『1Q84』における性描写 ファンタジーにしてもおかしいと思ったこと 更新版
2017年10月6日追記
2017年度のノーベル文学賞は、日系イギリス人のカズオ・イシグロ氏が受賞しました。
イシグロ氏は長崎で生まれ、5歳まで日本で育ちました。すでに英国では著名な文学者でした。
村上春樹氏は今年も受賞しませんでした。今後も厳しいように思います。
6日、このブログのアクセスが急増しました。
以前に書いたブログの更新について
このブログはほぼ3年前の2010年6月14日に書かれたブログです。2013年5月18日『色彩をもたない多崎つくる~』の小説の感想を書き対比するために、最近版に更新いたしました。このブログは、もう一つの『1Q84』の宗教に関係する部分を書いたブログとともに、ずっとアクセスが続きました。はじめは月に50から60件ほどでしたが、村上春樹氏の最新作である『色彩をもたない~』発売以後この、4カ月では800件ほどのアクセスがあり、累計では2500件となりました。もう一つのブログである「村上春樹『1Q84』とカルト宗教」は、累計アクセスが6000件を超えております。
『1Q84』は発売以来数カ月で300万部になったようです。今どのくらいになっているのでしょうか調べたら、改めて書いてみます。
小説には性描写が目立つ 人によればポルノまがいだと
村上春樹の本が、ものすごく売れていて国際的にも評価され、人によればノーベル文学賞候補にもなるとか言われている。私は村上春樹の小説は、この『1Q84』しか読んでいない。人の話では、『ねじまき鳥クロニカル』には、戦時中の拷問で人の皮をはいで殺すというシーンがあるそうです。『1Q84』でも人の意表を突くショッキングな内容が書かれています。それに加えて、恐らく、多くの読者をひきつけるのは、さまざまに出てくる性描写ではないかとも思います。
『1Q84』ではそのような場面がいくつあるのか調べませんでしたが。(今度調べます)『色彩をもたない~』は10か所でした。
この小説では、男性の主人公である、天吾と、女性の主人公である、青豆との子どもの時の出会いと、最後には結ばれるというハッピーエンドに終わっています。天吾と、青豆の話を1,2巻では交互に書いていって、3巻目には教団の使い走りで、スパイのような牛河を交えて書いていくという、なかなか興味深い小説の構成になっていてさすがにうまいものだなと感心します。
女性主人公の青豆は、「エホバの証人」と思われる「証人会」を逃げ出して、ヨガや護身術の先生となっていて、延髄のところをアイスピックでさして殺す特殊技能を持っていて、家庭内暴力でどうしようもない夫を、老婦人の依頼で殺す仕事をしています。その息苦しさから逃れるためにも、定期的に髪の毛の少し薄い男性を見つけて、その場かぎりのセックスをするということになり、その場面がいくつか出てきます。その後、中野あゆみという26歳の婦人警官と一緒に男漁りのようなことをします。天吾は年上の主婦である女性をガールフレンドにしています。それぞれに性描写があるのですが、その後を含めて再三出てくるのが、女性が、相手のこうがんやペニスをいじるということが出てきます。村上春樹氏の好みなのでしょうか。
性交により、死なせないで性器を破壊するのは無理です。
前に書いたように、人の皮をはいで拷問するというのに近い話は、10歳のまだ生理のない女の子を犯し、そのことにより性器(おそらく子宮でしょうか)を破壊し、妊娠もできなくなるという話です。これは、マルキド・サドの小説で、生理前の少女を犯す場面が何回も出てきます。これと同じだなと思いました。あくまでも「1Q84]年という、仮想的な世界での出来事となっていますが、「さきがけ」の教祖が10歳の自分の娘を犯し、そのほかの娘も10歳ぐらいだというのです。「ふかえり」という「さきがけ」という、ヤマギシ会とオウム真理教を混ぜたような宗教団体の創立者である深田保の娘で、深田恵理子なので「ふかえり」といいますが、彼女もそのひとりです。彼女の書いた小説をもとに、天吾が小説を完成させ、新人賞になるというところから話がスタートしています。
莫大な資産を持つ老婦人が生理前の少女を犯す人物を許さないと言って、その教祖の暗殺を命じます。そして、青豆はその教祖が、7人のリトルピープル(小人)に操られていて、三人の娘との交わりは、その教祖がまったく動けない状態で快感も感じないのに、射精だけをする。その行為によって、リトルピープルの世界と、1Q84年の世界との橋渡しをしているだけで、その行為が苦痛で、殺しに来たことが分かっていてもあえて殺してもらい楽になることを望んだというのです。
時空を超えていく精液?
そこで、3人の少女との性行為で、膣や子宮が破壊されて、妊娠できなくなるというのですが、どうもこの話はいくら小説でなおかつ1Q84の世界だといっても疑わしい話です。途中から動けなくなった教祖にまたがって、射精させて精液を絞るとるという、巫女の役目をしているとのことですが、はじめだけ、教祖が、自主的に少女たちを犯し、子宮を破壊し、医者でも治らないというまでに破かいしたというのでしょうか。インドなどでは10歳くらいの少女が無理やり結婚させられて、という話がよく出てきます。最初の性行為で、処女膜が裂傷することはあっても子宮まで破壊するというのは考えられません。もしそこまでしたら死んでしまうでしょう。サドの小説では少女は死んでしまいます。 それから、天吾は17歳の少女「ふかえり」と、おはらいをすると言って交わります。教祖と同じように動けない天吾の上にまたがって精液を絞りとり、それがどのような経緯をとおってか、精液が空間を移動し青豆を妊娠させるというのです。10歳の少女や、17歳の少女という設定に、著者のそういう年の少女への性交への願望があるのではとか、勘ぐったりしてしまいますが、きっと下種の勘ぐりでしょうね。
追記
『色彩をもたない多崎つくると、~』でも、夢?の中で、友達の高校生であるシロとクロという同級生の二人の女性と性交し、かならずその一人のシロの膣の中に射精するということが書いてあります。それはふつうは夢精としてのころのですが、ところがある時、射精した精液を同室していた灰田という青年が口で受け止め、それが時空を超えて、シロを妊娠させるということを想像させるように書いています。多崎つくるの分身がシロのところまで行って強姦したのか、精液だけが飛んで行ったのかわかりませんが、『1Q84』とまったく同じ設定です。いずれにしてもシロは現実的に妊娠し流産をするのです。
仮想世界「1Q84]
あと、青豆は高速道路の非常階段を下りたことによって1Q84年の世界に入り込みますが、天吾はどういう経緯で、その世界に入ったのでしょうか。私が読みそこなっているのでしょうか。1Q84の世界の天吾も高速道路の非常階段を逆に上がって元の世界に戻るのですが。1Q84の天吾がいったのではないですよね。1Q84の天吾がいったとすると、もともとの世界にいる、天吾と二人存在してしまうのですが。 まあ、そんなことを詮索してはいけないのでしょうね。あくまでもいわば大人のファンタジーですから。
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