200万年前のセディバ猿人 人とチンパンジーの特徴をもつ過渡期の猿人
新聞各紙でのセディバ猿人についての報道
2013年4月12日の新聞各紙に2008年に南アフリカの首都プレトリア近郊の洞窟で発見された、200万年前に生きていたセディバ猿人(アウストラロピテクス・セディバ)が、骨格に、人とチンパンジーの両方に似た特徴を備えていたということが掲載されました。南アフリカのウイットウオーターズランド大などのチームが12日付の米科学誌サイエンスに発表しましたものです。
[ナショナル・ジオグラフィック」2011年8月号「猿人かヒトの祖先か」による。
復元模型ジョン・ガーチーによる
セディバ猿人の特徴
セディバ猿人(Australopithecus sediba)はマラパ洞窟で見つかり、30歳前後の女性と、8~13歳の少年とみられる二体の化石です。ほぼ同時期に洞窟内の穴に墜落ししたようだといわれます。発表をした、ウイットウオータースランド大学のリー・ベルガ-氏は「初期の人類としては、これまで確認されたことがない特徴がある」とコメントしています。
セディバ猿人は身長1.2メートル程度で、230から140万年前に存在したホモ・ハビリスなどの初期人類に分類できる特徴がある。長い脚や骨盤の筋肉などにより2足直立歩行をしていた可能性がある。また小さな歯と、現生人類に似た鼻のかたちも、大きな特徴である。また保存状態が極めて良好だった頭蓋骨からは右脳、左脳の形が不ぞろいであった。また手の指の形はデリケートで、道具をつくったり、つかったりできる形をしているということです。これは、極めて重要な特徴です。
ところが脳の大きさが約420立方センチとチンパンジー程度であること、また二足直立歩行であるにしても、小さなかかとはチンパンジーに似ていた。また膝と腰を回転させるような、足の外側を使って歩くようなぎごちない歩き方であったと思われること、猿のような狭い肩と長い腕で、木に登ったり、ぶら下がったりするのにに適した形をしているなどにより、チンパンジーとホモ属の人類との中間的な存在だと思われます。また草原(サバンナ)に進出した人類が草類や昆虫、小動物などを食べていたのに対して、かなり硬い木の皮なども食べていたということが分かりました。歯の分析からは、臼歯のかみ合わせる盛り上がっている形などが初期の人類(ホモ)属より、アフリカヌス猿人に近いことが分かりました。
人類の誕生は、熱帯雨林で生活していた類人猿の中で、アフリカの大地が乾燥化しサバンナの草原になって行った時に、直立歩行してサバンナへ進出して行くことによって行われたといわれます。このたびのセディバ猿人はちょうど森から草原へ進出して行く途中の状態を表しているもので、大変興味深いものです。
また人類は道具の製造と使用により、労働が発生し、急速なヒト化が進みましたが、セディバ猿人の手が道具をつくり使っていた可能性を示すことは重要です。また猛獣に襲われやすいサバンナの厳しい環境の中で、家族の誕生と、言語の誕生などにより、社会化が進み脳も発展した行ったのです。
セディバ猿人は現生の人類(ホモ・サピエンス)を含むホモ属の祖先の可能性もあると注目されています。
上図はチンパンジーより人類に近い手の指の形を示しています
人類誕生の歴史 参考
1、アファール猿人 (アウストラロピテクス・アファレンシス)
初期人類の重要な化石で、ルー氏とよばれています。1974年にエチオピアのアファール盆地で発見された、318万年前の化石人骨で、骨がまとまって発見され、ルーシーの愛称で呼ばれています。類人猿に近い脳容積と二足直立歩行をしていたということが特徴です。(一時、アファール原人と書いてしまいました。申し訳ありません。)
2、ホモ・ハビリス (Homo habilis)
1964年タンザニアのオルドヴァイで、、ルイス・リーキー二よって発見された。現在分かっている限りで最も古い初期のヒト属(Homo)である。身長は130センチ、不釣り合いに長い腕をもっていた。ヒト科(Hominidae)のアウストラロピテクスから分岐したと思われる。脳容積は現生人類の半分程度である。
その後、ホモ・エレクトス(原人)、ホモネアンデルターレンシス(旧人)、~現生のホモ。サピエンス(新人)にいたりました。(ネアンデルタール人は、旧人という扱いでなくしているものも多くなって居ます)
○ナショナルジオグラフィックニュースでの「セディバ猿人、ヒト属の祖先か猿人か」が参考になります
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