『(二酸化炭素温暖化説)懐疑派バスターズ」と槌田 敦氏の名誉棄損裁判
私が6月15日付で書いた「地球の気温に影響を与える要素を順に」というブログにたいして、同じ日にコメントがあり、「ここに全部書いてあるんだよ、情報弱者さん」として、下記のアドレスを書き、英語を読めない人は科学を論ずるのは不可能」、「おまえは騙されているんだ」という内容でした。すでに前のブログにも同じようなコメントがいくつかあり、同じ人物ではないかと思われます。「名無しさん」ですからどんな人かはわかりません。ただ水戸黄門の印籠のように、「こういうものがあるんだ、おそれいろう」という感じですね。
それは http://www.ir3s.u-tokyo.ac.jp/pages/236/all.pdf で、開けて概略を読んでみましたが字が小さく字の色が薄く読みにくいものでした。その内容は、『地球温暖化懐疑論批判』というもので、文部科学省科学技術振興調整費として、国の経費で支払われています。東大のサスティナビリティ学連携研究機構のもと、IR3Sプロジェクトとして住 明正教授名で東大の出版物として無料で発行され、多くの人に配布され、またホームページにも無料で公開されているものです。12名のなざしして批判している人たちに資料をおくって、科学的な議論をしようというものではないのです。
その内容は東北大学の経済学学者明日香壽川教授を中心として、気象研究所、海洋研究開発機構3名、国立環境研究所3名、国立極地研究所そして東京大学として1名の10名の連名の文章です。そこで94ページに及ぶもので、温暖化懐疑論者12名の主張にたいしてそれぞれ批判を加えたものです。その文章にたいして現在、槌田 敦元名城大学教授が、東京大学と東大前総長の小宮山氏などを、名誉棄損で訴えています。そしてその内容は、「CO2温暖化議論を封じ込められた 槌田敦を応援する会」のホームページに詳しくかかれています。http://www.tokyodaigaku.info/saiban 002/news
ここにのっている原告準備書面によれば、この文章の元は初めは明日香氏を中心とする私的グループの印刷物であったが、小宮山 宏氏(東京大学の前総長で、現在は三菱総研理事長で「CO225%削減などで国の重要政策に深くかかわる人物です)が、東京大学総長であったときに東大の住明 正教授に指示してこの本を書かせたといっています。
『地球温暖化論批判』を書いている人たちは、明日香壽川氏が経済学者であり、そのほかの名前が挙がっている人たちは、すべて国立の研究所所員です。また東京大学とされて紹介されている山本政一郎氏はこの本の当時は東京大学の大学院生であり、現在は産業技術総合研究所に所属するということで、裁判では経歴詐称も問題にしています。裁判原告準備書面には、東大の名前で出す出版物に東大の名前の研究者がいないとまずいと思ってのせたのだろうが、ほかの東大の研究者はここに参加していないと言っています。
「地球温暖化懐疑論」者を、1、既存の知見や観測データを誤解あるいは曲解しているから、2、すでに十分に考慮されている事項を、考慮していないと批判する、3、多数の事例・根拠に基づいた議論に対して、少数の事例根拠をもって否定する・・9、三段論法の間違いなどロジックとして誤謬があるまで、9項目にわたって、非難しているが、それは名誉棄損に当たり、またその根拠を明らかにすべきだといっています。詳しくは実際の原告準備文書をお読みください。
いずれにしても、ちょうど原発擁護論者が大学や政府関係の研究機関で要職を占め、反原発論者を抑圧してきたことと同じ構造が、この「地球温暖化懐疑論者」に向けられているように思われます。地球温暖化懐疑論者にたいして、擁護論者は「懐疑派バスター」ととして、懐疑論者の意見を抑圧しようとしています。私の書いたブログにたいして、科学的な見地から、具体的に批判するのではなく、名前を書き間違えた、あるいは英語の論文を読んでいないから、科学を論ずる資格がないなどと、個人攻撃をして、だからこんなものを読まないほうが良いといっています。同じ傾向があるのではないでしょうか。
さて、『地球温暖化懐疑論批判』のすべてを論ずるのは難しいので、その一項目だけを検討してみることにします。資料の議論1、「温暖化、特に温暖化への人為的な影響に関する世界的合意はない」という懐疑論者の意見にたいし、「証拠」と書いたものにたいして批判者の批判が書いてあります。その「証拠3」は、丸山茂徳氏の書名に書いてある「温暖化は科学者の9割が、二酸化炭素が原因ではないと考えている」ということに関して批判を加えています。(p5)書いた人は明日香壽川氏です。それは大会の参加者から聞いた話だとしています。
その批判によれば、
1、地球惑星連合大会は特別セッションの主催者が丸山茂徳氏本人で、彼の考えに近い人物である。
2、前週に日本気象学会の大会があり、参加した気象学者や気候学者は少ない
3、アンケートのきき方が非科学的で一方的だ
4、セッション参加者は200人ほどで、挙手によるアンケートで参加した人は少ない
5、アンケート結果を発表しないと言ったのに発表した
結果は、21世紀は一方的に温暖化するとした人が10人に一人、一方的に寒冷化するといった人は10人に2人、わからないとした人が10人に7人だったそうです。
懐疑論批判者たちはいいます。気象学、気候学者はほとんどすべて、「二酸化炭素地球温暖化説」を支持しているのだ。懐疑論者はほんの少しだといいます。私のブログを批判した人物は、気象学者には一人もいないとまで言いました。私は著名な気象学者の根本順吉氏から直接聞いているし、一人もいないということはないと言いました。それにたいして、大会は丸山氏を支持する学者が多いとか、気象学者はほとんど参加していないはずという憶測とかを述べていますが。いずれにしてもセッションに参加した人が200人もいて、その聞き方がどうのとか言うことはあったにしても、積極的に人為的な二酸化炭素の増加により、(一方的にという言葉がうんぬんというのはあるにせよ)10人に一人しかいなかったということのほうに注目すべきなのです。7割の人がわからないというのは、正しいことなのでしょう。発表しないというのに発表したとかは直接関係ありません。
少なくとも、細かい内容はさておき、「二酸化炭素地球温暖化説」をほとんどすべての学者が支持しているわけではないということが重要なのです。9割と言わずとも半分以上の人は、その説をそのまま支持しているわけではないということが重要なのです。
『地球温暖化懐疑論批判』の著者もほとんどが国立の研究所の所員で大学の研究者ではありません。またほとんどの部分を書いた明日香壽川氏(中華人民共和国出身で、張 壽川)は環境学者、経済学者で東北大学東北アジア研究センター基礎研究部門、中国研究分野教授で、気象学の専門家ではありません。また、中国環境問題研究会代表や海外環境センター理事などをやっています。前にかいたように書いたメンバーはかなり政府寄りの政策を支持する立場で、書いているのではないでしょうか。
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