肉を食べずに新型栄養失調で老化 NHKEテレ 南雲吉則さん若杉友子さんと正反対
2013年3月8日(金)の20時から、NHKEテレ「団塊スタイル」という番組で「長寿の秘訣は肉食にあり」とちょうど若杉友子氏の「長生きしたけりゃ肉は食べるな」と、南雲吉則氏の「一日一食健康法」と、まったく逆な内容のものが放送されました。ゴールデンタイムでご覧になった方も多かったと思います。その内容をメモしましたのでご覧ください。
現在「新型栄養失調」に70代の人の4人に1人がなっている。それは肉をあまり食べないことにより筋肉や骨や身体の機能が衰える。そういう人は7年後に要介護になるリスクが2倍あるということ。そして、筋肉や、骨が弱まり、内臓機能も衰え、歩行障害や、心臓病や肺炎などになるリスクが大きいというのです。
国井雅比古さんと、風吹ジュンさんが司会で、ゲストはジュディ・オングさんでした。
専門家のお話しは熊谷 修氏(クマガイ シュウ)で、人間総合科学大学教授で、都老人総合研究所客員研究員です。『介護されたくなかったら、粗食はやめなさい』などいろいろな本を書いています。
新型栄養失調とは
65歳の矢野悠子さんの場合、ぜんそく、めまい、気力がなくなり、ものを考えるのもいやという状態でした。品川クリニックで調べたところ、タンパク質が足りなかったということがわかりました。50代で子どもさんが独立し、夫と母親三人暮らしでしたが、検診でコレステロール高いといわれ、健康に良いと思い肉や卵を食べないようにしていました。そこで、医者の指示により毎日肉や魚、豆腐、納豆などのたんぱく質をバランスよくしっかりとるようにしてから3カ月で回復したそうです。
矢野さんのように、健康のためにと肉類を抜いた食事により老化が進み、筋肉や骨が弱くなり免疫力も低下しているのです。その結果、免疫力の低下により肺炎が死因の第三位に上がってきています。たんぱく質の中では特に血液中のアルブミン(必須アミノ酸)が大切です。これが骨や皮膚、筋肉、免疫力に関係します。血液中に最低でも3,8以上必要でそれ以下では寝たきりになってしまう危険があります。健康には4,3以上が必要で、3,9から4,2は危険域です。このことは20年かかってようやく発見されたことなのです。
アルブミンをとるには肉や卵が重要です。世の中に肉はコレステロールがあって良くない、青魚が良い、肉は不健康というイメージがあるがとんでもないことです。もちろん現に高コレステロール病で治療中の人は別です。
コレステロールには善玉悪玉といわれるが、肉を食べないと、善玉と称されるものもさがります。肉を食べると悪玉といわれるものも上がる。(この番組では悪玉というのを疑問視しています)コレステロールが不足すると身体が乾いて、身体がゆがんで、ちじんでいく。いわゆる老化現象です。(番組ではいっていませんでしたが、コレステロールはいろいろなホルモンの原料で、不足するといろいろな身体の機能が低下します)
日本が世界最高水準の寿命となったのは食生活の変化です。
昭和22年 1日あたりどのくらい食べていたか
肉5g以下、魚45g、卵1,5g、牛乳2,5g 平均寿命は 男50、女52歳
現在は1日あたり
肉7,5g、魚90g、卵40g、牛乳116,7g 平均寿命は80歳以上
付記 : 2011年の日本人の平均寿命は女性85,00才、男性79,44才です。2009年までは女性では世界一の寿命でしたが、女性は二位に男性は8位に後退しています。これは3,11大震災の影響といわれていますが、食生活の変化による後退もあるのではないでしょうか。
日本人の寿命が延びたのはたんぱく質のおかげです。昔の食事が良かったというのは誤りです。現在栄養が改善され、肺炎が減り、脳卒中が減少しています。(ところが最近誤った考えでまた肺炎が増えているのです)
★ 50歳以上の男女にアンケートをとり4841人から回答がありました。
食生活でどのようなことに気を使っているか
肉や脂っこいものをさける 1757人
野菜中心の粗食 (人数確認できませんでした)
魚を食べる 1307人
肉をさける 515人
● 肉をさける原因を聞くと
ダイエットのため
肉を食べると胃がもたれる
主婦が肉料理作る意欲減退
△ 原因に家族構成の変化
一人とか老夫婦だけとかで食事がワンパターン化
いろいろな料理をつくろうと意識的にしないとだめ
○ そのために対策として10食品を一覧表にし、10日間何を食べたかを記入する
三食で10日間のチェックシート 8点以下でリスクが3点以下なら極めて危険
(8点以下からリスク発生、3点以下なら極めて危険)ー10日のうち肉を食べた日は3日以
下といこと)
秋田県の大曲市の人1200人 平均73歳の人で検査した結果。
