「モンサントの不自然な食べ物」、「世界が食べられなくなる日」原発との関連
1、「モンサントの不自然な食べ物」上映会
6月8日(土)に、実用的人間学の会員さんに教えていただき、TAMA 映画 フォーラム さん主催の特別上映会を見に行きました。場所は多摩の永山駅の近くのベルブホールで、映画は「モンサントの不自然な食べ物」と言う映画です。この映画は世界の遺伝子組替(GM)作物で90%という圧倒的なシェアをもつアメリカの多国籍企業モンサント社についてのドキュメンタリー映画です。
この映画は2008年にフランスのマリー=モニク監督によって作られました。二時間ほどの映画ですが、あまりに衝撃的で、緊張しっぱなしで見てしまいました。モンサント社は1901年にアメリカで設立され、1920年ころからPCBを独占的に販売しました。これは深刻なPCB中毒を引き起こしました。またベトナム戦争で大量にまかれた悪名高い枯葉剤のメーカーです。枯葉剤はベトナムの人々だけでなく従軍したアメリカへを今でも苦しめています。また牛成長ホルモンの製造などをおこなっています。最近は水ビジネスに乗り出しています。1970年除草剤ラウンドアップを製造し、その除草剤に対して耐性を持つ大豆や、とうもろこしや、綿花などの種を製造し、遺伝子組替作物の種子の90%を独占する多国籍企業です。そのしくみはラウンドアップに対して耐性ができたとうもろこしや大豆をラウンドアップを散布して植えると一切除草する手間が省けると言うことです。しかし、そこで実った種を栽培には使え無いことになっているために、また新しい種をモンサント社から買わなければならず、農民は従属的な対場になってしまいます。モンサントは遺伝子組替作物をモンサントから買わないで栽培している農家を摘発する、遺伝子警察と言う人々が農地を巡回し違反者を裁判にかけます。このようにしてモンサント社は種を通して世界中の農業を支配して行くようになります。
「モンサントの不自然な食べ物」は、アメリカの国策会社としてのモンサント社が、自分たちの利益のために、いかに政府権力と結びついているかを示します。モンサントは「1ドルたりとも無駄にしないとあくなき利益追求を重ねています。アメリカでは膨大な予算をかけてヒトゲノムを解析しました。その成果を企業の利益に生かそうとしたのが国策企業としてのモンサント社です。モンサント社はアメリカだけではなく各国の大統領や首相など政府高官を買収しました。また薬品などの許認可を行うFDA(アメリカ食品医薬品局)との回転ドアと言われるような、癒着を進めました。すなわち、FDAの役人になったりモンサントの社員になったりを繰り返すのです。その構造はちょうど東京電力と政府の機関との癒着と大変よく似ています。そしてラットに遺伝子(GM)組替食品をたった3ヶ月与えただけで異常なしと言う結論を出したのです。それをFDAは承認しました。そしてGM作物と除草剤ラウンドアップが安全であると各国で虚偽の宣伝をして、裁判で敗訴したりしています。また遺伝子組替作物や除草剤がいかに「がん」などを発生させるかなどを研究する学者を大学を辞めさせたり、組織から追放したりと露骨に弾圧してきたことを明らかにしています。これも東電と同じ構造です。
映画ではラットに2年間、GM作物や除草剤が含まれたとうもろこしや飲み水を与えた結果を比較研究しています。その結果13ヵ月後あたりからがんが異常に多く発生するようになります。この、セラリー二教授の研究は次に紹介する「世界が食べられなくなる日」で詳しく紹介されています。アメリカではGM作物や食品であるかどうかを表示しなくて良いことになっています。日本では表示が義務化されていますが、加工食品には表示しなくて良くなっています。その上TPPに参加することにより、日本でも表示されなくなる可能性があります。また、日本はすでにGM作物を大量に輸入しています。それは家畜などの餌としてとうもろこしが大量に輸入されています。そして日本でもその牛の牛乳を飲んだ妊婦の血液などから除草剤の成分が発見されたりしています。GM作物を告発したこのような映画がたくさん作られたフランスでは加工食品までも含み表示が義務化されています。
モンサントの牛成長ホルモンでは、牛の乳が20%良く出ると言うことを宣伝しています。しかし乳腺炎を起こしやすくなり、その膿が牛乳に混ざる恐れがあります。さらにそのホルモンが肉やミルクに残り、それを飲食した人にアレルギーやホルモン異常、さらにはがんを引き起こす可能性があります。
この映画は42カ国の人が鑑賞し、16カ国で翻訳されています。各国で大反響を引き起こしています。私自身も次に見た、「世界が食べられなくなる日」とともに大きな衝撃を受けました。このGM作物の恐ろしさを知っていただくために、一人でも多くの人がこれらの映画をごらんになることをお勧めします。
2、映画「世界が食べられなくなる日」
6月8日(土)から渋谷のアップリンクというところで、「世界が食べられなくなる日」の上映が始まり公開記念として「食べもの映画祭」が開催されることを知りました。そして、6月13日に「世界が食べられなくなる日」を見に行きました。よく地図を確認しなかったために雨の中ずいぶん余計に歩いてしまいました。渋谷アップリンクは普通の映画館とは違いビルには大きな看板は無く、ビルの二階に、30人分くらいしか座席と出版物の売り場しかないところでした。
「世界が食べられなくなる日」はフランスのジャン=ポール・ジョー監督によって作られました。遺伝子組替作物の危険性を指摘する一方、3,11の福島原発爆発の後来日しこの映画を作りました。遺伝子組替作物と、原発事故はよく似ていると、その共通点を映画で示しています。
