っていることです。大王世宗のドラマでは、「一人の民でも大切にし、民を思う心は、天地を超えた」という言葉が出てきます。世宗は三男として生まれ、重臣たちの争いにまきこまれいろいろな苦労を重ねています。英祖は、母親が低い位であったため、若い時には大変苦労します。(2011年現在NHKBS放送で日曜日に英祖の母である同伊(トンイ)が放送中です。)ともかく長い治世の間、民の暮らしを守るということを第一にします。息子の世子(皇太子)を、重臣のたくらみに乗せられ誤って米櫃に入れて殺してしまうという、過ちを犯しますが。次の世子にした孫には、世の中の庶民の暮らしを見せ、その苦労している有様を見せたりしています。正祖も厳しい後継者争いがあり、何回かの暗殺の危機を乗り越えてきました。
ただ、ドラマの「大王世宗」では世子が暴虐で、世子を辞めさせられることになっていますが。歴史上では、父親の太宗が三男の力を評価しかわいがっているのを知って、わざとおかしなふるまいをして、世子を降りたとも言われています。世宗は前にも書きましたが、学問を推奨し、1432年に天文台を作るなど天文学をすすめ、世界最初の雨量計が作られ、文字が読めない庶民のために、ハングル文字を作らせました。これらにより世の中は安定し李朝朝鮮が長く続く基礎を作りました。
英祖と、正祖とで、、実力のある人物を抜擢し、さまざまに、教育、文化、芸術を推奨し、朝鮮王朝のルネッサンスといわれました。この時代の民は、平和で豊かな暮らしを楽しんだのです。ところが、正祖の死後、幼い王が立ち、王太后と外戚が権力を握るようになると、たちまち、民の暮らしはひどいものになりました。
ちょうどこれは、後漢の初期の光武帝から第三代章帝までの世の中と全く同じです。初代の光武帝は早くから父親を亡くし、苦労します。そして民の暮らしを第一に考える政治を行います。元元(民衆のこと)持って首とす(最も大切である)という儒教の精神のもとに政治をおこない、その精神をのちの皇帝たちにも徹底します。また、政治を行う、官吏にも貧しい清廉潔白な人物に行わせます。そして前漢末の混乱によって急減した人口が急速に回復します。そして後代で「建武、永平の治」として、模範的な善政とたたえられたのです。しかし4代和帝の死後、わずか生後100日の幼児を皇帝にし、外戚や宦官が横暴な政治を行うと、人が人を食べるというような時代に戻ってしまいました。
最近の、日本とアメリカの政治の急激な変化は、アメリカの、一握りの大企業や投資家そして政治家が世界を牛耳り、民衆の暮らしを顧みず、ほしいままに自分たちの利益を追求してきました。日本でも、小泉首相の新自由主義に基づく政策のもと、大企業の利益はどんどん上がり、逆に庶民の収入は1世帯当たり、100万円も減ってしまいました。小泉は大マスコミの世論操作も味方にし、「自民党をぶっつぶす」というキャッチフレーズの元、選挙に大勝しましたが。その結果庶民をいじめる政策をやりたい放題でした。あとを継いだ、首相も、何の庶民の苦労も知らぬ、二世、三世議員で、人々の反感を買いました。「おごれるものひさしからず」とは選挙の結果でさんざん言われましたね。その結果、見事に小泉は、自民党をぶっつぶしました。
新たに生まれた、日本の民主党政権、そしてアメリカのオバマ大統領の民主党政権が人々の期待に応え、本当に民を大切にする政治を行うのを大いに期待しています。
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