南雲吉則氏の「一日一食健康法について」追記、偏った健康法でなく自分にあったものを探すこと
先日、NHKの「たんけんバグモン」という番組を見ました。それは「アンチエイジングはどこまで可能か」ということで、「一日一食健康法」という、南雲吉則氏の健康法の紹介です。
南雲吉則氏は現在52歳で、脳年齢38歳、骨密度28歳、血管年齢26歳だそうです。見た目が50代なのに30台に見えて若いというのが自慢で、自分の行ってきた健康法を行えば、みんな若返るということで、本もベストセラーになっているようです。(『20歳若く見えるために~実践している100の習慣』、『実年齢より20歳若返る!生活術』など)彼はナグモクリニック総院長で、自分で見つけた健康法を実践した結果、若々しくなったというのです。確かに見た目が若いのですが、若く見えるというだけなら、高須クリニックの院長がボツリヌス菌を使って、息子並みに若く見えるようにしていますからどうにでもなるのでしょうが。彼も整形外科医のようですし。
(2017年3月、ブログを書いた年から4年たっていますので、現在56才ですね。このブログはまだかなりの)アクセスがあります)
NHKテレビで彼が言った健康法は下記のようです、( )は私の意見
1、スポーツをするな 心臓は23億回が限度、厳しい運動をすると寿命をちじめる。散歩程度が良い (これは妥当性はあります。運動のやり過ぎは早死にした義理の弟など見ても良くないように思えます)
2、ごしごし洗うな 石鹸をつけてごしごし洗うと、良くない。皮膚はバリアー。年取ると乾燥皮膚炎になる (油っけが多い若い人には無理です。石鹸で洗わずにはいられません、死んだ父は、ごしごし洗ってしまうと、皮膚がかゆくなるので、あまりこすらないほうがいいよといいました)
3、温めるな 水浴びなど身体を冷やすと逆に体温が上がる。(適度な皮膚への刺激はいいでしょうが、これも年齢により過剰にやるといけません)
4、食べたらすぐ寝る 夜10時から2時までがゴールデンタイム(これは普通の人は現実的には無理でしょう。ただ寝るのが遅すぎる人は体内時計が狂い、不調の元になります)
それからいろいろあるのでしょうが5つのNOというのもあります。
1、煙草をやめる 2、車を運転しない 3、カフェインをとらない 4、スイーツも禁止 5、肉類を食べない
しかしこれについては、niftyで南雲吉則という名で検索すると、5番目くらいにこれをやってみたという人のブログが出てきますが、5日目くらいになるとイライラして、とても続けられないと書いていました。南雲氏のように病院の院長という自由になりやすい人ならいいのでしょうが、サラリーマンで、ストレスが高まるような仕事をしていたらとても続けられないのでしょう。甘いものも全く食べず、コーヒーや紅茶も飲まず、肉も食べないなんて言うのは長続きしません。車も仕事で運転せざるを得ない人はたくさんいますし、無理でしょうね。
ほかに、インターネットで最初に出てくる南雲氏に関するWEBでは健康法が書いてあります。
南雲氏は「夕食のみの一日一食」が基本と
1、朝起きたら牛蒡茶を飲む、2、野菜は火を通して食べる 3、野菜は全体を食べる 4、魚は全食する 5、糖分、塩分、脂肪分を控える 6、肉を食べない 7、お菓子を食べない 8、カフェインをとらない 9、喫煙者に近寄らない 10、 紫外線をさける 11、毎日30分の運動 12、10時から2時を熟睡するなどです。13、カロリーよりアミノ酸を大切に
(ごぼう茶の宣伝を南雲氏は、やっています)
それにしても、このサイトの左側に、60もの健康法が出ていてびっくりです。ピタゴラス方式から始まりヒポクラテス方式、以後続きます。これだけまとめてあるのも驚きですが、それぞれに共通点もあるでしょうが、正反対のことも言っているのではないでしょうか。
ともかく、自分の以前は太っていて成人病もあったが、一日一食で、上記の健康法を実践したら、やせて、若々しくなったというのです。それぞれその通りだというものと、これは行き過ぎだというものがあります。太りすぎたのを戻すためにショック療法として、一時的に行うのなら可能です。
