オバマ大統領と野田首相の違い オバマは富裕層に増税、野田首相は貧乏人にも消費税
日本では国会が始まり、民主党野田総理の施政方針演説があった。ともかく、消費税増税を何が何でもやり遂げるという決意を語っています。
一方、同じ民主党のアメリカオバマ大統領は1月24日の「一般教書」で、
「年収100万ドルを超える富裕者に少なくとも30%の実効税率を課し、給与所得以外の配当収入やキャピタルゲインに対する課税の抜け穴を防ぐ。また中間層である年収25万ドル未満の世帯については増税を回避する」と演説しました。また、「一部富裕層の驚くべき強欲」を非難しました。
「一握りの人たちが豊かになり、大部分の人たちが苦しむ国になるか、それとも誰もが公平な機会を与えられ、公平な負担をになう社会を取り戻すのか。アメリカの価値が問われている」と。住宅ローンの負担減らしなどの政策も行うといっています。
アメリカの中間所得層は1970年代には50%であったものが2010年には40%に減少し、その多くが貧困層に落ち込みました。この不満が「我々は99%」と叫ぶウオール街占拠運動となりました。
会場には、我々富裕層に課税せよと訴えている、投資家バフェット氏の秘書も招かれていました。バフェット氏は、私の税金の税率は私の秘書の税率より低いのはおかしいといっていたのです。アメリカなどではそれに賛同する「われわれに課税せよ」という富裕者がたくさんいます。残念ながら日本ではそんなことを言う大金持ちを見ていません。
今度の大統領選挙の有力な共和党大統領候補のロムニー氏は、投資会社で多大な利益を得て、優遇課税で15%しか払わず、巨額なお金をため込んだのです。ロムニー氏は投資先の会社の労働者の首切りをしたということで、他の共和党大統領候補から攻撃されています。ところが、日本ではアメリカの15%どころか、証券優遇税制で小泉以後20%を10%にまけてきたのです。そして私のブログにも書いたとおり、こんど、持ち株比率によって一部10%の税率を20%に戻すということを決めても、対象者300名のうち250名もが持ち株比率を下げて、増税を回避しました。その中で、稲盛氏が巨額の税金を”節税”しました。この、証券優遇税制が日本の貧富の差を増大させたのです。
オバマが大統領になったときに本来すぐに変えているべきで、そうすればそんなに貧富の差が開かなかったはずです。それをしなかったことがそれが貧富の差増大とオバマ支持率40%という結果になっています。それでも遅まきながらでも今後変えるといっています。ところが、野田首相はそんなことは、一言も言及しません。それどころか、貧困層に余計負担がかかる、消費税を上げようとしています。
野田首相は、消費税増税の非難をかわすために、公務員の給与を下げようとしています。民間給与が年々下がっているにも関わらず、公務員の給与が下がらなかったからです。一方大企業は、不景気を名目に、給与をさげ、正社員を非正規社員にする、下請けへの支払いを抑えるなどによって膨大な社内留保をしています。そしてさらに、今年の春闘では、定昇もできないと、経団連会長が言っています。だいたい労組自体が民主党の一翼をにない、経営者と同じような立場に立っていますから、経営者のいいなりです。
そして、自動車産業などに見られるように、海外に企業を移し、外国から自社の車を輸入してくるような状態です。たとえば、1月26日の日経新聞を見ると日産は日本市場向けの日産マーチをタイで生産し日本に逆輸入しています。三菱自動車も今秋から、タイで新型小型車の生産を開始するそうです。デジタル家電は輸出より輸入のほうが多くなっているそうです。それらにより日本では2,2兆円の逆輸入が発生しているということです。また円高を背景に次々と海外企業を買収していおます。オバマ大統領は、そういう国内の雇用を増やさない企業には祖税控除をしないといっています。日本ではそういう話もありません。ついに、輸入が輸出をうわまわり、この傾向は続くといいます。こうなると日本もギリシャ危機のような事態にもなりかねません。
ともかく、給与所得の減少によりGDPの基本たる個人消費が伸びず、いままで景気が一向によくなりません。公務員の給与を下げればそれに拍車をかけます。公務員が下がったからといってさらに民間給与を下げようとします。公務員の給与下げて、消費税を上げても、景気が悪化すれば基本的な所得が減りますから所得税も法人税も減ります。大企業は海外に拠点を次々に移し、海外での利益を、日本に納税しないようにします。ですから一向に、日本の財務内容がよくならないことになります。国民の所得や給与を上げて個人消費を上げること、そしてデフレを脱却し、景気が良くなることがなによりも重要なことです。そうなれば自然に税収は上がります。
同じ民主党でも、日本とアメリカではずいぶんと違いますね。
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