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2012年2月22日 (水)

原発問題、毎日新聞対、日経・産経推進派 小林よしのり氏脱原発論

原発を再開させようと、原子力村の人たちは、いろいろな手立てをもって暗躍しています。昨年の暮れに、原発は終息したと野田首相が宣言しました。しかしその後も炉内の温度が上がったとか、漏水があったとかとても終結宣言などできる状態ではないことが明らかになっています。

 さて、私は、3月23日に人間学研究所の新教育人間学部会で原発問題に関して話をすることになっています。2月24日には放射能問題などについて、木村廣子氏に話していただきます。大震災と原発事故があって1年という節目のときにシリーズでお話しをしようということになりました。すでに私は2011年5月19日の第33回実用的人間学研究会例会で「二酸化炭素地球温暖化説と原発問題」というテーマでお話ししました。その時には22ページのかなり詳しいレジュメを作りました。またその後も「こういちの人間学」ブログにもいろいろと書いてきました。その後、10か月が経過して、いろいろ新たなことがわかってきました。それをまとめる事は私にとってもいい勉強になると思います。

 さて、最近はっきりしてきたことは新聞や雑誌の主張が、新聞によりかなり異なってきているということです。元からかなり違いがありますが、私がとっている毎日新聞の論調がかなり反原発になっているということです。一方、これも私がとっている日経新聞はなんとか原発を再開させたいという、政府や財界の意向を酌んだものとなっています。産経新聞はコンビニで売っているのを表題を見る程度ですが、日経新聞をさらに過激にした原発擁護のようです。それから、読売新聞は正力松太郎氏が日本原発の父といわれるような新聞ですから、ずっと原発擁護で一貫しています。新聞が、自分たちの主張を通すために、さまざまなうそを平気で言うということを知らない方は、どうしても影響を受けてしまいます。

 毎日新聞の2月20日の夕刊1面トップには、「脱原発してもードイツ電力輸出超過 再生エネ増、消費減で」という記事がのりました。

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 この記事によりますと、東電福島原発事故後に「脱原発」を決め、国内17基の原発のうち約半数にあたる8基を停止したドイツが昨年、周辺諸国との間で、電力輸入量よりも輸出量が多い輸出過剰になったというのです。脱原発後、いったんは輸入超過に陥ったが昨年10月に“黒字”に転じた。太陽光や再生可能のエネルギーの増加と、全体のエネルギー消費量を抑える「効率化」が回復の要因だという。厳冬の影響もあり、電力不足の7割を原発に頼る原発大国フランスにも輸出している、というのです。そして通年で約4200キロワット/時の輸出超過になったと。

 この記事はどうも他の新聞には大きく報道されていないようです。もちろん日経には書いてありません。昨年のドイツの発電量に占める原発の割合は約22%から18%弱に低下する一方、再生可能エネルギーは約20%に上昇した。さらに褐炭、石炭、ガスなどが微増しており、原発の目減り分を補っていると。一方、日本では再生可能エネルギーによる発電量(10年度)は全体の10%にとどまり、太陽光や風力などの水力以外の新しいエネルギーは約1%に過ぎない。

 以上のような内容です。さんざん原発を減らしたドイツではフランスから電気を輸入しているではないか、やはり原発が無ければダメなんだ、と原発擁護の人達はさんざん言ってきましたが。もう一年目にして、それが嘘だということがわかってしまいました。ですからこんな記事は、日経や産経新聞では絶対に記事にしないでしょう。

 一方、2日後の2月22日の日経新聞朝刊では、「発電、ガス頼みに危うさ」「LNGの死角」在庫3週間 市場の厚み不足」として、イランがホルムズ海峡を封鎖したら、2011年では天然ガスの中東からの輸入に28,1%も占めているので、たちまち電力不足になるであろうといっています。そして三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田氏によればLNGの増加により、大幅に発電コストがかかり、それが電気料金に転嫁されれば、消費税増税と同じく、家計の可処分を目減りさせると、かいています。

 そして、結局発電量の3割を占めた原発がバタバタと止まったひずみがLNG依存に象徴的に表れている。万が一ホルムズ海峡が封鎖されたら、JOGMECの石井氏は「原発再稼働か計画停電を避ける道はない」と話す。「電気事業法の規定を援用し、経済産業相が原発命令を出すしかないのでは」。経産省内ではこんなシナリオもささやかれている。と書いていて、いかにも原発を再開したいという態度が見え見えです。

 三月中にはすべての日本の原子力発電所が止まることになりますが、東京電力ではもともと最初から原発がなくても十分な発電余力があるにも関わらず、原発が無ければ停電するとか脅かしていました。その後天然ガス(LNG)発電機の新規稼働や、省エネ活動、東京電力以外のエネットなどの電気会社の比率増大、各企業の自家発電の増加などにより、東京電力の電気はかなり余るくらいになっています。原発に半分依存する関西電力が夏場に困るとか言いますが、実は他の電気会社からの応援があれば大丈夫なのです。

