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2009年11月 4日 (水)

生命の起源について 人間とは何かを考えるために重要

 人間学にとって、「人間とはなにか」ということが、極めて重要な問いかけになりますが、さらに、人間とは何かを知るためにも、「宇宙とは何か」、「生命とは何か」、「知性とはなにか」などを知る必要があります。その本質を探るためには、アリストテレスが言うように、「起源と発展を知るとき、初めてものの本質を知ることができる」わけで、それぞれ、「宇宙の起源」、「生命の起源」、「人類の起源」、「知性の起源」などを知る必要があります。これらは人間の自然科学的側面であり、社会や文化の側面は又極めて重要なものです。

 「生命とは何か」という問いかけには、生きているとはどういうことか、いわゆる「いのち」とはなにか、死んだらどうなるのかといった問題につながっていきます。神がすべての物質と、生物と人間を作ったと、考えるのか。神の存在を一切考えずにそれらのものが自然の発展形態のうちに生じてきたと考えるかで、大きく立場が異なってきます。

 『日経サイエンス』(Scientific American 日本版)の2009年12月号には、「特集『起源』に迫る」、1400円日経サイエンス社、としてさまざまなものの起源について書かれています。そのなかで特に太字で強調されているのが、宇宙、生命、コンピューター、知性でした。面白い内容なので興味ある方はお読みください。

 1、生命は歴史上どのようにとらえられてきたか

1)アリストテレス 自然発生説 (ゴミの中からハエが発生するといった考え方です)

2)キリスト教 聖書の「創世記」 神が万物のもとである アメリカでは、神が作ったということを科学的に説明し、進化論を否定する「創造論科学」が、一定の影響力を持っている

3)東洋では万物に通ずる「気」の働きと捉える

4)生気論か機械論かの論争がつづく デカルトは二元論を主張

5)パスツールの実験 自然発生説の否定 首の長いフラスコの中にスープを入れておいても 腐らないことを示した、バクテリアの自然発生を否定 

6)エンゲルス、生命を「蛋白体の存在様式」と定義する。弁証法的唯物論からの解釈

7)オパーリンの物質進化による生命の起源説(コアセルベート仮説)

8)DNAの発見、遺伝子操作の時代 ヒトゲノムの解明(分子生物学)

 2、生命の特性について

1)入れ物をもっている(細胞膜をもっている)                                            2)自己複製できる 地球上では核酸の存在 (DNA,RNA)                           3)自己維持できる  代謝により、動的平衡状態を保つ エントロピー増大の法則に逆らう物質系である シュレーディンガー                                                            4)進化することができる 米航空宇宙局は化学者のジョイスによる、「ダ―ウイン進化をすることができる自律的な科学システム」を採用

3、生命の起源について(日経サイエンスによります、要約をそのまま記載します)

RNA起源説(RNAができた後にDNAができてきた)                              

1)原子の地球にも存在していた単純な科学物質から遺伝物質であるRNA分子ができるプロセスがわかってきた。                                                 2)RNAによく似た分子を内側に含んだ原始的な細胞が自然に自己組織化して、すべての生命を生み出したという仮説を裏付ける研究もある                                3)完全に自己複製できる生物を実験的に作りだそうと言う研究もおこなわれている。人間の手でもう一度新しい生命体を作り出せれば、生命がどのようにして誕生したのかを理解できるであろう。

深海底での熱水の噴き出し孔には、生命の発生しやすい条件が備わっている

 ヌクレオチドは粘土層の力を借りてヌクレオチドがいくつも重なった、ポリマーとなっていった。粘土から離れたポリマーは、RNAへと変化した。脂肪酸が自然に並んだ膜で袋(原始細胞)の中に水と一緒に包み込まれる。これを「プロトセル」と言うが、これが自分の遺伝物質を複製し始め増殖を始める。この過程は2009年5月に英国マンテェスター大学のサザーランドらによって解明されました。

 「プロトセル」はRNA(リボザイム)の働きで、代謝活動を始め、周りから栄養素を取り入れる さらにアミノ酸から、たんぱく質が作られる。タンパク質は酵素となっていろいろな働きを始める さらに安定した遺伝物質である DNAがつくられる (DNAワールドとなる) ミトコンドリアなどのほかの物質を取り込む そしてついに細菌に似た生物が出現する 

 現在ではこの説が最も有力ではあるが そのほかにも以下の3説などがある

①ペプチド核酸(PNA)起源説 (PNAはRNAより簡単なので最初の生物はこれが起源なのではと  

②代謝起源説 最初の生命はエネルギーを加工する触媒のネットワークとして誕生した 

③パンスペルミア説(宇宙からやってきたという説)隕石の中にアミノ酸が含まれていた、などの発見

など様々な説があります。ほとんどが単なる転記なので、改めて、まとめて書いてみたいと思います。いずれにしても、生命が、物質進化して起きたかどうかで、ずいぶん前に創価学会の幹部と論争したことがあります。物質進化で生命が発生することはないというのです。その当時は、わからないことが大変多かったのですが、最近では、上に示したように、かなり生命の発生のプロセスがわかってきました。人工生命を作るのもそう先ではないように思います。また、火星や木星の衛星エウロパなどに生命が存在している、あるいはしていたかは、大変興味深いところです。いずれにしても生命及び生物が物質進化の過程で生まれたと確信することは、実用的人間学的な考え方の基本であると思います。

                 

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