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2010年5月23日 (日)

日本の薬物問題 恐るべき海外での実態ー新教育人間学部会

自由の森学園の学校カウンセラーである西田隆男先生のお話をもとに書かせていただきました。西田先生は麻薬、薬物からの依存症からの厚生施設、ダルクの埼玉の理事長をしておられます。なお、西田氏は人間学研究所の研究員で、新教育人間学部会でお話ししていただいた内容をここに書かせていただきました。

2007年に文部科学省の児童生徒の薬物に対する意識調査がありました。小6、中3、高3の生徒についてです。結果は薬物は絶対に使うべきではないというのが約90%、使うかどうかは個人の問題というのは3~9%でした。薬物の生涯経験率は、大麻使用でUSAで40%、ドイツ25%、日本では0,96%です。ただし大麻以外のものも含めると26%です。薬物は絶対に使うべきではないという90%のこどもは、ほとんど問題ありません。問題はその他の人々です。

 ヨーロッパでは、大麻を食い止めるのはどうしようもないとあきらめ、エイズの感染防止などのために注射針を配り、闇の世界ではなく表の世界で売るという、ハームリダクションを90年代から行っています。日本ではまだ少ないが、大麻(マリファナ)は簡単に手に入る状態です。海外ではオランダなど「解禁」状態、それは安心神話の流布、ファッション感覚、栽培が容易などにより広がりつつあります。アジアではこの前中国で日本人の麻薬の運び人が死刑になったように厳罰化の傾向があります。中国はゴールデントライアングルや北朝鮮とつながっているために入ってきやすい状況にあるのです。

 オーストラリアの高校生の50%は大麻経験があり、カナダでも高い率となっている。カナダやオーストラリアに子どもを留学させるときにはそういう危険性にも留意する必要があります。ロシア、グルジア出身の相撲取りが、逮捕されたが、この地域ではごく普通に使われていたのです。日本でも覚醒剤(ヒロポン)は戦後の一時期まで薬局で売られていました。コカコーラも、禁止されるまで、成分を隠していてコカインがわずかながら入っていたといいます。

 2008年に不正薬物の押収は覚せい剤、大麻は811キログラム、MDMA(合成麻薬)約136万錠に及んでいます。世界では大麻8423トンが押収されています。最近の主な薬物事件では世田谷区で、月に600万から800万の売り上げが(08,09)麻布、白金、高輪地区で年間2億円の売り上げ、有名大学で大麻がはやっている。芸能界でののりピー事件、J ウオークの中村などのように広く広がっている。ビートルズも大麻をやっていたし、パンクロックなどにLSDなどがつきものになっている状態です。この近くの新大久保の裏の道でも以前は公然と麻薬の売人がいて、取引しているのを佐竹はみております。

 今大きな問題となっているのは、一つにはMDMAのような合成麻薬で、禁止されても、少し分子記号を変えて新しいものが次々に生み出されていることです。また、今一番問題なのは、精神科の医者などが出す、睡眠薬、抗うつ剤、抗不安薬、鎮痛剤などの過剰摂取の問題です。それらの過剰摂取をOD (オーバードーズ、処方箋過量摂取)と言います。一時歌舞伎町など、リタリンなど大量の薬品を出す精神科医がいて問題になりました。

 何のためにODするのか?という問いに対して「気分を変えたい」「死にたい」といい、ODに依存する人にとって薬とは、「(生きづらさの)のお守り」、「いつでも死ねるという安心感のために持っているといいます。アメリカでも従来型の薬物乱用から向精神薬などに移ってきた。せきどめシロップでも一本飲んでしまえば覚せい剤と同じような状況になるのです。

 薬物使用のプロセスは1、初回使用、興味本位での使用 2、機会使用:周囲からの誘い 3、習慣使用:生活に変化 4 乱用:社会的問題を起こす 5、依存症(アディクション):病気、コントロール不能という、プロセスをたどります。

 また今問題なのは、抗うつ薬のプロザックを処方するという、プロザック現象で、化粧品と同等の薬物という感覚でサプリメント式に「幸せになる薬」などとしてさまざまな薬物が入ってくることです。(プロザックは日本では認可されていないのでアメリカでの現象です)難しいのは、うつ病で自殺するよりは、依存症になっても、その薬を処方せざるをえない現実があるからです。日常的に、楽しいことが多い人は薬物に向かわない。また煙草を吸わない人も薬物に行く人は少ないそうです。

 日本の厳しい社会情勢の中で、うつ病や、生きづらさを感じて薬物に走る人が多くなっています。過食症、拒食症、リストカットなど、日本の子どもたちは生きづらさを感じている。そして人間関係も希薄になっているのです。青少年ではそれを克服する方法は人間関係が改善されると治ることが多いといいます。その対策について、いろいろな方法を考えて実行する必要があります。

また、教育により、1、発達段階に応じた縦断的アプローチ、2、教化による横断的アプローチ3、関係機関との連携によるコラボレーションが必要であると西田氏は言っています。しかし薬物についての厚生労働省や文部科学省のパンフレットなどはほとんど活用されていないようです。今後の課題としては、①、薬物を選択しない生き方を示す 2、二次予防教育の充実化 3、今増えている向精神薬依存の問題解決が早急になされる必要があります。 

追記 ;2013年10月の新教育人間学部会で西田先生にお話をしていただきました。

「脱法ハーブの現状と課題」ブログにその内容を書きました。

http://koitininngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2013/10/98.c3da.html

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