子どもが問題を起こした時、親子関係にチャンス「心の処方箋」6
「100点以外はだめな時がある」
河合隼雄の「心の処方箋」にはすばらしい言葉が多いのですが。親子関係や他の人間関係において、とても大切なことをここで示しています。いか原文を少し簡略化しながら書いてみます。
会社でいろいろ困難な問題があって疲れきって家に帰ってみると、妻と子供が浮かぬ顔をしている。中学生の子どもが、仲間に誘われて、窃盗をして、母親が学校に呼び出されたという。こういうときが「100点以外の答えはだめ」というときである。こういうときに自分は会社で疲れきっているのだからいい加減にしてくれよと逃げたリ、いい加減に説教してみたり、少しぐらいおこってみたりしてもだめである。こういうときは80点でもだめだし、98点でもだめである。
後から考えて「良かった」とおもうことは、多くの場合、マイナスの形をとってあらわれてくるものである。ピンチ即チャンスである。父親が100点の答えを出せば、それは親子が真に対話する絶好のチャンスである。こんなときに「疲れているし、うるさいことだ、なんとか早く済ませて」などと考えると、もうだめである。このとき、父親がどのようにするべきかという模範解答はない。しかし自分には今100点満点が要求されている。これしかない、という自覚があるかないかで、結果は大いに違ってくる。自分の持っているだけのものを、全力でぶつけてみるのだ。そこには初めて本当の対話が生まれる。家族の対話が必要などと言ってもいつでも、それほどいつもできるわけではない。ピンチ即チャンスを生かしてこそ可能である。そのようなことは仕事の上でもそうであると、河合氏はそう言っています。 しかし、ふだんは100点満点ではなくて、これぞというとき、時々でいいのであると。
このことはとても大切なことです。私の例をみても父親とこども特に息子というものは、普段あまり話をしないものです。息子は、なんとなく父親が煙ったがったり、だらしなくてだめだな、なんて思っているものです。真剣に自分のことを考えているとはとてもおもえないのです。ところが上に書いたような問題がおきたときに父親が真剣に、全力で、どうしようかと考えまた実行してくれているということ、そこで初めて父の、愛を感じるものだと思います。一度父親が自分のことを考えていてくれるという信頼感があれば、次に何か問題に突き当たった時に、父親に相談しようとおもいますね。父親もこのようなことを心がけていれば、何か大きな問題が起きたときにうろたえたり、逃げたりしないで、よーしチャンス到来だ、と思うのとでは全然、対応が違います。それは他の人間関係にも言えることだと思います。
よく、息子や娘が、ぐれたりしてどうしようもない時、母親が包丁をたたみに突き立てて、どうしようもないのなら、いっしょに死のうと迫る場面が映画などでもありますね。それをみて、自分を本当に心配してくれている真剣な母親の姿に、心をうたれ、改心するというのがよくあります。実際はそんなに、映画やドラマのようにはいかないのですが、でもそういう時こそ本当の親の愛が分かり、立ち直ることが多いのです。
学校の先生もそうですね。みんなから、不良だと言われつまはじきにされているものも、先生が真剣に自分のことを思っていると実感した時に、急激に良い方に変わります。みんな好きでぐれたり悪くなっているのではなく、真に愛するもの信頼できるものがいなくて、本当はひどくさびしいのであり、もし本当に愛してくれる、理解してくれる人ができれば人は急激に良くなリます。
あらためて、「100点満点以外はだめな時がある」とこの言葉を、記憶しておくとよいと思います。
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