占星術は全く科学的根拠がない 加筆修正版 2019年再追記
占星術とは何でしょう
占星術の本格的なものは、天文学の発達がなければなりたちません。占星術は、西洋では大変はやった時期があって、有名な天文学者である、ケプラーも、占星術で生活費を稼いでいたとも言います。正確なその時間の星空の位置、特に惑星の位置がわからないと、成り立ちません。だから一見とても科学的に見えます。ペンシルロケットで有名な糸川教授なども科学的だとか言ってのめりこみました。
『糸川英夫の細密占星術』 昭和54年5月21 世紀ブックス 主婦と生活社
さて占星術は古代のバビロニアの遊牧民であるカルデア人の間に生まれたといわれます。昔は星が大変よく見えていたでしょうし、砂漠地帯ではなおさらです。私自身も、北海道の見幌峠で見た星空はとても感動的でした。ちょうど惑星直列がある日で、ホテルの人に頼んで見に行きました。周りには一切あかりがなく、天の川も素晴らしくきれいに見え、人工衛星がいくつも動いているのが見つかりました。
また、オーストラリアのポートダグラスのホテルの専用ビーチで見た星空も見事なものでした。明かりが全くなく見事な星空でした。南十字星、偽の南十字星もよく見えました。一緒に行った人も誘ったのですが、旅行中で星空が一番感動的だったそうです。
星占いはいろいろあります
北極星を中心に回る天空その中を、さまざまな動きでめぐる惑星を見ていてそれがなんかしら人間の運命に影響を与えるのかもしれないと考えたのも、無理がないことだと思います。人が生まれた時の、惑星の位置関係で、その人の運勢が決まる、という考え方に基づいた占星術を誕生占星術といいます。
昔は惑星は水星から土星までしか惑星は発見されていませんでした。、あとは月と太陽の位置関係で占います。ところが惑星が次第に発見され、天王星、海王星、冥王星が発見されるとそれを占いの対象に加えていきました。小惑星を加えるものもあります。ところが冥王星が、惑星ではないといわれ、占星術では、混乱が生じています。また12星座をもとにして占うものが大部分ですが、へびつかい座などというのを加えて13星座にした占いも出てきました。これは私が思うに、女性が嫌う、さそり座が13星座では大部分へびつかい座に移行してしまうのです。ちなみに美川憲一の「さそり座の女」は私の持ち歌の一つですが。それはさておき、さそり座の嫌いな人は13星座に移行するでしょう。このように、科学的根拠がない占星術はいろいろな占いとなり、それぞれに違った結論を出します。
『暦と占いの科学』(1982、新潮新書)という永田久氏の本は大変面白い本です。この本は世界各国の暦の歴史とそれに関係した占いについて書いているのです。その中で西洋占星術と、東洋占星術の原理も書かれています。以下その要約をかきます。
古代カルデア人は、見かけ上太陽の動くところ(黄道)の星座を12に分けました。羊を追ってスタートする最も重要な時は春分でした。そこを一年のはじめとして牡羊座とつけました。以下最後のうお座まで12の星座の名前をつけました。これを黄道12星座といいます。ギリシャの天文学者のヒッパルコスが星座に合わせて星空を12等分しました。これを「黄道12宮」といいます。これは中国にも伝わり、日本にも伝わりました。しかし星座の名前は西洋と東洋では違います。
占星術には科学的根拠がありません
上図は見にくいですが、左が地球の歳差運動、右が星座と星占いの12宮の対比
◎2019年11月 より鮮明な画像を加えました。
「道具と人間」中学校プログラム 2004年3月 明治図書の中で 「占いについて」という項目を書いたところです 著者、佐竹幸一から
他に、「人間と顔」、「お風呂に見る道具の変遷」を書きました。
占いの、4番目に「占星術の根拠がない理由」を書きました。
さて2200年前の牡羊座と、占星術の白羊宮か12星座の12宮は一致していました。ところが、地球というのは「歳差運動」といって、とまりかけの駒の首振り運動のような動きをしているため、少しづつ春分点のスタートがずれていきました。そして2200年後の現在では、ほとんどヒトこま動いてしまって、春分点が魚座になってしまっています。そしてさらに、2万8500年たつと元に戻ります。その途中では、北極星は、北極の位置を示さなくなります。下の図がそのことを示しています。
誕生日と黄道12星座
惑星のうち、最も影響のある星は太陽であるとしました。占星術で「白羊宮うまれ」というのは、生まれた日に太陽が白羊宮にあったといういみであるということです。生まれた時に太陽が白羊宮にあったために、白羊宮の性質と運命を一生もっていると解釈するのです。それを現在では「雄羊座生まれ」と言っています。ところが2200年後の現在は実際には太陽は残念ながら、雄羊座にはなかったということになりますね。要はみんな、現在一星座づつづれてしまっていることになります。
それに加えて、
① 12星座を言う人が多いのですが、人により13星座を言う人があります。これは蛇使い座というのを加えるのです。星占いが好きなのは女性が多く、さそり座というのを嫌うのです。その人は13星座にして、さそり座から逃れるのです。
② 惑星もどこまで入れるか、土星までにするのか、冥王星などを入れるのか、抜くのかなど、入れ方はばらばらなのです。もともとの占星術では観測できる土星まででした。ところが天王星、海王星、冥王星が発見されて、それらの星を加えました。その後、冥王星は惑星ではないとなりややこしくなりました。
③ また、星座占いは、日本の場合、明治の初めの時に旧暦から新暦に変わりましたが、占い師により、旧暦に置き換えて占いなおす律儀な人もいましたが、ほとんどがそのまま新暦に変えてしまいました。明治政府の都合で12月の切り替えの時を勝手に変えてしまいました。ですからこのように占う人によってばらばらですから、当然占の結果も違ってきます。朝のテレビ、新聞などによって、同じ星座の人でも全く違う結果も出てきます。皆さんも一度試してみてください。
こうして比較してみて、みんな違うということは、とても科学的根拠があるとは言えませんね。
しかし、それが好きな人は単なるお遊びでやっているのですから、それが非科学的であろうが、関係ないのです。しかしまともに、真剣にとらえて一喜一憂する人もいます。信じ込んでいると暗示を受けてそのようになってしまうこともあるのです。
占いの本はたくさん売れるのですが、それを批判した本などはたいして売れません。占いの需要がある限りそれは絶えないのです。
科学は人によって変わってしまうようなことはありません。いろいろな学者の仮説によって見解が異なることはあります。しかし、どちらかが正しいとわかり定説となります。それも一定の条件の下でどうかということです。例えばニュートンの万有引力の法則は、我々の身の回りで起きる出来事については成り立ちます。しかし、素粒子や宇宙の出来事ではアインシュタインの相対性原理が適用されるのです。
★ この文章は2009年8月に書いたブログに加筆修正したものです。
★ 2019年11月19,20日で2日間で200ほどのアクセスがありました。ブログを見直しまして、少し記事に付加させていただきます。
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