『人間にとって顔とは』(4)顔の各部と魅力と人相術
日本顔学会 1999年「大顔展」資料から。日本人の顔の過去現在未来の予想がかかれています、特徴はあごが細くなっていうことです。
本書によれば容貌における魅力ということに関しては、外見の魅力は基本的には定量的な特性ではなく、ランキングや評定によって決められます。そしてイギリスやアメリカでは、地域や年齢や階層によって大きな変化は見られず、人々の意見は一致するということです。そして全体の魅力度と顔の各部の相関をみると、口が第一位で、目が第二位でした。またべビーフェイスは魅力度にプラスになりました。
これらは、現代人になるにつれ、やわらかい食物を食べることにより、あごの部分がどんどん縮小行く方向、すなわち小顔を、美しいと感じているようです。徳川家の将軍の骨をさぐっていくと、徳川家康のようながっしりとした顔立ちから、最後の将軍に近づくにつれ、細面であごは小さく、現代人の顔立ちを先取りしたような顔に変化しています。現代の若者たちは、あごが小さく、かむ力も弱く、よく噛まないので、唾液も十分でない状態です。やわらかい食品、ファーストフード、などのバランスの悪い食事をとっている若者が多くなっており、そのためたとえば亜鉛などの微量元素が少なくなり、味覚異常や、精子の数の減少など憂慮すべき事態となっています。これらは、下手をすると、生物学的生命力の減退により、人類の滅亡の方向に進みかけているとも思われます。
さて、顔の各部の魅力度については、カニンガムが研究しているが、この研究はかれによれば。「過去の骨相学と観相学というえせ科学が、科学者に顔についての計測をする気をなくさせたのかもしれない」といっています。
カントの『人間学』という本の中には、「観相術」という項目があり、「人間の内面を外面から判断する方法である」と定義づけています。この「醜悪について」など内容はなかなか面白いことが書いてあります。
さて人相術や手相術ははたしてあたるのでしょうか。私の見解をお話しします。人相術や手相術の多くは洋の東西をとわず占星術などに由来しています。占星術は全く科学的根拠のないものですから、それに基づく人相術、手相術も科学的な根拠はありません。
巷にはたくさんの占い師がいますが、その中には良心的な街のカウンセラーとして、役立っているものも多いのです。占いには人相、手相術のほかに誕生日で運勢を占う、東洋系の四柱推命や気学などと西洋占星術があります。それらも全く科学的根拠はありません。普通はその結果は説明のための方便で、長年人を見てきた経験から、よく話を聞いて適当なアドバイスをするというものが多く、だから長く続くのです。
ただ誤った理論に基づいて、あなたは何歳で大病になるとか、死ぬとか脅かしてみたり、男運が悪いから結婚できないとか言われると、占いの好きな人は暗示にかかりやすいので、それを信じ込んでしまいます。そうするとその暗示によりいわれたとおりになってしまうことがあります。
歴代のローマ皇帝は、占星術によって自分の死期が決められてしまいました。それを信じたものは、さまざまな異常行動を起こして、本当に死んでしまうこともありました。そうすると、占星術があたるものだと、さらに人々に信じ込ませるもとになってしまうのです。
しかし人相術をすべて誤りであると、捨て去ってしまうのは早計です。江戸時代における人相術中興の祖といわれる、水野南北は髪結い3年、風呂場の三助3年、死体処理の「おんぼう」3年と日本人の顔と体を徹底的に調べつくし(科学的態度)、その結果、「事の吉凶はすべて食にあり」ということを発見しました。そして食を慎むこと、と陰徳を積む(心にやましさがなく精神的に安定している)ことによって、顔に現れた凶相も吉相に変化するということを示しました。これは素晴らしい発見であり、真実です。人年の顔や身体(人相)はその人の努力で変えていくことができるのだということです。しかし残念ながら今街の人相術師の人々は顔のあれこれを見るだけで、じっくり食事についてまでアドバイスなどしていないように感じられます。
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