フォト
無料ブログはココログ

« 養老孟司氏の「さかさま人間学」 社会的観点の不十分さ(280) | トップページ | 菅首相 浜岡原発の停止を要請 正しい判断を支持します »

2011年5月 7日 (土)

御用学者、有馬朗人氏の考え方 「想定外」当然 原発擁護

 2011年5月6日の毎日新聞夕刊に特集ワイドとして、「巨大地震の衝撃 日本よ」として、有馬朗人氏のインタビューを載せられています。有馬氏は、現在81歳、原子核物理学者で、東大学長、自民党政府で、文部大臣、理化学研究所理事長などを歴任し、現在は日本科学技術振興財団会長、武蔵学園学園長などになっている、いわば政府寄りのたちばで、学問の世界に大きな影響力を与えた人物です。

 有馬氏は「スマトラ沖大地震や阪神大震災などがあっても、わたしが浜岡原発を視察したとき、10メートルの砂丘があるから、大丈夫と言われて、これなら大丈夫だろうと思った。一部の研究者が津波の心配をと言っていたが、それを虚心たんかいに聞いて国を動かすくらいにしなければならなかった」といいます。

 「国策に反対する少数意見を排除する動きは無かったのか」、という質問に対して、有馬氏は「それはなかったと思います」と答えています。それはうそで、国策の原発反対をする研究者はことごとく弾圧されたと聞きます。東大では東電の出す研究費で研究するまさに御用学者がたくさんいます。原発に反対し、その危険を言うような人は万年助手に甘んじなければならないということです。東大を離れた立命館大の安斎育郎氏(放射線防護学)もそうでした。ちなみに1964年から1986年まで22年間東大で助手で、1986年に立命館大学の教授になりました。

 有馬氏は言います。「大陸移動説や、DNAなど日常生活から考えられないようなことに取り組むのが科学で、あらゆることがわかる、想定できるなどということはありません。政府や東電がいいわけに、想定外と言ったから批判されたが、自然の外には想定外がたくさんあるんです」と。しかし、福島原発が大地震で電源を失い、大変な事故が起きる可能性があるということは、すでにいろいろな学者が言っていたし、昨年の国会でも追及されています。ですから、政府も東電が「『想定外』のことだから、政府でも大幅に損害賠償をしてくれ」と言ったのにたいして、「その危険性は国会でも追及されているのだから『想定外』では無い。だから全面的に東電に賠償責任がある」と話しています。東電も「想定外」ではなく、その危険性が言われても経済性第一に考えて無視しただけです。有馬氏の言説はそのあたりのことを言わずに、科学には「想定外」があるのが当然だというのは結局、東電や御用学者を擁護しているように聞こえますがいかがでしょうか。

 有馬氏は「私が心配しているのは『地球温暖化』です。日本中の家の屋根に太陽光発電をつけてもまかなえる電力は日本全体の消費量の7%である。二酸化炭素を出す火力発電所が60%、原発が30%、合わせて、90%でこれを風力や水力で代替できますか。~安全で安心な原発を作るしかない。また日本のエネルギー自給率はわずか4%なので、その面でも今ある原発は必要です」といいます。

  これには大きなまやかしがあります。私の「こういちの人間学ブログ」でもいろいろ書いてきましたが、原発が必要な理由として自然エネルギーではだめだという例として、有馬氏は太陽光発電を例にあげています。たしかに太陽光発電はコストもかかり、曇りの多い日本ではあまり効率の良い発電ではありません。一方石原都知事はかわる自然エネルギーがだめな例として、風力発電を上げました。こういうあまり重要でないものを例として対比するのは卑怯なやり方です。

 だいたい、「二酸化炭素地球温暖化説」自体が、気象データを捏造したことがわかった「クライメートゲート事件」(クライムと書いたのは誤りでした。申し訳ありません)いらい、学説としては、世界中の本当の気象学者の多くは支持していません。しかし、原発を推進したい国際勢力は依然としてその説をもとに政策を作っています。日本のマスコミも、「二酸化炭素地球温暖化説」の誤りを知らせていません。ところでこのことを有馬氏は知らないのでしょうか。知っていても言わないだけなのでしょうか。今は東電でも、今まで休んでいる水力、火力発電所を復活させれば、夏のピーク時も多少の節電でやっていけるといっています。以前、柏崎の原発事故のとき、全原発が休止しても大丈夫でした。今天然ガスによる、コンバインドサイクルやコージェネのような大変効率の良い発電が開発され、発電コストが下がり、いわゆる二酸化炭素の排出も少ないものが増えています。各事業所の自家発電の余った電力の供給も受けています。これらの発電能力については石原氏も有馬氏も知らないのでしょうか、知っていて言わないのでしょうか。

