大飯原発再稼働をめぐって、毎日新聞山田孝男氏のコメント「学びなき前進」
政府が、16日、関西電力大飯原発3,4号機の再稼働を決めました。それをめぐっては、毎日新聞が2012年6月17日の1面トップの「大飯再稼働へ作業着手」の記事の下に、専門編集委員の山田孝男氏(毎週月曜日に「風知草」を連載しています)の「学びなき前進」を掲載し、原発再稼働を批判しています。また2面トップに「時代の風」で、中西 寛京都大教授の原発再稼働は大丈夫か」と題して「問われる指導者の覚悟」という文章がのせられています。「また社説でも「大飯再稼働決定、脱原発の流れを止めるな」と書いて毎日新聞としての脱原発の姿勢を明確にしています。
一方、同じ日の日本経済新聞では1面トップで、「泊・川内・志賀再稼働候補に」と書き、「保安院8月までに審査」と、そして、福井知事の「原発、重要な電源」と書いていて、原発再稼働に積極的な態度を示しています。
「学びなき前進」山田孝男氏
山田孝男氏の「学びなき前進」では、最初に「学んだことの証はただ一つで、何かが変わることであるーと行ったのは教育哲学者の林竹二(元宮城教育大学長)だ。原発と安全規制の現状を見る限り、政府も原発に携わる実務家も原発事故に何も学んでいない」と書いています。
続いて、「原発の安全を守る行政組織の看板は変わるが、中身が変わる展望はない。今までの原子力安全・保安院と、原子力安全委員会に代わり、「原子力規制委員会」と事務局の原子力規制庁ができる。だが新機関の実力は全くおぼつかない」と書いています。
「大飯は安全」お墨付きを与えた、福井県の原子力安全専門委員会は2カ月ほどで「安全」であると、結論付けたが、その審査をした、12人の委員のうちの半数である6人が、「日本原子力産業協会」から寄付を受けているとのことです。
山田氏の新聞記事の話に戻ります。
「新しい機関が産業界にも政治にも左右されない強力な監視役の技術集団をどう形成するかが重要であるが、その見通しは立っていないばかりか、首相側近議員が「大きく変わらない。中身は同じ」と放言している(東京新聞5月6日朝刊インタビュー)。 新しい原子力政策の対極を決める原子力委員会(内閣府)も変わらない。顔ぶれは原発事故の発生を許した3・11以前とまったく同じ。事故後も、小委員会で核燃料サイクル政策を検討するにあたり、あらかじめ原発推進側関係者のみに報告書案を示し、文言調整していた事実も発覚した」
「絶対安全神話」も変わらない。大飯では「フクシマのような事故は起こさない」と首相が断言した。(8日記者会見)何が起きるかわからぬ以上、軽率な断定はしないという事故直後の反省は忘れられた」
「電力会社を守り、製造業の輸出を支え、関連の雇用を守ろうと焦る政府の下で、「絶対安全神話」への逆行が進んでいる。安全と豊かさをたして2で割ることはできない。学ばず、変わらず、原発依存のアクセルを踏み続けることで豊かさを守れるのか」
「大飯原発は、1年間運転すると、広島型原発にして計2000発分の核分裂生成物質を生み出すという。止めても動かしても危険は同じ、ではない。動かせば、手に負えぬ、核のゴミがどんどん増える。底知れぬリスクと背中合わせの豊かさと知るべきだ」
以上、ほぼ全文の山田孝男氏の記事をのせました。
反原発の人々は、今こそまとまり力を発揮すべきではないか
毎日新聞の社説では、毎日新聞が6月2から3日に実施田全国世論調査では「大飯3,4号機の再稼働を急ぐ必要はない」と答えた人が71%に達した。また「原発が稼働せず、家庭や職場で、電気の使用が制限された場合がまん出来ますか」という問いには77%ができるといっています。できないはわずか19%だそうです。
そもそも、大飯原発では3年後の平成27年までに、ベント設備や、免震棟を作ればよいということになっています。福島の原発事故でも、免震棟があったので、ずいぶん助かったといわれているのですが、大飯原発にはそれが無いのです。3年のうちに作ればいいなんて、ずいぶん悠長なことをいっているわけです。このところ、東日本大震災の後に、地震活動が活発化して、いつまたどこで大地震が起きるかわからない活動期に入ったといわれています。それなのに再稼働を許してしまいました。
今回の原発再稼働には、他の政党も批判しています。6月16日のインターネットでの読売新聞のニュースでは自民党の石原幹事長が「国がしっかりした基準にのっとって、安全をを示し、再稼働したならば再稼働に賛成だが、今回はおかしい」と、公明党の山口代表も「本来ならば原子力規制庁を設定し、新しい安全基準を確立したうえで、再稼働を判断すべきだ」社民党や共産党ももちろん反対です。
毎日新聞でも6月14日の新聞に「大飯再稼働再考を」と民主119人が署名したと書かれていました。小沢元代表や鳩山元首相も含まれています。
エネルギーシフト勉強会には自民党から民主党、公明党、共産党まで、超党派で多くの議員が呼びかけ人になっています。この勉強会にも参加してみましたが、単なる勉強会に終わっている感じがします。しかしどうも、財界や、官僚などの後押しを受けた野田総理の動きに勝てないようです。それは運動がばらばらだからです。
消費税も自民、公明、民主だけで、あげることを合意してしまいました。まるで昔の大政翼賛会みたいです。これに対しては各新聞は決められる政治だと手放しで称賛しています。毎日新聞6月16日の社説では「民自公修正合意」、「決める政治」を評価すると手放しでほめたたえています。このまま小沢勢力を切り離しての自公民大連立に突き進むのではないでしょうか。
自民、公明党は民主党が分裂することを期待していますが、今の民主党は、公約したことのほとんどを放棄して、まったく自民党と変わりありません。ですから支持率は最低です。公約(マニフェスト)と違う政治をしたとすればそれは大きな詐欺行為というものです。自民も民主も社民も共産党も、原発問題、消費税問題、TPP問題で、政党を再編成して、国民の信を問うべきではないでしょうか。
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