 天然ガスの輸入が増えて発電コストがかかるといいますが、大量のウラン燃料をもっていて、それが使われないので、お金がかかるというわけなので、いっそのこと原発をすべて廃して、在庫のウラン燃料を外国に売ってしまえばいいのではないでしょうか。ずいぶんため込んでいるのではないでしょうか。一体現在の日本にどのくらいのウランを在庫として持っているのかは、WEBで少し調べた位ではわかりませんでした。価格は一時高騰したが2009年では1ポンド(450グラム)40ドルぐらいという資料がありました。今はどうなのでしょうか。日本の在庫と最近の価格わかる方は教えてください。

 さて、週刊誌のサンデー毎日でも、3月4日号には「東大で起きた原子力村内部批判」というのがトップに出ていて「電気料金値上げの裏 東電議員の利益誘導」などが大きな記事として表紙に出ていて、その原発に対する態度が良くわかります。

 さて、「SAPIO](小学館)の3月14日号(2月14日発売)には、「総検証!地震と原発」が特集され、「小林よしのり『脱原発論』トンデモ説を猛進するカルト保守」という題で15ページにわたってマンガが書かれています。「SAPIO」はかなり、右翼的な雑誌であると認識していたのですが、どうもこの記事を見るかぎりは様変わりしています。

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全体の論調として東京電力の態度を批判し、原発の危険性を様々な角度から書いています。小林よしのり氏はかなり保守というか右翼的なマンガを書いていました。原発事故後は一時原発支持のような態度でしたが途中から論調が変わり、原発批判に転じ、いろいろな雑誌に「脱原発論」を書くようになりました。それに対して、昨年末には「講談社などと小林よしのりを放火する」と神田署に予告電話があリ、2月3日には「SAPIO]に「今日から脱原発のマンガ家を狙う」という脅迫電話があったと、マンガの冒頭に書いています。小林よしのり氏は女系天皇容認とか、嫌韓デモ批判そして脱原発を主張しているため、自称「保守」「愛国者」は小林よしのり氏を攻撃しているようです。

 そして、マンガには次のように書かれています。4年前に「田母神論文」を世に出したアパグループの懸賞論文「真の近現代史観」で、サッポロ医科大学教授、高田純が昨年、最優秀賞を受賞した。タイトルは『福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった』と、現在進行中の福島の事態を「ならなかった」と過去形にしている時点ですでにイカれている。そして高田は「放射線集団ヒステリー日本といい切り」『福島第一原発事故による放射線では誰一人として健康被害を受けない」「そして早急に原発を再稼働させろ」と主張している、と書いています。これを審査委員長の渡部昇一や昨年の委員長の田母神俊雄が大絶賛、産経新聞もWEBニュースでべた褒めだ。もうつくづく、日本の「保守」はカルト一直線になっている。そして具体的な例を上げて、高田の話を批判しています。小林氏は外部被ばくだけではなく内部被ばくが大変である。しかし、事故から1年もたたないのに「一人の健康被害が出ない」と「絶対安全」を唱えるのは「科学」ではない「信仰」であるといいきっています。自称「保守」「愛国者」の言論人、そして某衛星チャンネルやネトウヨの間では原発維持の根拠として「低放射線は身体にいい」という「ホルミシス説」の信仰がはやっているとかいています。そのあまりの非常識にさすがの小林氏も目覚めたのでしょう。

 高田純の論文ではICRP(国際放射線防護委員会)が「100ミリシーベルト以下の被ばくではリスクは確認されていない」という見解を根拠にしているが、ICRPは科学的根拠ではなく政策的な判断をする集団であるとICRP委員らが話していたという。詳しくは直接SAPIOを読んでいただきたいが、ともかく、渡部昇一、田母神俊雄、産経新聞が絶賛する高田純の論文は、放射能何するものぞ、中国、北朝鮮何するものぞ、何も怖くはないぞー、でもアメリカにはいいなりだよ。そして保守を自称しているが実態はアメリカに弱い「名誉白人」それが奴らの正体だといっています。小林よしのり氏はTPPにも反対し「反TPP論」を2月24日に幻冬舎から出すようですが、アメリカへの従属を強めているいわゆる「保守」を厳しく批判しています。もう「保守」なんかいなくなっている!リテラシーがないし、バランス感覚が無いし、いとも簡単に「トンデモ説」を妄信する教団になり果てている!と。「産経新聞」と「右派の雑誌・衛星テレビ」と「ネット右翼」が連結して、国民の大多数の常識から乖離しひたすらカルト化しているというのが実情だ。そしてカルト保守となり、末端信者は脅迫電話をかけてくる始末だと結論付けています。

 私が思うに、これだけのことを書けば、いわゆる頭にきた「カルト保守」の連中が脅迫電話ぐらいすることでしょう。しかし今小林よしのり氏が批判しているものは、いわゆる「保守」だけでなく、野田内閣に代表される今の民主党政権自体がそうなのではないでしょうか。財界と高級官僚とアメリカのいいなりで、消費税増税、TPP推進、原発再稼働を推進しようとしているのですから。

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