 有馬氏はエネルギー問題で、日本が石油が戦前ABCD包囲網により輸入できなくなり、それで日本は戦争を始めたといいます。これは、日本は戦略戦争をしたことが無いとか、戦争の責任はABCD諸国にあるのだとかいう話で、右翼などがよく口にすることです。5月3日付の毎日新聞のコラムでも、養老孟司氏がそのようなことをいい、私が批判のブログをかいたばかりです。何も無いのに意地悪でABCD諸国が石油を禁輸したのではなく、日本が中国への侵略をやめなかったので、それを止めるための処置でした。

 石油は埋蔵量が限られ、二酸化炭素を多く出し、中東に産出が限られるから、原子力をといいたいのでしょう。では日本に原発のウランは産出するのですか。とんでもない、原油と同じように産出国の第一位がカナダに代わるくらいです。有馬氏のいうようにウランを外国から輸入して発電するとエネルギー自給率が高まるのでしょうか。そんなことはないでしょう。いまむしろ天然ガスが今注目を集めています。世界中で広く生産され、とくに今後メタンハイグレードなどで、海底の資源開発すれば日本でも自給できるようになります。

 有馬氏の原発推進の意見は変わらないのか、という意見に対して「変わりません。天災は技術で防ぐしかありません。そして科学の世界の縦割りをなくし共同研究が必要であると」といい切ります。そして「日本人はもっと自信を持とうといいたい」といいます。

 これを読んだ毎日新聞の読者はどのように感じることでしょうか。偉い大先生の言うことだからやはり原発は必要だということになるのでしょうか。でも私が指摘したように、誤った考え方や、一部の側面しか言わないことによって、人に誤った考え方を押しつけることになるのではないでしょうか。

 毎日新聞は私が購読している新聞で4大紙の中でも比較的良心的な記事が多いと思います。昨日発表された、菅総理の東海浜岡原発の停止要請にたいして社説で、「首相の決断を評価する」といっています。しかしもう一つ私が読んでいる、日経新聞では社説では「浜岡原発停止は丁寧な説明が要る」と自民党の主張と同じようなことを書いています。中立的な立場の毎日新聞さんとしては、有馬氏と異なる主張の特集ワイドをぜひ載せてほしいと思います。

« 養老孟司氏の「さかさま人間学」 社会的観点の不十分さ(280) | トップページ | 菅首相 浜岡原発の停止を要請 正しい判断を支持します »

原発、エネルギー問題」カテゴリの記事

コメント

原発ルネのジイさんたちよ!性懲りもなく原発の回春白日夢に耽ってないで、さっさと棺桶に収まったらどうかね。アンタらがエネルギー不足を心配してる(?本心じゃなかろうけど)ことが、この国の子供たちの夢も幸せも、生きることすらも脅かしていることが分からんのか?
それとも、自分の孫っコやひ孫たちは心配ないって!とっくに海外に疎開させてあるから!?

有馬朗人、死ねばいいのに。早く死ねよ老害。
薄汚い金で悪魔に魂を売った人非人。死ねば地獄行きだ。地獄で苦しめ!

あなたは地球の温暖化は二酸化炭素が主たる要因であると思っておられるのでしょうね。私のことを不勉強だといいますが、私は確かに気象学の専門家ではありません。また英語の文献を直接読んでいないから、不勉強となじるのは構いません。あなたはどの程度英文の科学雑誌などを読んでおられるのですか。だいぶお自慢のようですが、英文だけでなく各国の科学雑誌も直接読んでいるのでしょうか。私のやっている人間学全分野の英文雑誌を全部読むなどだれでも物理的に不可能です。
 ただ私は、私の知る範囲での知識に基づいて自分の考え方を変える気はありません。

いちいち細かい反論はしませんが。私が詳しく英文の雑誌を直接読んでいないのは事実です。私の扱う範囲は人間全体で、専門の英文誌を読むだけの力も余裕もありません。あなたはそういうものを英文でいつも読んでおtられるようですね。でも間違いは間違いです。丸山茂徳氏が気象学者でなく、地球惑星科学者であることは知っています。気象学者で二酸化炭素地球温暖化説をとなえるものが一人もいないというので根本順吉氏を上げました。一人もいないというのは少なくとも誤りでしょう。

このブログ記事は、著者が(科学誌のみならず)Time,Economist等の国際的に重要な雑誌さえチェックしていない証拠となっている。政治家が捏造だなんだとギャーギャー騒いでいたのを横目に、これらメディアはさすがに専門家にいち早く取材し、「データが他と一致しているのに捏造なんて話が出てくるほうが全くおかしい」と最初から報じていた。科学誌はもちろん、同様。最初から「捏造の可能性は皆無」と。