「こういちの人間学ブログ」でも、健康法についていままで24ほど書いてきました。唾液健康法と歯の重要性、笑いと心と免疫力の関係、血のめぐりの良さが重要、性ホルモンが若さの秘訣などなどです。これは自分自身で、よいと思ったことを書きましたが、あまり偏ったことは書いておりません。
大切なことは、人には様々なタイプがあって、同じ健康法がある人には良くてもある人には害になることが多いのです。ともかく、人体や食物などについての勉強をして、あまり偏ったものはこれはおかしいと思う判断力が必要だと思います。私の実用的人間学も人間全体について幅広い、科学的な知識を身につけて、誤った選択をしないようにするためのものです。
だいたい、私の曽祖母は99歳まで生きました。祖母は98歳まで生きました。祖父は87歳で少し早かったのですが、煙草はよく吸う、熱燗を毎日飲むということで食道がんになり死にました。でも当時としては長生きのほうです。父は92歳で死にましたが、家の中で転倒して頭を打ってなくなりましたのでその事故が無ければ、もっと長生きでしょう。90歳まで私と一緒に歌舞伎町のクラブに行くのを楽しみにしていたほど元気でした。母は現在93歳で、認知症ですがまだまだ元気です。みんな何か特別の健康法などやらずに普通に生きて来たと思います。(母はその後96才で死去しました)
南雲吉則氏の本などの健康法がはやるのは、現代社会が、グローバリズムと新自由主義の政治や経済の中で、心身ともに擦り減らされているからです。みんなどこか体調が悪いのです。精神的なストレスが身体に大きく影響します。世の中全体が弱いものいじめをしている社会です。それで体調が悪くわらをもすがる思いで、なにかやってみようというのでしょう。でも南雲氏の健康法は、人によりかえって健康を損なう事になるでしょう。前に書いたようにやってみたけれど1週間と続かないようなものではだめなのです。
『50歳を超えても30代に見える生き方』講談社の新書、を読みました。表紙の帯封に36万部突破と書いてあります。
もう一つ若々しく見えてということを売り物にしている新谷弘実氏の『病気にならない生き方』などもあります。1935年生まれですが、確かに若々しく見え、大腸内視鏡法を確立し、食物をバランスよくとる、運動などもほどほどに、腸の重要性とかを述べて、一定の効果があると思います。しかし牛乳を飲まないなど、あれ?というのも散見されます。これについては、日本酪農業協会が、牛乳が悪いとする新谷氏の理論の科学的根拠うを明らかにしてほしいという公会質問状が、H19年に公開質問状が出されました。驚いたのは新聞広告に出ていた、人間の歯の割合で、全体の歯(32本そのうち4本は親不知)の中で犬歯が4本だから肉類などの比率は全体の歯の中でその比率にすべきだと書いてありました。これなどは全く科学的根拠のないものです。イヌイットなどはほとんど肉類だけで健康に生きています。またお酒もダメと言っています。百薬の長とは認めません。まあその中で自分なりにいいと思うものだけ取り入れればいいのですが。
南雲氏の健康法は新谷氏の健康法よりさらに極端です。お酒はどこかで禁止しているのでしょうか。お酒はいいのでしょうか。でも肉を食べない、カフェイン禁止、スイーツ(お菓子)禁止とかでは、なが続きするのでしょうか。普通になんでもバランスよく食べるのが良いのであって、例えば、招待された席で肉が出たら食べないのでしょうか。コーヒーは飲みすぎなければ、健康にいい面もあります。たまには甘いものを食べるのも気分転換になります。あれはダメこれはダメなどという食べ方をしていたら、かえって健康を害します。肉には魚にない良質なアミノ酸があり、食べないのは健康に良くないと思います。
南雲氏は本当にこれを守っているのでしょうかね。まだ、彼は50代ですが、90近くになって元気いっぱいならわかりますが、若く見えるなどというのはたかがしれています。同じ、100くらいの老人でも、日本のキンさん、ギンさんと、肉を主食に食べてきた欧米の100歳では元気さも見た目にもずいぶん違うように思えます。エリザベス女王などは、2012年86歳ですが、すばらしくわかわかしいではありませんか。(2017年91才です。若々しいですね)
