2010北京旅行, 2011山東省旅行で、龍の九子の一人螭首(ちしゅう)と贔屓(ひき)
この写真は2010年7月に北京でとった 「螭首」(ちしゅう)です。
鼻の先がまいていて、ゾウのように長く伸ばせます
★ 2011年11月13日記 2011年11月2日から6日まで山東省の旅行に行ってきました。遅くなったのですがようやく、山東省旅行のブログを書き終えました。ところが、保存する前に確認から他に移ったとたん全部消えてしまいがっかりです。
この下の写真は曲阜の孔子廟でとった「ちしゅう」です
消えたブログでがっくりと来たところですが、気を取り直して、孔子廟にあった、「ちしゅう」と「ひ(い)き」の写真を前のブログにいれて見ました。
この下の写真は2011年11月の山東省旅行での「贔屓(ひき)」です。孔子廟にはたくさんの碑文がありすべて、この「贔屓」にのっていました。亀のように見えますがこれも龍の第一番目の子供です。
北京旅行の中で印象に残ったものの一つは、頣和園や故宮などにあるいろいろな飾り物でした。そのなかで、所々の土台の壁の端々に、何か龍に似ているけれど鼻先が丸くなったものを、これはなんというか知っているかと聞かれました。そして誰もわからず、これは「ぴしゅう」という龍の子どもで、お金が好きでため込むけれど、肛門がなく、たまる一方なので、中国の人はこれが好きなんです、といいました。また、これは排水溝に使われていますと。
日本に戻ってみて、さっそくインターネットで調べてみました。「ピシュウ」ではわからず、龍の子どもで検索すると、出てきました。龍の9子がどのようなものかは資料によって違いました。また正しい名前は螭首(ちしゅう)でした。螭のよびかたは、みずちで、水蛇ともいわれます。ふたつの資料の中には9人の子どもの中にははいっていませんでした。その他としてこの「ちしゅう」と麒麟などが入っていました。ちなみに頤和園には大変珍しい大きな麒麟の青銅像がありました。
さて螭首(chishou/ちしゅう)ですが、大きな口をあけて、たくさんのため込んだ水を吐き出すということで、排水溝の飾りに使われているわけです。上海などの庭園にもあったのかもしれませんが、気づきませんでした。
龍は漢の初代皇帝が龍顔で龍を皇帝の権威としたため、代々龍は王の権威を示した飾り物になってきました。皇帝を表す龍の爪は五本であると知っている方は多いと思います。他にも位により、3本、4本爪の龍があります。
龍について、本格的にのべられたのは後漢の哲学者である、王充の『論衡』です。そこでは『龍虚』篇があり、竜巻が物をこわして天にのぼっていくように見えるがそれは龍ではなく、雲の働きであって、決して龍が天にのぼるわけではないといっています。また、『言毒』篇では辰は竜であり、竜は毒を持ち、巳は蛇であり、蝮は鋭い歯と毒がある。辰巳の方角は東南の暑い方角を示していると言っています。このようなことを文章で書いたのは『論衡』が最初です。
龍生九子について書いてみます。ことわざでは「龍生九子」とは同じ親から生まれても、子どもがそれぞれ違う場合に使われています。さて簡単にどのようなものか書いてみます。龍の9人の子供たちは龍になれなかったといいます。
龍の九人の子供
第一子は贔屓(ひき)です。亀に似ていて、財を多く抱え重いものを支えるのが好きで、石柱などの土台として支えになります。「贔屓(ひいき)の引き倒し」とは土台を引っ張って柱をこわしてしまうところからきています。
第二子は螭吻「りふん」高いところを眺める、鯱鉾のような使われ方をします。ということですが、「ちしゅう」と同じ字で片一方は首フンは口のことですから、私には「ちしゅう」と同じなのではないかと思うのですが。水に関係して、建物を火から守ります。鯱鉾もこれと近い存在です。
第三子は蒲牢「ほろう」で釣鐘の飾りなどに使われます。
第四子は狴犴「へいかん」で、厳格な虎のような顔つきをし、正しいことが好きな龍の子どもです。裁判所など法に関する役所の入り口に置かれます。
第五子は「とうてつ」で、饕餮とかきます。「とう」とはむさぼるという意味です。飲食が大好きで、食べた物を出さないといいます。殷の青銅器には恐ろしいかををした「とうてつ」の紋様が刻み込まれています。これは四凶の一つともされる恐ろしい存在です。
第六子はあと、「ばしゃ」で水を好み亀のような体をし橋の欄干の飾りに使われます。覇下と書きます。
第七子の睚眦「ヤアズ」はともに漢字の読み方は「まなじ」です。相手を睨みつけるという意味があります。攻撃的で戦いに強く魔物を倒す力を持っているからと、刀のつばなどの使われます。風水で魔除けに使われます。
追記 龍生9子の中で、最も強力な力をもっているといわれます。歴代の皇帝もよく軍隊の旗の絵などに使いました。最近、日本でも、魔除けに風水のいろいろなグッズを売るようになっていますが、龍に次いで人気があるようです。2015年3月に横浜中華街に行きましたが、いろいろな風水のグッズを売っているお店に入ってみました。いろいろな、魔除けのストーン類と、9生龍子などの置物も売っています。
ヤアズの風水の置物、今こういうものを買い求める人が、多いようです。
第八子は「すあんに」で人の話をよく聞くおとなしい性質で、火や煙が好きで香炉に使われます。 猊下という高僧をあがめる呼び方はスアンニのアンニから来ています。夋(ケモノへんに、この字をかきますそのあとに猊がつきます。
第九子は「ジョクト」で、椒図と書きます。静かな守り神で、玄関などに飾られます。書物によってその内容は違います。
第三子を嘲風「チョウフウ」と言って鳳凰に似ていてシ―サ―のもとになったものもあります。
中国や日本では、この九生龍子の小さな飾り物を作って、お守りのようにして売り出したりしています。それにしても「チシュウ」をお金をため込んでださないからいいと縁起をかついで、好きだというのは、日本の感覚ではあまり無いように思いますがいかがでしょうか。
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