経営人間学19 城南信用金庫 吉原毅氏の地域に貢献する仕事と反原発
毎日新聞の8月3日付の夕刊の「特集ワイド」として、城南信用金庫の理事長である、吉原毅氏の話が大きく出ていました。また同じ毎日新聞の8月13日の「風知草」でも山田孝男氏の、「信金理事長の直球」と言う記事がのっていました。
私のブログでも、すでに、城南信用金庫が、極めて早い時期に、反原発、脱原発の意味から城南信用金庫で、東京電力からではなく、今年1月他の電気会社(PPS)であるエネットから、電気を購入するという話を書きました。すでに書いたように、私のビルも早くから東京ガスからではなくエネットから電気をかっています。このような流れが、東京電力離れを進め、今年の夏がかなり暑くなっても、東京電力管内で、原発が稼働しなくとも、電気はかなり余裕があるというということになりました。関西電力でも、原発が稼働しないと、電気が止まってしまうとさんざん脅かしていましたが、実は、原発稼働しなくとも大丈夫だったということがわかってきています。今後さらに自家発電の会社が増え、関西電力以外の電気会社の発電量が多くなればますます、原子力発電が要らなくなることでしょう。
経営人間学として取り上げたのは、城南信用金庫の経営方針が優れているということです。城南信用金庫は、東京都内と神奈川県の一部に85店舗を持つ、信金業界では2位の大手です。その信用金庫の経営方針を決めたのが、故小原鉄五郎・元会長です。その経営方針とは。
1、「お金は麻薬、貸すも親切、貸さぬも親切」
「金融機関は、顧客の採算性や将来性を考えて融資をしなければならない。顧客に過剰に融資するばかりでは、かえって顧客を不幸にする」、というものです。バブルのころ大銀行が、融資を増やしたいために、土地の購入や、ゴルフ会員権の購入を進め、バブルがはじけた後、多くの企業が倒産し、銀行も多額の不良債権を抱えました。
2、「信用金庫は地域を守って地域の人たちの幸せに貢献するための企業。金儲けが目的の銀行になり下がってはいけない」
城南信用金庫は、バブル期にも土地や株式の値上がりを見込んだ投機性の高い事業への融資はせず、痛手を受けなかった。そして、信用金庫(協同組合)も株式会社化して銀行と合併すべきだという流れが強くなったとき、小原は先頭に立って食い止めた。そして、「地域無視、人間不在、効率一辺倒の超資本主義は国を過つ」と説いたといわれます。
このような経営方針の延長線上に、吉原 毅理事長の脱原発への動きがあるのです。
「風知草」では、8月9日でのテレビ朝日の「報道ステーション」で、吉原理事長の、「経団連の加盟企業は自分で原発を買い取って運営できるのか」という話を紹介しています。
「そもそも、銀行が融資に応じるはずがない。最後は国民負担と見越して自分たちにできもしないこと(原発継続)を提言する。それで現実的とは話しがさかさま、無責任きわまりない」と歯に衣きせぬ名調子。「何事も目配り気配りででモノがいいにくい当節まれにに見る直球。それも小兵とはいえ金融機関トップの公式発言だから、インパクトは大きかった」と書かれています。しかし現在経団連始め、経済団体は将来の原子力発電の比率をとか15%ではなく25%以上にすべきと主張しているのですから、驚くべきものがあります。そこには国民を無視して自分たちの利益だけを考える大企業の論理があります。
吉原理事長はいいます。「大事故などを起こしてきた企業の経営者は責任をとって辞任し、ゼロからスタートするのが当然です。だが東電は誰もはっきり責任をとっていない。そんな企業に融資するのは問題だ」東電の勝俣恒久前会長にいたっては、日本原子力発電の社外鳥姉妹役に天下りした。「東電を認めてしまったら私も『同じ考えだ』と思われる。東電と同類と思われたくありません。
理事長は官邸前の反原発デモや代々木の集会にも参加した。しかし野田政権は関西電力大飯原発を再稼働させた。
「国会議員に原発問題を考え直してもらいたいと国民が声をあげているにも関わらず、政府に国会がただしたがっている。国政が全く信頼されていないという危機、民主主義の効きです。このままではこの国のゆくへはわからない」
まだ城南信用金庫に続く、金融機関は出てこない。それでもなお、「脱原発」を企業が宣言した意義は大きいと信じたい。と特集ワイドの記事は締めくくっています。
城南信用金庫とは残念ながら取引がないうえ、私の会社も小さくなってしまったので、何も応援できないのが残念ですが。経営の基本的な考え方として、極めて重要であると思いここにのせることにいたしました。
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