人は相手を言葉より、見た目で判断する―「人は見た目が9割」
『人は見た目が9割』(理屈はルックスに勝てない)という竹内一郎氏の本が2005年に新潮選書からだされ、ベストセラーになり現在も売れ続けています。また『あなたは人にどう見られているか』という松本聡子氏という2007年に文春新書から出された本も売れ続けています。古くは1987年の『好き嫌いはイメージで決まる』という南博氏監修のマンガ心理学入門シリーズなど、さまざまな本が出されています。先日の日本人と韓国人の違いという、テレビ放送でも、韓国人は日本人より、見た目にこだわり、その結果男女問わず整形手術する人が大変多いと言っていました。
相手をみたときにまず言葉より、顔を見てだいたいどのような人であるかを判断します。また少し付き合った後でも、表情や、仕草などで、相手を判断します。『人は見た目が9割』という本では、アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は人が他人から受け取る情報(感情や態度など)の割合について次のような実験結果を発表しています。
○顔の表情 55% ○声の質 (高低)大きさ、テンポ 38% ○話す言葉の内容7%
話す言葉の内容がきわめて小さいということです。そのほかに身だしなみや仕草も大きく影響するだろうということです。結局人は能力や性格もひっくるめて「見た目が9割」と言っても差し支えないのではないかといっています。先生から「ひとを外見で判断してはいけない」と教えられたが、それは「ヒトは外見で判断するもの」だからそういう教育が必要だった、ということで「人を外見で判断しても、基本的には問題ない。ごくまれに例外があるのみである」と言っています。
竹内一郎氏は大学の教員を経て著述業でマンガや戯曲を書いている人です。この本ではマンガを使っていろいろな説明がなされています。第2話では仕草について書かれています。前にも書きましたが、言葉や表情に比べ、仕草というのはその人の心の内面を正直に出してしまうという傾向があります。第3話は女の嘘が見破られない理由ということです。 男はうそをついたとき、目をそらすなど、やましい気持ちが目に表れるというのです。すなわち目が落ちつかないということです。ところが女は嘘をついたとき、相手をじっと見つめてとりつくろうとするのだそうです。私自身そういう経験がないので実感がわかないのですが。そういう人もいるのでしょう。妻が夫の嘘を見抜く能力は高く、夫が妻の嘘を見抜く能力は低い、というのは事実でしょう。それは竹内氏によれば、日本の女性の社会的立場が弱かったため相手の心を知る勘が鍛えられたというのです。そしてうるんだ瞳は男に媚びを売り、結婚詐欺師の基本的テクニックだそうです。
以後4話、「マンガの伝達力」、5話「日本人は無口なおしゃべり」6話「色と匂いにでにけり」7話「良い間、悪い間、抜けてる間」では間の重要性が8話「トイレの距離、恋愛の距離」では恋人同士の相手との間とそれぞれの人間関係の度合いによって距離が違ってくるといいます。9話「舞台は人生だ」10話「行儀作法もメッセージ」11話「顔色をうかがおう」と続きます。
「舞台は人生だ」では人間の相性の良さは、「類似性」と「相補性」によるといいます。類似性が相性をよくするのは分かりやすいのですが、ありとあらゆるものでにたものを見つけ出して行くという「何たる偶然」というゲームがあって、お互いの共通点を見つけ出していき同じだと何たる偶然と叫ぶそうです。10個見つかるころにはお互いにうち解けてくるそうです。もう一つは相補性で、相手にないものをお互いに持っているという関係です。お互いに短所と長所を補える関係です。この二つが備わるといいコンビになり、大変いい相性となるというのです。夫婦関係でも自分たちを振り返ってみると、確かに似ているところとまったく正反対なところがあってそれがいいのかもしれないと思います。
最後に竹内氏は次のように言っています。「言葉以外の部分で交流できると、「深くかかわれた」と思えてくる。「深くかかわる」ことの代表選手は恋愛である。恋愛の中で言葉の占める重さは何%程度であろうか。おそらくビジネス・シーンよりはその比率は下がるであろう。ノンバーバル・コミュニケーション力が高いと、たとえ仕事はできなくても、人生を豊かにできるのではないか。書物による知識も大事だが、同じように、巷を見渡すことで習得していく知恵も無視できない」と。
さらに詳しく知りたい方は、直接本をお読みください。松本氏の本の内容は改めて紹介します。
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