光武帝の善政 (3) もし光武帝なら日本の政治をどうするか
「後漢、光武帝の善政 建武永平の治 現在の日本と比較する」というテーマのブログを(1)、(2)と書いてきました。続けて後漢書に出てくる故事や名言を二回にわたって書いてきました。2009年(平成21年)6月の実用的人間学研究会で私が話した内容を基にしていますが、そこに、もし光武帝が、日本の皇帝(大統領)になったとしたら、今の日本の政治をどのように変えるか、という話をしました。今の日本の首相のような権力基盤が弱くては思い切った改革はできません。
6000万人もいた中国(前漢)の人口が光武帝が即位するまでの23年間の間に1400万人に減少してしまったという、想像を絶する大破壊がありました。それをどのように克服し4代の皇帝の80年間でほぼもとに戻したという善政についてお話ししました。
日本でも、貧富の差が開き、子供の出生数が減少し、うつ病や自殺の増大それに加えて、東日本大震災と原発事故と、規模こそ前漢末の大破壊に比べれば小さいとしても、大多数の人々が大変な苦しみの中にいるということは間違いありません。そこで、もし、光武帝がよみがえって、皇帝(大統領)になったら、日本の現状をどのように変えるのかを、後漢末の光武帝劉秀の政治を基にして考えてみました。
光武帝の政治方針の大前提は「元元を首とする」すなわち、民衆の生活を良くすることが最も大切だという考え方です。そして、民衆を苦しめていた、大豪族や腐敗した官僚と戦いました。ここが、今の日本でいえば、豪族にあたる大企業や官僚がそれにあたります。日本の場合、光武帝の時代と異なり、アメリカの実質的支配を受けているという点が異なります。
1、政府の無駄使いをなくす 政府、地方自治体の幹部の入れ替え
① 公務員の無駄な数を減少し、高級な公務員の給与を下げる ② 議会の定員を減らし、報酬をへらす ③ 天下りのための多くの行政法人をなくす 道路の空洞を調べる機関 技術者いないすべて丸投げ 天下りの理事長は高額収入など 民主党が手をつけるといってやっていない④ 無駄な公共工事をやめる もんじゅなどや核燃料サイクル計画などは最大のムダ ⑤ 民衆を抑圧するようなことをやってきた役人を、清廉な役人に入れ替える。力があるのに反政府的だと抑圧されていたような人物の抜擢
8月18日 追記
光武帝なら『日本中枢の崩壊』(2011年5月、講談社)を書いた経済産業省大臣官房付の古河茂明氏のような人物を抜擢するでしょう。しかし彼の本の272ページに書いてありますが、「ただ寂しいのは、現在は、幹部に良識はと言える人物がほとんどいなくなってしまったことだ。ちなみに私は、官僚の良識派を「絶滅危惧種」と呼んでいる」状態のようです。
2、近隣との友好関係を アメリカからの真の独立
①外交努力により、近隣諸国との友好関係をきづく 軍事費の削減 現在5兆円 ②自衛隊は半数を災害対策などへ 職かきちんと確保する ③アメリカの基地の撤去を要求 基地の土地の有効活用 思いやり予算はなくなる 膨大な金額 アメリカとの対等な交渉
3、庶民の税金は減らす 大金持ち、大企業の優遇税制はなくす
① 消費税を上げない 低所得者にもどすか食品に課税しない ② 証券優遇税制を早くせめてもとに戻す 10%から20%へ 他国30% これに対して、大金持ち、大企業(経団連)などはあらゆる手を使い(暗殺などを含め) 抵抗するだろう。それに対しては断固戦う。光武帝は、税の公平化を進めるために全国的な検地を行ったが、大豪族は反乱を起こしました。 ④ 宗教法人に適正課税
4、所得格差を減少させるための諸政策の実施
①最低賃金を上げる これが最も重要 ②政府で、雇用を増やす努力をする 福祉関係など ③税制を返還し、所得格差をなくす 所得を海外にもっていき税逃れをしない対策を ④農林業、漁業などを保護し発展させ自給率を上げる 庶民の所得が上がれば、購買力が上がり、景気が良くなる 輸出中心から国内消費があがるようにする
5、汚職や利権構造の廃棄、違反者への厳罰
現在は汚職利権構造がひどい。原子力村の人たちがその現状を良く見せてくれた 光武帝は司徒(首相クラス)や郡の太守でも死刑にしました
7、大企業の横暴を抑える
① パート、など様々な、非正規社員との格差の是正 ②下請けへの不当な単価引き下げをさせない ③ 地域商店などと共存共栄できるようにする 地場産業の発展
今多くの問題を引き起こしているのは多国籍企業です。多国籍企業とは全生産高の3分の1以上を、労働力と税金の安い国で生産する企業です。多国籍企業は、その国に規制緩和を求めます。アメリカの多国籍企業を背景としたアメリカ政府は日本に規制緩和を求め小泉元首相がそれを受けて、規制緩和を行いました。世界で6万社の多国籍企業のうち上位100社だけで総売上高の4分の1をしめます。
ただし大企業をやみくもに抑圧しようというものではない。庶民のために役立とうとしている企業は伸ばすべきである 先進的な研究や技術は大企業をもってしないと難しい
8、教育行政の転換 科学技術推進
①教育機会を平等に受ける権利を確保 現状は親の収入が学歴の差を埋めそれが収入の差を作る、 格差の固定化 教育の無償化 ②科学技術への発展にお金をかける 優秀な人材の育成
9、福祉の充実
①低所得者への負担軽減 ②高齢者や幼児に対する配慮を高める ③介護などの人員を増加し所得を確保する
10、東北地方の速やかな復活のための政策と原発からの撤退
これは前回のお話にはなかったことです。光武帝や後漢初期の皇帝派干ばつや洪水の被害に対し、窮民の救済の勅令を何回も出しています。そして途中で、役人が収賄しないように、きちんと速やかに窮民に物が届くように配慮しています。
原発などはドイツと同じようにただちに廃棄宣言をし、段階的に解消していくでしょう。今までウソをついてごまかし、利権を使い利益を受けてきたものに対しては光武帝は厳しく処罰すると思います。原子力村の推進者は一部は反省しましたが、いろいろ脅かして原発を引き続き維持しようとしている人たちがいます。そういうものは厳しい処罰を受けることでしょう。
◎ 光武帝劉秀は、現代の日本においては、自分自身の政策を明らかにし、その政策のもとに団結できる諸勢力を集め、多くの人々に支持を訴え、議会で多数派をとるようにするでしょう。
いかがでしょうか、思いつきでいろいろ書いてみましたが 民主党がいろいろ選挙のマニフェストでやろうとして、結局いろいろな圧力でできなくなっている政策も多いです。問題はアメリカと日本の支配層が警察や軍事力やマスコミを含め、権力を握っているということです。光武帝は共に戦った信頼できる将軍と民衆の支持に支えられ、既存の権力者(大豪族や地方の権力者など)と戦いました。いま光武帝がいたとしたら志を同じくする人たちが団結し力を発揮するようにし、その力でこそ、強大な日本やアメリカの既存の権力と戦うことでしょう。
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