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2009年12月13日 (日)

うつの人間学(3) TBSからだ 体内時計と冬季うつ

 12月13日(日)の朝のTBS 「からだ 体内時計と冬季うつ」を見ました。日照時間が少ない秋から冬にかけてだけ、症状が出るウツで意外と知られていないということでした。世間で知られていないために、怠けているのだろうとか冷たい目で見られることが多いそうです。この原因は、冬季になって日照時間が少なくなり、目の網膜に届く光の量が減少すると、セロトニンの製造が減少して、うつの症状を起こすということです。

 セロトニンとは、トリプトファンというたんぱく質から体内で合成される化学物質です。セロトニンはヒトを含む動植物に一般に含まれています。人体には10ミリグラムのセロトニンがあってそのうちの90%は小腸の中に存在しています。セロトニンは小腸の中で作られ、消化管の運動に大きな影響を与えています。また8%は血小板の中で大きな役割を果たしています。残りの2%が中枢神経系にあって、人間の精神活動に、大きな役割を果たしているのです。セロトニンが不足すると、うつ病や、神経症などの症状が生じてきます。セロトニン系の薬品はうつ病の治療に用いられています。

 それから、人体には、朝、昼、夜のリズムが、体内時計によって、セットされているのですが、このリズムが崩れると、不眠やいろいろな障害が起きてきます。これもうつ病の病状である不眠、だるさ、イライラのもとになります。その睡眠のリズムを調整しているのが、メラトニンです。メラトニンは脳の松果腺から分泌されるホルモンです。これはセロトニンから作られます。ですから、セロトニンが不足すれば、メラトニンも十分作られません。これが不足すると。睡眠のバランスが崩れ、不眠症となります。またこのホルモンはビタミンEの二倍の抗酸化作用を持っていますので、免疫系に効き、若さの維持、ガン化の抑制などの重要な働きがあります。セロトニンが不足すると、メラトニンも不足しますので、それによる症状はうつの原因になります。

 体内時計のリズムが崩れるといろいろな症状が出てきます。番組では、夜1000ルックス以上の光を浴びるとが、体内時計のリズムをこわしてしまうそうです。夜のコンビニの中の証明は1000ルックス以上だそうです。普段の室内でも、青い光は、暖色系の光に比べ大きな影響を与えるそうです。体内時計のバランスを直すには、朝日をできるだけ浴びること、昼でも少しでも時間があれば外の明るい光を浴びることですが、どうしても不足する場合は、治療として、強い光を浴びる装置を使います。1000ルックスに至らないテレビやパソコンも長時間見続ければ体内時計が狂います。室内で、パソコンに向かい続けていて睡眠も不規則、強い太陽光に当たらない、さらには強いストレスなどが重なれば、うつ病になる要素がすべてそなわってしまいます。

 又番組では、メラトニンが不足してくると、甘いものが食べたくなるそうです。甘いものを食べるとメラトニンが、吸収されやすくなるからだそうです。不眠でイライラして、衝動的に甘いものを食べてしまい、それで肥満がおこり、それが又イライラの原因にもなるという悪循環が生じます。

 うつを治すには、セロトニン、メラトニンが十分出るような生活をすればよいということになります。朝日を浴び、またできるだけ、日中も明るい太陽の光を浴びる。体内時計がきちんと働くように規則正しい生活をして身体を動かして、夜にはきちんと寝る。食べ物の偏りも、うつ病の原因になります。セロトニンは果物や、野菜、特にキノコ類に多く含まれるので、よく食べるようにする。よく身体を動かすなどです。精神的な面もありますがまず身体だけでもそういう方向に向けることが大切です。ただうつ病にかかっていると、家に閉じこもって、部屋も暗くして昼夜逆転など、まったくうつになる生活をしていますから、よほど本人が治そうとする意欲がない限り難しいと言えます。もちろん医師から、抗うつ剤を処方してもらうことが大切です。軽いものは劇的に治ってしまします。

 「今日もいい天気」という、山本おさむさんの漫画が赤旗日曜版に連載されています。その50話は「歩くこと」という題でした。この漫画は東北の山村で生活している本人についてを漫画にしている大変面白い漫画です。                                    公私ともにいろいろなことが重なり、気分があれ、落ち込んでしまったのに、漫画の締め切りに追われなければならない。神経は消耗し酒を飲んで寝るが中なか回復しない、などという生活を繰り返していたら、すっかり本格的なうつ病になってしまったそうです。やる気は起こらないのに首、肩、腰は鉄板のように固くなり、息が切れて駅の階段は上がれず、マンションまでの10分の歩行が遠足のように遠く感じるようになってしまったと。

 漫画を書いて神経が消耗するのは仕方がないが落ち込んでいる心はその心自体を責めて、さらに深い闇に入っていく。そこで、自分の心を見つめるのをやめにして仕事が終わると電車に乗って見知らぬ駅で降りたそうです。人間は心(精神)だけではない、半分は体だ。心が弱っているなら身体に活力を取り戻そう。歩いていてある神社の階段をいきせき切って上がった時、首の後ろのほうに塊、よどんでいた血が音を立てて動いた。身体中から湯気が上がり、30年近く座りっぱなしでよどんでいた身体中の血液が毛細血管の隅々まで流れているのを感じたというのです。いままで、自然があること自分の半分は肉体であること歩くこと汗をかくことを忘れていた。そして、東北の山村では愛犬のコタと散歩を欠かせないというのです。これはうつ病の克服には、大きな示唆が与えられるのではないでしょうか。

 

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