肉をきちんと食べるように改善した人の総死亡リスクは
改善なし 1,0
やや改善 0,63
改善 0,53
★肉を食べる習慣をつけたら、老化の進む速さが半減しました。
肉を食べるともたれるといっていた人も食べると調子が良くなって、楽しくなってきたと。
これを見ても、現在でさえも、肉を食べない人が増え、いろいろ老化が進み寝たきりの人が増えているのに、若杉友子氏のように肉を食べなければ長生きするなんてとんでもない話を信じて、実行したら、命をちじめることになります。私の家内もコレステロールが高いと健康診断でいわれたから、卵はできるだけ食べないなんて言っています。そんなに高い方ではないし、一日卵2個ぐらい食べても大丈夫なはずですが。高齢になったらかえってコレステロールや血圧が高めのほうが長生きするという資料もあります。医者や製薬会社のもうけるために、血圧や、コレステロールの値を低めに設定し、薬を売りたいためにいろいろな情報を流しているのは問題です。おかしなダイエットを進めるのも問題です。(アメリカのDチャンネルという医療番組を見ていたら、アメリカではもっとひどくて、血圧上115下75で高血圧らしいのです。それではほとんどの人が高血圧ですね)
番組では肉不足を解消するために豚肉のブロックで玉ねぎやリンゴと煮て、それを冷蔵庫に入れ少しづつ食べるのを紹介していました。
東京の北区での、楽しそうな高齢者ふれあい食事会の紹介がありました。今孤食、コミュニケーション不足が問題になっています。いろいろな取り組みで、「心」と「体」の健康を進め、新型栄養失調を防がなければならないと報じていました。
今50代60代の人々にたんぱく質をしっかりとらないといけないというように意識を変えていかなければならないと強調していました。
最後に一日三食でなく、一食を抜くということについて。絶対に抜いてはいけない。一回欠食すると後の二食では十分に補えないからと強調されていました。
ですから「南雲吉則氏の一日一食健康法」なんて自殺行為ではないでしょうか。
参考ブログ
「若杉友子氏の『長生きしたけりゃ肉は食べるな』は、南雲吉則氏と同じ危険が」
http://koiti-ninngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2013/06/post-206a.html
2016年5月1日 追記 NHKEテレ 4月30日放送
「チョイス・病気になったとき」今年4月から新メンバーで放送されるようになりました。
「あなたは大丈夫? 4人に1人が栄養失調」
ゲストはこのブログと同じ熊谷 修氏(人間総合科学大学)です
1、肉を食べて、たんぱく質を取る
2,10食品群テェックシートを書く
1,肉 2、卵 3、牛乳、4、油 、5、魚 6、大豆、
7、緑黄色野菜、8、芋、9、果物、10、海藻
一日3食で1から10までの食品を取る、食べたら○
をつける。できるだけ9品目は必要
魚だけでなく、肉が必要。特に肉の成分、アルブミンが必要。
アルブミンは、免疫細胞、血管、筋肉などを作る
50歳以上になったら、アルブミン値
4,3以上 正常
4,2~3,9 要注意
3,8以下 栄養失調
コレステロールが高いとよくないと言われるがその値も大切
◎ 野際陽子さんが今年80歳になっていますが、すでに前から肺がんになっていることがわかっていました。野際陽子さんは大変な健康オタクで、スムージーと黄な粉入り牛乳を飲み、食生活は野菜中心の食事にしていて、健康にきをつけていたといいます。
野菜中心の食事というのが健康ということで、肉を控えていたのではないでしょうか。
肉はよくない、魚のほうがいい。コレステロールはいけないなどというのが、広く流布されています。美空ひばりなど多くの芸能人が誤った健康法で命をちじめています。
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コメント
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とら猫イーチ様 いつもとても参考になるコメントありがとうございます。江戸時代でも、鶏肉は食べてもいいことになっていましたし、いのししも山鯨と称して食べていました。ウサギも食べていて、鳥の仲間だとして1羽2羽といっていたようですし。薩摩などでは公然と豚肉料理が食べられていました。
老化防止は確かに、「栄養」、「体力」、「社会参加」でしょうね。どれが欠けてもうまくいきません。社会参加で生き生きとした人間関係と生きがいが若さを保ちますね。
粗食が健康と長生きの元なら、本当は北朝鮮あたりが一番長生きなはずですが、そんなことはあり得ませんよね。
