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2011年6月12日 (日)

『人間にとって顔とは何か』(5) 夫婦の間の幸福

私たちは、常日頃、多くの人にあうが、相手がどのような人物であるか早く知る必要があります。私は会社の社長をしていましたが、それは特に必要性がありました。相手の顔を見、その表情を見て声とその話の内容、しぐさなどそれらを総合して判断することによって、相手の人を比較的正しくつかむことができるのです。「男は40歳になったら、自分の顔に責任を持たなければならない」とはリンカーン大統領の言葉です。人間性の内容がしだいに顔に刻まれてくるのです。しかし顔写真だけでは正しい判断はできないということは改めて言っておきます。以前上映された「ブレーブ・ハート」の主演、監督のメル・ギブソンは、配役を決めるオーディションで15分も話せば相手がどのような力量があるかがわかるといっています。

 また医学の面では高橋 良氏の鼻に関する総合研究で、栄養状態と鼻の形、それと性格などの対応がわかってきています。また歯とあごにかんする研究により、顔と歯と性格などについての関連なども研究されてきています。ひとを外面によって正しくはんだんすることは私たちにとって極めて大切な技能であります。今後は総合的な顔の人間学が確立されることによって、それが可能になることでしょう。

 本書によれば、魅力的な妻は幸福であろうか、ということに関して美しい女性は、デートの相手としては好まれるが、妻としては幸福な結婚をしない、と人々はみているといっています。ただ単に顔が美しいというだけで、他の人間的な人間的な魅力を伸ばす努力をおこたれば、あきられてしまうだろうと。そして真に魅力的な、ということは、ふつう我々は顔のみでなく、その人全体をトータルなものとして、魅力的と見るのです。その場合には魅力的な妻は幸福になりうるのではないか。また逆に、幸福な妻は魅力的な妻になる可能性が高いといえましょう。ピ-ターソンとミラーは結婚して40年以上の人は、自分のの配偶者の外見をより魅力的であると、評定するといっています。そこで、グロスとクロフトンの「善なるものは美しい」という考え方がここでも当てはまるのです、とかかれています。

 夫婦の間での幸福は何よりも夫婦の間での人間関係の良さを前提としています。お互いの生活の中で、にこやかな顔をしている状態が顔に刻まれ、誰が見ても、魅力的ないい顔となるのでしょう。しかし若い時に美人であっても、夫婦関係がぎくしゃくしたものであれば、きつい魅力的でない顔に変化してしまうことでしょう。ちょうど白雪姫に出てくる王妃のように。

本書は、人は他人を、意識的、無意識的に「顔」で判断してしまいますが、それらは多くの場合、ステレオタイプによる誤った判断をもたらしていることを示しています。そしてそのステレオタイプを自分が持っているということをまず気付くことが大切である、といっています。

また、多くの社会心理学者の研究が、現実の場面を無視して、つくりものの実験的な研究によって結論を出す事例を多く示しています。また私たちは、社会生物学的な、生物学的決定論にもとづいた誤った考え方や、人間の心、精神面だけをを神秘主義的にとらえる考え方も、人間を正しくとらえることができないといっています。

 私が大学を卒業してから、小原秀雄氏(女子栄養大学名誉教授)とともに人間学研究会を始めて、46年になります。(この文章を最初に書いたのは実は16年前でした)今は人間学研究所を作り、研究活動を続けています。

  人間を正しくとらえるには人間は自然的存在であり、また文化的社会的な存在であり、また自分自身を批判的にとらえ、創造的に変えていく存在でもあるということを総合的にとらえて行くことが大切ではないかと思っております。それらは相互に関連しあっているので、一局面だけをとらえたのでは誤ってしまうことがあります。

私は、総合的で、科学的で、実用的見地に立ち、なおかつカントの言うような、世界市民的な立場の人間学、すなわち「実用的人間学」を作り上げようとしています。それに基づいた総合的な知識と、実践力をもった「人間に関したゼネラリスト」を養成しようとしています。

 いささか我田引水となりましたが、いずれにしても本書がより多くの人々に読まれ、顔に関するステレオタイプの改善に役立てられることを期待してやまないものです。

 *だいぶ前の本で、手に入れられるかどうかわかりませんが、昔書いた文章に少し内容を変えてここに書いてみました。

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