特に一日一食はよくありません。
子どもなどでは朝食べてこなくて体温が上がらず午前中調子が悪いというという状態になります。ブドウ糖不足で頭が良く働きません。それから飢餓状態にして、延命遺伝子を働かせるとのことですが、それによって何歳まで生きるつもりでしょうか。普通にしていても90以上生きる時代です。そんなことをして、食べたいものもがまんして、仙人並みになるのでしょうか。あるいは120歳以上生きるというのでしょうか。まあ自分としては90歳代まで生きれば、上出来と思いますので、変な偏った健康法をなど、やる気は全くありません。私はたばこは初めからすいませんが、適度にお酒を飲み、肉を食べ、カフェインも取り、ときにはおいしいお菓子も食べて、人生を楽しんだ方がいいと思っています。ただ我田引水ですが、唾液を意識的に良く出して飲み込み、歯を丈夫にして、よくかんで食べるなどは、誰にでも通用しますのでお勧めします。(咽津法ーインシンホウといいます)
最後に、健康や長生きや、アンチエイジングという問題よりも、単身世帯の増加により家族の手料理など期待できないこと、ずっと続く非正規化などによる収入減などにより、特に若い人たちの、食べ物の内容が極めて劣化しているのではないかということです。アメリカでも、貧困者は価格の安い脂っこいハンバーガーなどを食べるため肥満者が多く、富裕者はバランスの良い食べ物を食べて肥満しません。日本でも、牛丼屋さんなどはまだましで、昼食はカップラーメンとか、だいたいでんぷん質にでんぷん質を重ねる食事が多いのです。それが続けば、長生きなど望むべくもありません。日本人の平均寿命(余命)が長いのは昔ながらのバランスの良い食べ物をたべていた高齢者によるものなのですが、今後次第に低下してくるのではないかと心配されます。これは南雲氏の話以前のお話です。
『週刊東洋経済 2012年9月8日号」では「貧食の時代として」ー壊れる日本の食、を特集しています。都心部で、近くにスーパーなどがなくなり足の悪い高齢者が増えて、買い物に行けない「食の砂漠」になっていると書いています。その結果の栄養状態悪化が悪化し、健康状態が極めて悪くなっていると書いています。
そこではまた「メタボ対策が思わぬあだ」に「高齢者をむしばむ新型栄養失調の危険」という記事があります。人間総合科学大学の熊谷修教授によれば、70歳以上で4人に一人、75歳以上で2人に一人が新型栄養失調になっているといいます。高齢者の場合、夜のメタボ対策と歯逆に、むしろ肉や脂肪分をとることが大切であると大事だといっています。また「一食抜くと残り二食で、必要な栄養をとるのは難しい。3度に分けて、適量を食べることが大事」であるといいます。食を抜くと脱水にもなりやすいということです。
南雲氏の本を読むような人は、高齢者は少ないかもしれませんが、本来もう少し食べて肉や脂肪も取った方がいい人が、これでいいんだと一日一食にしたり肉や魚や脂肪分をとらないとか、新谷氏のように牛乳や乳製品ををとらないなどにより小食になり、身体を壊すようなことがあってはならないと思います。
追記:2012年9月22日
このブログは、7月に書いてから、アクセスが大変多く、いままで3000件近くのアクセスがありました。人々の関心が高いということでしょう。少し新しい内容を書き加えて、更新しました。
追記: 2013年2月24日
このブログはその後14000件ほどのアクセスがありました。若杉友子氏の「長生きしたけりゃ肉は食べるな」の批判とともに読んでいただきたいために、更新をいたしました。セットでお読みいただければありがたいです。
若杉友子氏の『長生きしたけりゃ肉は食べるな』は南雲吉則氏と同じ危険が」
http://koiti-ninngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2013/06/post-206a.html
追記 :2013年3月9日
こういちの人間学ブログ「肉を食べず新型栄養失調で老化 NHKEテレ」もご覧ください。
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