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2011年5月21日 (土)

実用的人間学と統計学 血液型人間学のうそも

血液型人間学

 血液型人間学は相変わらず、人々の間に浸透しているようです。いろいろな話題で、あの人は何何型だからねと、笑いの種にすることに使われます。そうしたときに少数派のB型やAB型が笑われそんをすることになっています。まあ大部分はそうたいした被害をもたらさないのですが、ときに会社経営者や上司、学校教師などが、誤った血液型人間判断により、部下や生徒に対した時に、大きな被害が出ることがあります。これをブラハラ(ブラッド・ハラスメント)という社会差別になります。このことはすでに私のブログにも書きました。

 さて、能見親子血液型人間学では、いろいろな見解のもとになる資料をこれこれ集めたといい、すべて統計学に基づいていると、言っています。血液型性格診断の好きな人は、「血液型は統計学だからね」と縮めていいます」。私自身も何回も聞いています。ようは血液型は統計学に基づいているから科学的で信頼が置けるといいたいのです。ではその統計学とはどのようなものなのでしょうか。私の主張する実用的人間学も参考にしながら書いてみたいと思います。

統計学

 統計学は英語でstatistics といいます。統計に関する研究を行う学問です。これは、いろいろな学問の基本となるもので、アンケートなどによる社会調査や実験データの要約や解釈をおこなううえでの根拠を示します。

 この学問は西洋列強が戦争に明け暮れていたときに、国情の比較研究を行うことから始まりました。また国内の状態がどのようなものであるかを調べるために国政調査なども行うようになりました。アドルフ・ケトラーは1835年に「人間について」という本を出版し、統計学の基本的方法とそれに基づいた研究成果を示して、「近代統計学の父」と呼ばれています。その後応用数学の方法を用いていろいろな統計学の手法が開発されました。平均人を中心にいろいろな人の分布を示す正規分布や学校で偏差値を見るなどいろいろな方法です。

 ただ統計学にはいろいろな難しさがあります。質問紙法では、質問の仕方で、出てくる答えがまるで違ってきてしまいます。また答える人が、正直にそのまま答えるかどうかということもあります。選挙のときなど今の政府を支持しますか、しませんかというアンケートについても、今の支持する政党に近い新聞と、反対している新聞では聴き方が違い、結果に大きな差が出るということがあります。また男性に一週間に何回ぐらい性交をしますかなどという問いに、イタリア人は実際より多めに、日本人は実際よりも少なめに答える傾向があるそうで、出てきたデータでは、実際以上の大きな差が出る傾向があるといわれています。

 また出てきた結果についてその発表の仕方で、まったく正反対の結果を示すことがあります。それは全体の傾向の中から、自分に都合がいい部分だけを取り出すという方法です。いい例が、地球温暖化をしめす、気温変化についてのグラフですが、気温が一直線になっているグラフの先が産業革命の以後急激に上がっているグラフが示されます。人間活動によりに化石燃料が燃やされ、二酸化炭素が多く発生するというグラフと、気温の上昇がぴったり一致しているというのが大きな根拠なのです。ちょうどホッケースティックのような形を示します。ところがその前に二酸化炭素に関係なく、地球の気温が大きく変動しています。中世には世界的に気温はかなり高く、逆にたびたび急な寒冷化があり、小氷期と呼ばれています。これらの変化は人間による活動で二酸化炭素が増減することなどないのです。そういうところはグラフに表さず、都合の良いところだけ抜き出して自分たちの理論の正しさを主張するのです。

 血液型人間学も、一つは統計的に有意であるといわれるだけの資料がないのに、一定の結論を出す方法です。日本の首相にはO型の血液型が多いとか、ホームラン王にはO型が多いなどです。それらを基にしてO型の人は指導力があるとかの結論を出します。ところが最近では血液型O型の首相は少なくなりました。でもこういう結論を出すはずです。O型の首相人をいくらたくさん調査数に加えても意味がありません。(最近の首相ではO 型が特に多いわけではありません)

 このように統計学を悪用して、事実と異なる結果を示して世論を誘導する方法が広く為政者の手によって行われてきました。それも科学的な統計学の方法を使ったのだと称してです。

