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2010年8月26日 (木)

「ホメオパシー」効果がないと、学術会議が談話 プラシーボ効果

 8月26日付の新聞各紙には、24日に日本学術会議の金沢一郎会長の談話として、最近広まっているとされる療法「ホメオパシー」について、「科学的に明確に否定されている。治療に使用することは厳に慎むべき行為である」と発表されたと、かかれました。

 山口県で、昨年助産師が頭蓋内出血防止に有効なビタミンK2シロップの代わりとしてホメオパシーにもとずくもの、いわゆる「レメディー」を服用させた結果、乳児が死亡し、親と助産師の間で損害賠償をもとめる訴訟になったケースがあります。

 談話はホメオパシーは「科学的根拠がなく、荒唐無稽。今のうちに排除しなければ『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」としています。

 ホメオパシーについては、詳しくはインターネットの百科事典であるWikipedediaをご覧になれば詳しく書いてあります。その記事は9ページにわたり、学術会議の声明以後急きょ書かれたものです。それによれば、ホメオパシ-は、「健康な人間に与えたら似た症状を引き起こすであろう物質をある症状を持つ患者にごくわずか与えることにより、体の抵抗力を引き出し、症状を軽減する」という理論である。物質を何度も水で薄めてかくはんし、この水を砂糖だまにしみこませた錠剤(レメディー)を服用すると、自然治癒力が上がり病気を治すというものです。元の物質は水にほとんど残っていないが、実践する人たちは「水が記憶していると」主張しています。ホメオパシーは200年以上前にドイツ人医師が提案した思想をもとにした理論で、今日ではヨーロッパやインドを中心に広がっているということです。イギリスでは特に広がり保険の対象にもなっています。日本でも極一部の医者ががんやうつ病などの患者にレメディーを投与しています。

 日本でも、日本ホメオパシー医学協会の由井寅子氏などがあり、学校を作ったり、徐々に日本で広がりを見せています。その学校で教える内容をみると、錬金術だの、占星術だの怪しげなものまで教科に入っています。由井寅子氏は、200年の歴史があり、病気にきいてきたのだから、否定するのはおかしいと言っています。ただ乳児の死亡以外でもがんの治療をしないでレメディーに頼って死亡したり、いろいろ問題が起きています。

 怪しげな代替療法や外気功や新興宗教やおまじないや、ルルドの泉も、その効果はすべて暗示によるものです。新薬の効果を調べるときには必ず、プラシーボ(偽薬)効果を差し引いてその効き目を確かめなければなりません。逆にいえば、どんなものでも一定の割合で、効果が出てくるということです。それが、おまじないでも、信仰でもニセ薬でも、レメディーでもなんでもいいのです。わらったり泣いたりして、免疫効果があるということも知られています。とくに、精神的な原因で起きた病気では、それが体の具体的な症状が出ていても、近代医学では臓器的には異常がありませんと言われることがあります。最近は精神身体医学や、心療内科が発達してきたのですが、今でも病院を転々としているが治らないという病気があります。そういった人々は、絶対的な権威にすがりたいということがあり、むしろ他の人が怪しげなものと見るものに期待します。キリストも原始のまじない師も確かに一定の割合で病気を治してきました。治った人にとっては感激であり、人に薦めます。だからと言ってそれが、暗示やプラシーボ効果以上の科学的な根拠があるわけではありません。同じプラシーボ効果でも、たとえば権威ある医者があなたは大丈夫と言って効かないはずの薬を渡すのと、新米の医者が同じことを言って、同じものを渡しても効き目はまったく違います。そのあたりから見てプラシーボー偽薬とだけで切り捨てないほうがいいのです。

でも信奉者は何にでも効く万能薬と信じてしまいます。効いた人は万能薬、あるいは万能の神と思ってしまいます。それはきわめて危険です。                            中国の気功の大家でも二つの方向があります。大きな会場で、ある気功の大先生が私が右手をこのように振ったら、みんなの血圧が下がりますと言って、その通りにして測ってみると、みんな血圧が下がります。でもそれは私の超能力ではなくて、暗示の力ですと。でもそのようにいう先生より私はこんな超能力を持っていると神秘的な神様みたいに崇めさせる人が多いのです。テレビ番組でも、気功などで人々を気合だけでばたばたと倒します。でも早稲田大の有名な大槻教授のような暗示がかかりにくい人には全く効きません。私にも効かないでしょう。

 今のところ近代医学が、完全にすべての病を治してくれるわけではなく、不十分さに満ちているために、さまざまな神秘的なものが、存在するのですが。たとえば、信仰心を持った暗示にかかりやすい人などには、たとえばレメディーも人により暗示として劇的に効くこともありますが、暗示の効かない赤ちゃんには、まったく役に立ちません。あくまでも暗示、プラシーボ効果なんだと、そのあたりをしっかり分かっていないで、万能の薬や療法だと思うと、治る病気も治らないでいのちを落とします。科学的な立場をしっかり持って行って怪しげなものに騙されないようにすることが大切だと思います。

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