脂質の高い人は脳卒中になりにくいーちょい太で大丈夫
10月26日の日経新聞朝刊に小さく。「脂質の高い人は脳卒中低リスク」東海大学教授ら発表
という記事が書かれていました。東海大学の大櫛陽一教授らが、25日までに日本脂質栄養学会誌に、「コレステロールや中性脂肪の高い人のほうが脳卒中を起こしにくく、発症した場合も状態が良い」というデータを発表したというのです。同教授はこれまでにも、これらの値が低いほど、死亡率が高いなどの研究結果を発表しました。「(悪玉とされる)LDLコレステロールや中性脂肪も実は善玉なのに、リスクが強調され、無駄な治療がなされている」と、問題視しています。
大櫛陽一氏は『メタボの罠』角川SSC新書や『コレステロールや中性脂肪で薬は飲むな』2008祥伝社などを書いています。『メタボの罠』では「特定健診」でメタボリックシンドロームやその予備軍を見つけるのが狙いだが、著者が診断基準を検証すると、男性の94%、女性の83%が何らかの項目で異常になることが判明し、「健康な人が病人扱いされ、無駄な投薬が増える」と警告しています。医療費を減らすためと言いながら、半数が医療機関の受診をすすめられ、受診料だけで5兆円必要であると分析しています。そして「ややメタボな人」がもっとも長生きするというデータを使い、診断基準の矛盾をついています。
又検査数値は、本当の正常値は5歳単位で違うはずで、若い人も高齢者も、同じ基準ではおかしいと言っています。同じ基準では若年性の糖尿病などが逆に見逃されてしまうそうです。そして総コレステロールでみると、基準値と上限値の間は治療の必要がないのに、220mg/dlでもう高脂血症として投薬開始となってしまいます。ちなみにアメリカでは投薬開始基準は270mg/dlだそうです。腹囲でメタボと判断する基準も日本とアメリカでは全然異なりますし、女性より男性のほうが基準が厳しいのは日本だけだそうです。
私も、コレステロールは正常値ですが、中性脂肪はやや高いということで、長年高血圧の薬と一緒に高脂血症の薬をもらっています。あまり飲まないのでたくさんたまってしまっています。中性脂肪の値は、前日の食べ物で簡単に増減します。私の妻は、コレステロールが高いと健康診断で言われ、私はそんなに高くないのではと言っても、コレステロールが上がるから、卵などはあまり食べないようにするなどと言っています。
そこで、冒頭の、脂質が高い人のほうが、脳卒中が低リスクだという話に戻ります。私はやせ型は、がんになりやすく、高脂血症の太っている人は、脳卒中になりやすいと思っていました。太っている私は、がんにはなりにくいが、脳卒中に気をつけねばと。でも少し違うな、ということです。コレステロールや、中性脂肪の多い食品は、卵類や、魚。肉類などいわばごちそうになる食品が多いのです。コレステロールは血管を形成するには重要なな成分です。高蛋白食品やある程度の脂質は食べすぎなければ、身体にとっては血管や、体の組織を強くするものです。東北地方では、たんぱく質不足で、血管がもろくなり、塩分の多い食品を食べるのと重なり、脳卒中が大変多かったのです。逆に豚肉を多く食べる沖縄の人は、脳卒中もすくないし、寿命も長いのです。血管のしなやかさが若さの秘訣だと言われます。ただ最近の沖縄の若者は、食べ物が乱れ短命になるだろうといわれていますが。
やせている人、又体温の低い人は、がんになりやすいといわれています。太っていると、がんにはなりにくいけれど、脳卒中などの血管性の病気になりやすいと思っていたのですが、それが違うというのです。同じ太っているといっても、体脂肪率の違いがあります。女性などで見た目が、やせていても体脂肪が極めて高いということがあります。筋肉質の人は、体重があっても、本当は太っているとは言いません。私も体重はかなりありますが、胸囲が120センチ以上あり、体脂肪率も上の標準ぎりぎりぐらいなので、それほど太っていないと言ってしまうのですが。でももう少しやせたほうがいいと思います。最近だいぶ肥ってきました。
参考書 『ちょい太でだいじょうぶ』 鎌田 實 集英社文庫
徳川家康は、ふんどしの紐が自分でしめられないほど太っていましたが、よく運動をし、粗食でよく噛んで食べていて、健康そのもので、当時としては長生きでした。私の90歳になる母親も、認知症で施設に入っていますが、かなり太っていて、床に落ちると自分で立ちあがれませんでした。そして健康診断の数値も、だいぶ悪いのですが、施設の食べ物でコントロールされていることもあり元気いっぱいで、長生きしてくれそうです。
やせのほうが、いろいろな面で、病気になりやすく寿命が短くなるにも関わらず、ほとんど問題にしていません。美容のためとして若い女性が標準よりひどく痩せていることは放置されている、というか助長されています。やはり一部の、医師、製薬会社、美容界、ダイエット関連業界などに大きな問題があるように感じます。
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