またまた終末予言 BSTBS マヤの暦とノストラダムス
先週、夜10時にBSTBSで、ノストラダムス、2012年予言のヒストリーとかの番組があった。少し見て、メモをしていましたが、あまりのばかばかしさと、他に見たいものがあるので見るのをやめてしまいました。このような番組を放送することは実にけしからん話なのです。このような番組が好きな人々がいてそうした人たちから視聴率を稼ぎたいのだと思いますが、公共放送として、この手の番組は、あまりいい効果を与えません。なぜかというと、やはりノストラダムスの予言とか称して、1999年7月、恐怖の大王が空から降ってくるという予言をもとにして、オウム真理教や、さまざまな新新宗教などが出て、サリン事件やいろいろな犯罪行為も出てきたからです。皆さんご存じのように、1999年7月には全く何事も起こりませんでした。だいたい、私は「ノストラダムス大予言」の原典すなわち『諸世紀』の訳を持っていますが、(『ノストラダムス大予言原典』ー諸世紀、昭和50年発行たま出版)いわゆる4行詩は、比喩的にいろいろ書いているだけで、具体的に何年何月にこれこれのことが起こるなどということは書いていないのです。そこに書いていることに近い出来事を、歴史上の出来事を解釈して後追いして当てはめているにすぎません。
今回は、ノストラダムスの予言と組み合わせて、「マヤの暦」を前面に押し出しているということです。番組では、欧米の学者?により次々に話をさせて、何々となるのでしょうか?といいつつときどき、断定的にこうなるというのを組み込ませていました。中米に栄えたマヤ文明はその優れた建築技術を持っていたことと、独特な精密な天体観測にもとづいた暦を作ったということで知られます。マヤの暦では2012年の12月で暦が終わっているので、世界が終末を迎えるというのです。そしてマヤの暦の予言とノストラダムスの予言が一致するから今度こそ、地球が滅亡すると。具体的には2012年の12月21日から23日にかけて一つの区切りを迎えるというのです。また一方では滅亡するのではなく新しい太陽の時代を迎えるという説もあります。ノストラダムスも1999年に、人類が滅亡するなどとは書いていません。勝手にそう解釈しただけです。
すでに2012年滅亡説をもとにした映画がたくさん作られています。またそのことを書いた本がいくつも出されています。惑星直列があるときに、世界に大変動が起こるという話もありました。その時私は北海道の見幌峠に行きその頂上から天空をみていました。雲ひとつなく漆黒の空には銀河が美しく見え、人工衛星もいくつか飛んでいるのが見えました。とてもその星空の美しさに感動しましたが、世の中何事も起こりませんでした。
今度は、このときに、銀河系と太陽と、地球の直列があるというのです。2012年の5月20日には関東地方などに金環食があり、太陽、地球、月が一直線になる。それにプレアデス星団までが一直線になるので、何か大きな変化があるのではないかというのです。すなわち、アセンション(上昇とか昇天とかいうそうですが)が起きるのではないかと。ニューエイジとか新興宗教や、もろもろの神秘的なことが好きな人たちが騒いでいるのです。1999年に何もないのに今度こそはというのでしょう。日食月食があるとき常に、太陽月地球は一直線になるのであって別に全然珍しいことはなく、それが何かを引き起こすことも一切ないはずです。
この終末論には、現在起きているさまざまな異常気象を例に挙げて、それらしく説明しています。1998年以降の気温上昇、環境破壊などは終末論を書き立てるにはいい材料です。そして2012年には太陽活動がピークを迎えるので、そこでなにか大きな変動が起きるのではないかというのです。現在の温暖化現象は、二酸化炭素の濃度が上がったせいではなく、太陽の活動周期などいろいろな条件がそろって現在起きていることで、今後長期的にはむしろ太陽の活動が衰え次第に寒冷化するという予測もあります。
今まで26000年に一度起きるという銀河の中心部と地球太陽が直列した時、種の絶滅のような大きな変化が起き、ネアンデルタール人がほろびホモサピエンスに変わったとかいうのです。しかし急に銀河直列が起きてネアンデルタール人が滅びたのではありません。かなり長い間両人類は共存していたようですし混血もしています。
だいたい、2012年12月に、人類が絶滅するのだとか、「ノストラダムスの予言書」には書いていません。だいたい年号など四行詩には入っていないのですから。それらしきものを見つけて、当てはめてみるだけのことです。あと二年後のさきのことですがこのようなテレビ番組、映画書物などでこれからますます騒ぎ立てるに違いありません。そうすると、それに便乗したあやし気な集団がはびこり、そのようなものが好きではまりそうな人が被害を受けなければいいのですが。少なくとも公共放送でまったく非科学的なものを流すべきではありません。 NASAの宇宙生物学者である、デイヴィッド・モリソン氏は2012年の太陽と銀河と地球が直列になるということによる変化は何事もないと明言しています。太陽と銀河系の中心と地球が一直線になるのは2012年よりも1945年のほうがより銀河の中心部分にむいていたと言っています。そうすると今度は、神秘主義の好きな人はその年に原子爆弾が落とされて人類絶滅が現実性を帯びた年だとか言うのでしょうね。
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