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2010年4月13日 (火)

『ヘンリー五世』 オリヴィエ、プラナー版 二つの映画を見る(その1)

 ふたつの『ヘンリー5世』を比較してみた

 

今日たまたま、『ヘンリー五世』ローレンス・オリヴィエ版の映画を途中からテレビでみて、感想をブログに書くことにしました。「ヘンリー五世」はシェークスピアの有名な戯曲です。むかしからグローブ座などで、上演されてきました。サ―、ローレンス・オリヴィエ版は1945年に作られ、まだ、フランスがドイツ占領下にあったため、イギリスで撮影されたそうです。ローレンス・オリヴィエはこの作品で監督と主演となりました。この、ローレンスオリヴィエ版では、劇場で説明役が話をすすめていくのから始め次第に劇場から出ていくようになっています。ローレンス・オリヴィエは気高くセリフも格調高いし、背景も絢爛豪華です。最後のアジンコート(アジャンクール)の戦いで、イギリス軍は長い戦いで泥に汚れうんぬんと言いながら、服やよろいかぶとやテントはきらびやかで、ピカピカです。そして背景は中世の美しい絵画の景色がそのまま、使われています。いわば、舞台をそのまま広げた感じです。歌舞伎とかと同じように、やけに着ているものがきれいな日本の時代劇映画みたいです。一方の1989年の、ケネス・ブラナーが監督主演した『ヘンリー五世』はがぜん、リアリズムです。ちょうどブラナーは28歳で、当時のヘンリー五世と同じ年でした。そこでのイギリス軍の服装はひどく汚れています。アジンコートの戦闘場面でのぬかるみの中での戦いでは、泥まみれでどちらがかっているかわからないほどです。まさに黒沢映画みたいです。ちなみにこの作品はアカデミー衣装デザイン賞をとっています。

 

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上 この画像は、ケネス・ブラナー版の『ヘンリー五世』のビデオです。上の場面は兵士たちを集め、少数の兵で戦う方が後で大いに名誉になると、鼓舞している場面です。

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上 これはローレンス・オリビア編のビデオです。こちらの兵隊の衣装はきらびやかです。

 ヘンリー五世は、1387年生まれで、まだ、35歳という年齢で、1422年に、急死しました。イギリスの勝利で、老齢のフランス王が死んだ場合にはヘンリー五世がフランス王位も次ぐと決めました。しかし戦いのあとわずか二年で、ヘンリー五世が急死したため、フランス王の方が長生きしました。

 

 さてこの映画の背景を少し見てみましょう。すでに、イギリスとフランスは百年戦争を戦っています。1346年にはクレシ―の戦いがあり、ウエールズの弓兵と歩兵がフランスの重装騎士隊を壊滅しました。1348年にはエドワード黒太子がポアティエの戦いでシャルル2世を捕虜にしました。そのころ1348年の黒死病(ペスト)の大流行でフランスの国力は大きく低下していました。ジャックリーの乱など農民の反乱もありました。当時のフランスは北部のブルゴーニュ公フィリップと、オルレアン公ルイとにわかれてたたかっていました。父王が死ぬまで、飲み仲間のフォルスタッフなどと放蕩をくりかえしていた仲間ときっぱり別れたヘンリーは1413年にヘンリー五世として28歳で即位しました。早速、イギリスの教会の利害も関係し、教会は王にすすめ、フランスの王位継承を要求させます。しかしフランス皇太子の使者に侮辱され、戦いを決意します。このころ他の国ではどうかというと、中国では、明の永楽帝の時代、李朝朝鮮、日本では室町時代といったところです。

 

ヘンリー5世の戦い

 

 1415年にヘンリー5世はノルマンディーに上陸し転戦します。戦いの中で、兵士は減り戦いに疲れています。一方フランス軍は体制を固め決戦を挑みます。それについては諸説あり映画ではフランス軍の新手の6万、イギリス軍4分の1とも、ほかの歴史書ではフランス軍4万、イギリス軍6000人いずれにしても、圧倒的に戦い疲れたイギリス軍不利です。大軍をほこるフランス軍はもうすでに勝った気でいます。

 

 映画では、前夜王が姿を変えて、陣営をまわります。そして有名な、「庶民はぐっすリ眠ることができるが、王はそれができない」と言う言葉をつぶやきます。そして、翌朝、もう少し味方の軍がいればいいのにという兵士の言葉を聞いた国王は皆を集めて言います。

 

「今日は聖クリスピネスの日の前の日である。今ここで王と戦う人たちは、この日になると、本国に帰ってから、そなたたちは王と共に戦って勝利した、といつまでも自慢できるであろう。そしてそれを聞く人はそこにいなかったことを悔やむであろう、そのためには今ここにいる戦士は少ないほうがよい」、と演説します。

 

 それを聞いてみなはいっぺんに奮い立ちます。王「もう応援の兵は期待しないか」。兵士「はい私一人となって戦います」そこでみんな歓声を上げます。ここが劇でも映画でも大きな見せどころで、言葉は重い、感動的な演説はこうでなければならないと、私は思ったものです。

 

 フランス軍はもう勝ったも同然として疲れ切った少数のイギリス軍をなめてかかります。王の身代金を払って降伏しろと言ってきますが。「勝っても得られるのは私の死がいだけだ」と王は拒否します。きれいに着飾った、馬に乗るのに滑車でなければ乗れないような重装備のフランス重装騎士団(オリヴィエ版による)は一斉に突撃を始めます。 (その2に続く)

 

『ヘンリー5世』 2 イギリス軍の長弓 自立した農民兵

 

 http://koiti-ninngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2010/04/post-9fb2.html

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