投稿: こういち | 2013年3月12日 (火) 11時23分
一般庶民が肉食を避けるようになったのは、江戸時代から、とされ、「身分制度を確固とするために、支配層が一般庶民から肉を遠ざけたというのが真相」と断じられ、「日本の伝統食では肉を食べない」は間違い、と云われるのは、新開省二東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長(医学博士)です(「50歳を過ぎたら『粗食』はやめなさい!」)
同書は、「大規模な高齢者の追跡調査の結果」に基づいて、科学的なデータから医学的提言をされています。 同書に依れば、「栄養」「体力」「社会参加」が老化予防の三本柱です。
何をどう食べれば良いのかは、熊谷修著「老化速度を遅らせる『適齢食』」が最適でしょう。 具体的な献立とレシピも満載で、栄養満点で食欲をそそる料理が写真で紹介されています。
古来、東洋医学では、医食同源とされ、食に依って病を遠ざける療養法が発達しました。 その場合の食は、決して「粗食」では有り得ません。 また、仏教、特に、禅宗では、確かに肉食は忌避されますが、胡麻を多く用いた料理法や、豆類、雑穀、豆腐等を多用する献立は、高カロリーでさえあります。 例えば、京都黄檗山万福寺の普茶料理は、中国式の精進料理ですが、食材の多様性と油を多用した料理でカロリーが高く、健康的です。
これ等のことからも、無闇な「粗食」は百害あって一利も無いことに観えます。
投稿: とら猫イーチ | 2013年3月10日 (日) 15時27分
本当に、おっしゃる通りですね。人の状態は千差万別で、それぞれの状態において対処法も全く違いますね。太りすぎの人にはカロリー制限を進めるべきだし、やせすぎ(今増加中)はもっとカロリーをとるべきでしょう。
若杉さんはやるかどうかは自分で選んでくださいと、書いているそうですが、肉やコレステロールに関して、誤った考え方をしている人は、本を読んで間違いがさらに進んでしまうでしょう。(本来もっと肉を食べるべきなのにさらに食べなくなってしまう)卵も牛乳も避けたら深刻な栄養失調になりかねません。
もう一つ、肉を食べないのには、このところの全般的な収入の減少も影響も有るでしょう。安い肉は硬い肉が多く食べにくいかもしれません。それよりはと澱粉質のものに偏るかもしれません。若い人を含め、外食やコンビニなどではどうしても澱粉質が多くなりがちです。
投稿: こういち | 2013年3月10日 (日) 14時47分
またコメントさせていただきます。
野球を観戦していて、この番組見られませんでした(笑)
なるほど、よくわかりました。
問題は現在肥満なのかどうかということかもしれません。
BMIが基準を大幅に超えるような人はやはり、カロリー制限をしたほうが良いと思うし、標準の人は、一日一食や肉類制限は筋力や骨粗しょう症になる危険性が大いにあります。
わたしは卵(タンパク質100%だそうですね)や肉が大好きでたくさん食べますが、肥満が原因の糖尿病や悪玉コレステロール値が高い人には不向きだと思います。
そして標準体重の人が肉を食べなかったり、一日一食を実践したら、体力や骨がもろくなりきっと早死すること間違いありません。
つまり人間の体質は千差万別なのだから、どんな健康法も鵜呑みにせず自分の身体を考え吟味して取り入れる必要があります。
そういう意味で、そういう危険性を何も書かず、センセーショナルな表題で本を売り、なんら学術的根拠なしに他人健康法をに進めるこのお二方は問題が多すぎます。
そしてその記事を単純に鵜呑みにして健康を害した人に対し、南雲さんや若杉さんたちはどう責任をとるのでしょうか?
投稿: 春がきた | 2013年3月10日 (日) 13時38分
肉のたんぱく質の他に、脂肪も重要だと考えます。特に飽和脂肪酸ですね。昔、ボディビルの雑誌に飽和脂肪がテストステロン分泌を促し、筋肉増量によいと唱えられていました。あと、成長期の身長を伸ばすのもカルシウムだけでは駄目で、やはり肉の脂肪やコレステロールとの組み合わせが重要との意見もあったように思います。チーズは高たんぱく高脂肪高カルシウムなのでその点では最高でしょう。
ただ、現在の肉はオメガ3:オメガ6比が1:10以上という質の悪い肉が多いようなので(奥山治美氏によればグラスフェッドなら1:1程度になるようです)、肉の次の日は天然魚にしたり、フラックス油などの3系油を適宜摂取した方が無難でしょう。
白澤卓二氏は肉と魚を交互に食べることを主張されていますが、理にかなっているでしょうね。
投稿: 味噌汁 | 2013年3月 9日 (土) 18時32分