TPPについて アメリカと財界のためのもので、国民の生活を圧迫するもの
今TPP(環太平洋経済(パートナーシップ)連携協定)についていろいろと資料を読んでいます。「サンデー毎日」の12月4日版では、「飛び交う離党者リスト TPP戦争 米国の『日本再占領計画』」とか「TPPが縮める『寿命』」とか、毎日新聞の論調と同じように、TPPに対して否定的な内容の記事が書かれています。
アメリカにとっては大統領選挙をひかえて、なんとか日本の貿易の門戸を開放させ、それによって現在劣勢なオバマ大統領の再選を目指すという狙いがあります。
日本では、経団連がアメリカへの自動車などの工業製品の輸出がしやすくなるということで、推進しようとしています。一方、農協や、医師会などでは、アメリカの農作物などが大量に流れ込み、日本の農業は壊滅する。また医療の問題でも、自由診療の幅が大きくなり、医療での格差が広がるのではないかという心配もされています。
民主党の中でも、小沢氏とそれに近いグループや山田正彦前農相を中心とする農業関係を支持母体とする議員などは反対しています。毎日新聞11月21日の特集ワイドで、山田正彦氏は、「米国は日本の貿易障壁をなくして輸出を増やし、自国の雇用を増やすとしている。これまで日本が米国との交渉において、勝ったためしがありますか?米国の言いなりになって、この国のカタチは随分、変えられてきた。
例えば、大型店の出店を規制してきた大店法(大規模小売店舗法)の廃止。あれで地方の中心部の商店街はどこもシャッター通りになってしまった。製造業での派遣労働解禁などで、正社員が減り、勤務状態が不安定な非正規雇用者の割合が膨らんだ。~TPPは農業だけでなく21分野にも及ぶんです。」といっています。
また面白いのは11月20日付の新宿区新聞では石原都知事の記者会見の記事として
記者 TPPに反対する理由は?
石原 「たとえば遺伝子組み換え食品については米国は「安全だ」と述べている。その根拠がわからない。現在、食品には遺伝子組み換えの有無を表記し、消費者に判断をゆだねている。米国はその表記を「無くせ」と求めている。日本の食生活の安全を脅かして、米国はそれに見合うギャランティー(保証)をどうするのか。
記者 まずは交渉に参加し、そこで見えてくる内容を基に判断するという意見については?
石原 最初からテーブルに着かないわけにはいかない。ただ外務省は対米追随の腰抜けだから。さらに日本の官庁情報は米国に盗聴されている。日本の手の内は筒抜けの状態で、交渉するのは危険だ。
石原都知事は極めて右翼的な人物ですが、アメリカの言いなりにはならないという姿勢があり、ここで言っていることはもっともなことです。WILLというという雑誌でも1月新年特大号の総力大特集「外交敗北」とTPPで、「TPP賛成派はバカか売国奴」とか「TPPは『日本壊国』宣言だ」などという記事が書かれています。
毎日新聞11月21日の「風知草」で山田孝男氏は、「豆腐から見たTPP」という記事で、「TPP参加で、豆腐のパッケージから「遺伝子組み換え食品」の表示は消えてしまうのかと心配しています。このことはどうなるかわからないではすまない。アメリカは遺伝子組み換え食品の輸出に熱心だ。日本は韓国と並び大豆の消費量が最も多い国である。供給量の94%が輸入で、産地はアメリカが71%でアメリカの大豆の93%が遺伝子組み換えだ。これは強力な除草剤をまいても枯れない品種。自然界に存在しない、人為的に作り出したタンパク質で人体にアレルギー反応を起こす恐れがある。以前公害が発生、死者が出た例もある。こういうものを食べ続けて子孫に影響が出ないのか。」という記事を書いています。
韓国では、韓国与党のハンナラ党が野党の強い抵抗を押し切って米韓自由貿易協定[FTA]の批准同意案を強行採決しました。アメリカは乗用車の輸入に2.5%の関税をかけているが、この協定で5年目から0%に下がる。こうなると韓国の自動車産業は日本よりかなり有利となる。日本でも韓国に負けないためにも早くTPPを成立したいわけである。
アメリカの農業は、政府から多大な補助を受け、遺伝子組み換えをした作物を、大規模生産しています。現在の日本の農作物が、高い関税に守られているのが、撤廃されると、日本の農業は大きな打撃を受けます。政府は、それに対抗するため、大企業が農業に参入することを許可し、大々的な生産を行うことで対抗しようなどとしています。これはすでに他の産業でやってきた独占と集中を農業でも行おうとするものです。
農業だけでなく、医療の面や、保険関係他に様々な分野で、今まで日本が、守ってきた制度を、アメリカの圧力で、アメリカに有利なように変えさせられてしまう可能性があります。野田首相は、もうすでにアメリカで言っていることと、日本で言っていることが違うと指摘されています。国民の命を守れるかどうかの極めて重要な問題が、内容を国民にはっきり提示しないまま、ずるずるとアメリカのペースで、すすめられてしまうのは大きな問題です。このような重要な問題は、衆議院を解散して、TPP参加が良いのかどうかを国民に信を問うべきです。
2012年3月6日追記
『反TPP論』 小林よしのり 2012年2月25日 1500円 幻冬舎
この本はゴーマニズム宣言SPECIALとして書かれたものです。私のブログに対してのコメントでも、TPPはむしろ参加すべきではないかという方もおられます。しかしこの本を読めば、TPPがいかに一般庶民にとって、ひどい害悪をなす可能性があるのか、大変わかりやすく書いてあります。中の説明を読んでいくと、共産党機関紙の赤旗に書いてあることとほとんど同じです。驚きました。もちろん最後に、政治家も官僚も頼りにならないなら、国民自身の手で何とかするしかないと言っています。しかし国を守る最後の手段を、一人の男が教えてくれたということで、不平等条約を推進しようとした大隈重信に対して、爆弾テロを仕掛けた、来島恒喜を称賛しているのは、もちろん私と違いますが、なぜTPPが日本にとって極めて危険なものかについてはわかりやすく書いてあります。TPP賛成と思う方はぜひ一度読んでみてください。
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