不景気の原因は大企業 法人税下げても賃上げ、雇用増加せず
菅政権は、国、地方税をあわせて、法人実行税率を5%引き下げる方針を決めました。すでに私のブログでも、日本の法人実効税率が特別に高いわけではないと書きました。研究開発減税、減価償却を前倒しにできることなどがあり、さらには、社会保険の会社負担比率が低いなどを考えると、特別に高いわけではなかったのです。
法人税減税を積極的に進めてきたのは、経団連です。経団連の会長は今年五月に御手洗キャノン会長から、旧財閥からでは初めての米倉弘昌住友化学会長に変わりました。米倉会長は一貫して、「法人税が高いので円高と相まって日本企業や外資などが、どんどん日本から逃げていくので法人税を下げてほしい」と主張してきました。そして、減税の代わりに菅総理は企業に「設備投資や雇用の拡大など景気上昇に回してほしい」と要請しました。ところが、米倉会長は12月13日に記者団に対して「そういう、資本主義でない考え方を導入されては困る」といい、さらには12月14日には首相官邸で、「そういう要請にお約束するわけにはいかない」とはっきり拒否しました。設備投資や、雇用の拡大のためとして行う法人税減税が、はっきり財界から断られたら、「では法人税減税はいたしません」、と断固いうべきではないでしょうか。法人税を下げても大企業の儲けが膨らむだけで景気は良くなりません。景気が良くなるためには、余ったお金で給与をあげ、雇用を増やし、下請けへの労賃を上げるべきです。そのためには積み上げた社内留保に税をかけるべきです。雇用が上がり、給与が上がれば、国内の需要が高まり急速に景気は良くなります。就職ができない、社会不安などいろいろな問題が、長く続く不景気で高まっています。それが個人個人の心身の不健康や、人間関係の悪化に拍車をかけています。
大企業は、景気が悪いといって、社員数を減らし、給与を下げ、下請けへの支払いを絞り、その結果大きな利益を上げてきました。日経新聞の12月11日の記事では「企業の『カネ余り』一段と題して、2010年9月末時点で、上場1759社を調べた結果、手元資金の総額、無借金会社の数、実質的な無借金会社の数がいずれも00年以降で最高になったと書いています。自己資本比率も最高ランクになっています。この余った手元資金64兆円のお金で円高を生かして海外企業の買収も増えています。大企業が給与を上げず、下請けなどへの支払いを渋っているために、労働者の給与は年々下がりつづけ、それがまた景気の悪化を引き起こしてきました。経団連では、欲深にも、法人税を下げたうえに、毎年1%づつ消費税を上げて、10%にすることを要求しています。今人々の反対が大きいため、民主党政府はためらっていますが、基本的な方針としては消費税増税をすると決めています。
民主党政権は、大企業優先の新自由主義の自民党政府に見切りをつけて、多くの人々が、庶民のための政策を期待して生まれました。しかし、実際に政権をとると、一斉に大企業は民主党にすり寄り、政治献金も民主党にするようになり、思い通りにするようになってきました。一般庶民のためにという政策はどんどん後退し、限りなく自民党寄りになっています。こうなりますと、一般庶民は大きく失望し、その結果20%代という低支持率になります。財界も、本当は、自民党のほうがいいので、結局両方から見放されるということになります。
いろいろなマスコミも、民主党の失政を書きたてます。前にも書きましたが、それでもまだ、民主党のほうがましなのですが、このままでは、選挙をやれば、自民系の政府に変わります。そして今よりもさらに大企業よりの政治が行われ庶民はますます苦しみます。私たちは、大マスコミや、週刊誌などに惑わされないで、自分たち庶民の暮らしが良くなるにはどうしたら良いのか、よく考える必要があると思います。
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コメント
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とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
投稿: 職務経歴書の書き方の見本 | 2010年12月29日 (水) 18時30分