実用的人間学とカントの「人間学」

 さて「実用的人間学」ですが、WEBやブログで検索すると、一つはカントの『人間学ー実用的見地における』というものと私が書いていることとがほとんどです。今のところ実用的人間学を提唱する人は私以外にあまりいないようです。私が書いているブログにたいしていろいろな批判があるのですが、実用的=プラグマティズムなものなど学問ではないとか、人間学だとか偉そうなことを言っているが、ろくに英語の雑誌や論文などを読んでいないだろうとか言われます。

 私の人間学はカントの 『人間学』の現代版を作ろうと思っています。大哲学者カントに比較して私など取るに足らないものですが、カントの最晩年に書かれた 『人間学』はカントがなくなる直前の大学での講義をまとめたものです。カントの研究者の中では『人間学』は俗っぽく、重要な著作ではないといわれています。しかしながらカントのいろいろな著作や研究は結局、「人間とは何であるか、人間とはいかにあるべきか」という人間学に帰着するとカント自身が言っています。そして、「人間学は世の中で人間がよりよく生きるための知恵のためのものであり、それはまた、単に個人のためだけではなく世界が一つになり戦争がなくなる社会を目指す、世界市民のためのものでなければならないといっています

 戦争のない社会を目指し世界連邦を提唱したカントに、私は大きな尊敬の念を抱いているのです。それに反して後年ドイツなどで提唱されたプレスナーなどの哲学的人間学は当時広がりつつある、マルクス主義に対抗するものとしてもてはやされました。日本でも戦前の一時期、西田哲学などで今流行のといわれるほどはやりました。マルクス主義に対抗し現在の支配者を擁護する考え方です。その系譜は現在も続いています。

 私の実用的人間学はカントの考え方を受け継ぎ、いろいろな思想や学問の成果を自分なりにまとめあげ、提唱しているものです。その中には哲学的人間学の成果もマルクス、エンゲルスの考え方の良いところも受け継ぎます。ともかくいろいろな人間に関しての膨大な知識の中から、わかりやすく全体の世界観、人間観、人生観を作り上げるために役立つものを選び出します。そして各人がよりよい社会の中で生きていく方法についてささやかながらお手伝いできないかということです。

 カントの「人間学」は大変広い分野を扱っていますが私はさらに広い範囲です。私は人間に関してのゼネラリストとして、バランス良く役立つ知識を選び出そうとしています。そしてカントの言うように、戦争と人間性を落としめ、収奪をする社会に反対します。いろいろな為政者側にたって、人々をだます考え方を批判します。このところ盛んに書いている二酸化炭素地球温暖化説や原発問題に関しての批判などもそうです。支配者はよってたかって人々をだまそうとします。統計学はそういうところに悪用されます。みんなが、そのようなうそを見破る科学的にたった考え方になって、そういう科学的批判的見地に立つ人々により作られた政府を作らない限り、本当の人間のそして一人ひとりの幸せは来ないのです。そしてまた一方、後漢初期に、すべての誤った考え方を批判し膨大な書物『論衡』を書いた唯物論哲学者、王充にいくらかでも近づきたいと思っています。

 多くの人生論や人間学は個人のものの考え方のみに限定します。「個人の心持で変わると」、でもそのような考え方は、社会の悪に目をふさぎ、支配者に都合の良い人間を作り出します。しかし現実を直視し、批判的になることはだいたい、実際に生きているときには不利になります。東大の安斎氏(現在立命館大学名誉教授)や京大の小出氏などは原発に反対して何十年も助教(助手)のままでした。学問の世界に限らずすべての分野でそうです。

 それにくらべ、多大なお金を電力会社に出してもらい、さまざまな分野と結び付きお金も名誉も、権力をもち、原発を推進してきた連中(原子力村と呼ばれる)は全く反省していないものが多いのです。世論調査によれば原発が必要かどうかについてもまだ半数は必要だと言っています。さまざまなうそで固めたさまざまなマスコミの影響が大きいのです。日本はドイツなどに比べ本当に悲しくなるくらい、民衆の間に科学的、批判的精神が希薄です。また残念なことに原発反対などを受け止める政党のまとまりがないのです。それは日本人の認識の程度の反映です。

 私は本当にささやかながら、このブログを読んでそうなんだーと思ってくれる人が増えることを期待し、また人間学研究所、実用的人間学研究会などで私の考え方を理解してくれる人がふえることを期待して、実用的人間学を主張していきたいと思います。

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