Phil Jonesが捏造したのなら、なぜ今研究所の所長なんだ?
韓国のクローン捏造なんか、国外逃亡だぞ

国際誌を常日頃読まず、なにが人間学か。

数日間ほっておいて悪かったが、ほっておいたのはあまりに呆れ返ったからだ
何重にも間違っている

丸山は気象は専門外だ(科学分野の区別もつかないのか!)
アンケートで文言がcrucialであることは常識であり、理系リテラシーに加え文系としても失格である、という認識でよろしいか:
http://blog.livedoor.jp/climatescientists/archives/401015.html
http://www.yasuienv.net/MaruyamaCO2.htm

本が出ていることだけでは証拠にならないのだ。養老が未だに「タバコは肺ガンと関係ない」と著書に書いてることは、科学的コンセンサスがないということにはならない(でないと進化論もUFOも何もコンセンサスがないことになる)

またウィキペディアは本文を読んでも鵜呑みにできるはずないが、巻末に情報源が明記されており、「本当にそう書いてあるか」「偏向・歪曲は無いか」を十二分に精査することができる。ひごろ高水準の情報検索・情報精査をしている者には常識だ。
ひょっとして、豊富な情報源を精査するだけの語学力がないのではないか?科学のまともな情報はみな英語だ。
ただし日本語文献でもあるのだが、論破できるのか?↓
http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/sosho


「人間として」では決してないが、「研究者として」は心の底から軽蔑せざるを得ない。レベルが低い。

だいたいウイキペディアに書いてあるから、それが正しいというものではありません。私を批判するあなたは、どうも、ウイキペディアに書いてあるからと、それをすべてただしいと鵜呑みにしていませんか。情報弱者と私をわらうあなたも情報面で完全ではないのでは無いでしょうか?

気象学者では、以前人間学研究会の会員で今はなくなられた根本順吉氏のお話を何回か例会で聞いておりますが。地球温暖化の原因は二酸化炭素ではなく活発な太陽活動こそ地球温暖化の原因であるというのです。気象学者で一人もいないなどというのは、間違いではないでしょうか。私を不勉強というあなたも不勉強ではないでしょうか。『世紀末の気象』(根本順吉、1992年筑摩書房)を読めば、一人もいないなどとは言えないでしょう。

2008年に日本地球惑星科学連合で、「地球温暖化の真相」というシンポジウムが開かれ、大半の参加者が「CO2温暖化説」を信じないという議論を展開し、21世紀に一方的に温暖化が進むのではなく、むしろ寒冷化による被害が心配されるという議論が主流を占めたといわれています。少なくとも気象学者で温暖化を疑っている人はいませんというのは何を根拠にしているのでしょうか。

クライメートゲートをクライムメートと書いたのは全くの誤りで、すぐに直しました。まずいことですね。またNatureとか読んでいないでしょうとおっしゃいます。 確かに原文を読んでいるわけではありません。ただ気象学者で温暖化を疑っている人はいません。というのは誤りではないでしょうか。(ウイキペディアで、「ユニットメール流出事件」を見るとあなたのおっしゃるようなことが書いてありますね)しかし丸山茂徳氏が「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説は嘘だと知っている」でかいているように、(つづく9

だいたい、crimeとclimateを混同してる時点で、失礼ながらあなたのレベルがわかるですが。
また、Natureとか読んだことないんでしょう。科学誌見ればわかるとおり、気象学の専門家で温暖化を疑っている人はいません。政治家が科学的コンセンサスに挑戦してるのが現状です。
あなたが英語の文献読めないような方と言うことは、ブログを読めばわかるのです。

コメント読んで腹を立てるだけでなく、しっかり勉強して。

アッハッハ なんだよ捏造って
「気候研究ユニットメール流出事件」調べてみろ
「捏造と言ってる方が捏造だった」という正式な調査結果が(しかも複数)でてんだよ
情報弱者だね
捏造なんてあったら研究者は首にきまってるだろ~~Phil Jonesは今でも研究所の所長だよ

おっと。それと原発の是非は別。
間違ったてんはきちんと訂正できないと、「反原発論者は科学を全く知らない情報弱者」と結論されちゃうよ

繰り返すよ。温暖化を理解することと、原発の是非は、別なんだよ。ちゃんと勉強しろよ。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 御用学者、有馬朗人氏の考え方 「想定外」当然 原発擁護:

« 養老孟司氏の「さかさま人間学」 社会的観点の不十分さ(280) | トップページ | 菅首相 浜岡原発の停止を要請 正しい判断を支持します »

2025年4月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近のコメント

最近のトラックバック