遺伝子組替と原子力の命の根幹を揺るがすテクノロジーの共通点は、1、後戻りができないこと、2、すでに世界中に拡散していること、3、そして体内に蓄積しやすいことである。
遺伝子組替作物についてラットで二年間の研究をし、その結果を発表したセラリーニ教授は、次のように述べています。「原爆も遺伝子組替技術も、開発したのは世界の富の半分を支配する250の同じ企業グループ〈多国籍企業)です。この体制が支配者を生み、民衆を犠牲にしてきたのです。ノルマンディーでも広島でもそうでした。現在は福島です。遺伝子組替作物や原発を作る者の利益のために、すべてが犠牲になるのです」 注1
フランスで2009年、極秘のうちにすすめられていた分子生物学者セラリーニ教授(カーン大学)の実験は200匹のラットを20グループに分けて、遺伝子組替したとうもろこしと、ラウンドアップを混ぜた飲み水の影響を調べたものでした。その結果は21ヶ月目には腫瘍が増加しました。体重の2割以上もあるがんが出来てしまったラットは本当に痛々しいです。モンサントの行った3ヶ月の実験期間では何の異常もありませんでした。この映画では刻々とその実験の経過を映し出しています。
セラリーニ教授は映画の中で、ジュース、ビスケット、冷凍食品、肉…、地球上の子どもたちが、知らないうちに遺伝子組み換え食品を口にしています。スーパーに並ぶ加工食品の80%に、遺伝子組み換え食品が混在しているのです。私たちはどんな未来を選ぶかを考えなくてはなりません。(映画の宣伝チラシから)
遺伝子組替作物はいろいろな国の農業を破壊しています。インドではすでに87%が害虫を寄せ付けないBT殺虫剤とセットになった遺伝子組替の綿花〈BT綿)になっています。BT綿は他の種よりも4倍も高い価格です。また遺伝子組替作物でない綿花を栽培している農地には害虫が殺到します。インドの小規模農家では、2005年BT綿が導入されて以来高価なモンサントから種を買えなくなり、自殺する農民が多数出ています。
アフリカでは遺伝子組み換え作物を栽培しているのは、栽培面積大9位の南アフリカ(トウモロコシ、大豆、綿)、ブルキナファソ(綿)、エジプト(トウモロコシ)の3カ国です。そしてアジア、アフリカの発展途上国は遺伝子組み換え作物の新たな市場として開拓されようとしています。
また、GM作物である、大豆やとうもろこしには大量の残留除草剤〈農薬〉が付着しています。各国の港湾労働者に、多数のがん患者が発生しています。またロシア、フィンランド、ノルウエーからの木材がテェルノブイリ原発事故で汚染されている可能性があるとしてフランスのナント港では「港湾労働者の健康を守る会」がつくられました。
実は、遺伝子組み換え食品輸入大国の日本
日本はトウモロコシの世界最大の輸入国で、その量は年間1600万トン。約9割がアメリカ産で、アメリカのトウモロコシは88%がGM品種です。(2011年USDA調べ)主に家畜の飼料を始め、食用油、コーンスターチなどの加工食品の原料に使われています。
付記 日本ではラウンドアップレディー大豆〈遺伝子組替大豆〉を東京都の健康安全センターで、二世代のラットで、安全性を確認したと言うのですが。本当に安全なのでしょうか。日本では10都府県で、GM作物の栽培を禁止しています。しかし、日本では、2009年に限定的ではあるが栽培されています。また一部で栽培されたGM作物が花粉を飛ばし、次第に日本の作物を汚染してきています。
原発大国のフランスでも様々な危機一髪というような事故がおきています。そして日本の3,11福島原発事故の状況がかなりの時間をかけて報告されています。日本での取材では、高い放射線量の中で、取材するフランス人の人たちは高い放射線の中で防護服を着ていました。しかし、取材を受けていた二人の日本の農民がそのままで、裸でいても平気だといわば捨て鉢に言っていて、でも自分の子どもや孫なんか絶対こさせないと言っていたのが印象的でした。
★ 渋谷アップリンク
渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1.2F 03-6825-5503)では6月8日から食べ物映画祭を開催しています。「世界が食べられなくなる日」は6月28日まで毎日上映しています。そのほかにも「モンサントの不自然な食べ物」、「パーシーシュマイザー モンサントとたたかう」、「暴走する生命」、「フード・インク」、「ありあまるごちそう」など様々な問題作が上映されます。興味のある方はぜひごらんになってください。www.uplink.co.jp
またTAMA シネマでも6月30日〈日)にはベルブ永山で、「遺伝子組み替えの不都合な真実! サイエンティスト」が上映されます。これは遺伝子組替作物の研究をした人たちへの攻撃の例が示されています。入場料1000円。
詳しくはインターネットで検索をしてみてください。
注1 「多国籍企業が国を世界を支配している」2013年に向けて
がとても参考になります
http://www.ameblo.jp/teajass/entry-11090705891.html
関連するブログ「日経新聞のウソ~」
http://koiti-ninngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2013/10/post-92a4.html
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