参議院議員選挙結果について 自民大勝で、この先が恐ろしいです
自民党の大勝、民主党の大敗
2013年7月21日(日)参議院議員選挙が行われ、その結果、自民党は34の改選議席を65とほぼ倍増させました。特に31の一人区で、岩手と沖縄を除き29の選挙区で勝ちました。これで、自民、公明党は135と過半数の121を超えて、いわゆるねじれ解消となります。このことにより、自民党の思い通りに政治を行いやすくなりました。1人区は小選挙と同じで、極めて偏った結果が出ます。
一方、民主党は改選議席の44から17へと激減しました。維新とみんなの党は8議席と改選議席よりは増えましたが、衆院選と比べると伸び悩みました。一方、共産党は改選数の3議席から、8議席へと大幅に議席を伸ばし、都議選の勢いと同じように多くの支持をえました。特に東京、大阪、京都での議席獲得は大きな成果でした。
これで、参議院での自民、みんな、維新などの改憲勢力は143議席で、公明党の20議席も加えれば、163と、参院での改憲発議に必要な3分の2ラインに近づきました。衆議院はすでに、公明党の31議席を加えなくとも366と320の3分の2ラインを越えています。しかし投票率は52%台であり、過去三番目に低投票率で、自民党の「一強」が伝えられ、有権者の関心は高まりませんでした。
有権者の多くは、少しでも景気が良くなって、自分たちの暮らしが良くならないかと、期待して自民党に入れたと思います。あるいは他に入れるところがないということもあったでしょう。今回は棄権した人が多かったのです。すでに私のブログにも書いたとおり、一部の富裕層が先行して所得が増え、高額商品の売り上げが上がった一方で、一般庶民の所得は上がらず、物価の上昇で、かえって苦しくなっています。しかし、なんとか、景気が良くなり自分たちの暮らしもよくなることを期待して多くの人が自民党に入れたのだと思います。
驚くべき高額商品の宣伝
7月21日の日経新聞の折り込みで、「日経マガジンスタイル」という47ページの冊子が入っていました。その表題は[進化する高級時計」というもので、伊勢丹新宿店で展示販売されるものなどが書かれていました。ともかくその値段を見てびっくりです。48社の高級時計メーカーの商品が出ているのですが、ほとんど100万円以上で、ハリー・ウインストン オ-パスⅧが3250万とか、ラブロMP-05ラフェラーリ3180万とか1000万以上の時計がたくさんのせられています。このような時計を買う人は株高などでもうけたごく限られた人たちです。高級外車も日経新聞に宣伝記事や折り込みが入り、よく売れているようです。また、高級マンションの折り込みも日経新聞にはたくさん入ってきます。
3000万円以上する腕時計です。右上がハリー・ウイストンのオーパスⅧです。
右下がウブロのMP-05 ラ・フェラーリ です。
左上がジャガー・ルクルト ~ 40万ユーロだそうです
追記:7月24日の日経新聞には、伊勢丹新宿店で行われる、ウオッチコレクターズ ウイークの宣伝、アンチコルム日本支社の高級時計の鑑定、競売会の宣伝 『月間ゲーテ』9月号、幻冬社の全面広告で、超高級時計の特集をやっているとの宣伝がありました。そこには、RICHARD MILLEのRM27=01という時計が50本限定で、6930万円(予価)の写真が大きく載っていました。
追記 2013年7月24日の日経新聞の朝刊で、イギリスの超高級車のBentley(ベントレー)の全面広告がのっていました。今までかなり前から日経新聞をとっていましたが、ベントレーの広告を見たのは初めてです。価格は22,800,000円~となっていました。
民主党大敗の理由
さて、大企業中心にした政治を行う自民党に嫌気がさして、庶民のための政治をしてくれるかと思って、民主党に入れた人々は、特に最後の野田内閣の時には、大企業にすり寄り消費税値上を決めるなど、ほとんど自民党と同じ政策になり、あきれられました。もともと自民党出身者が多かったのですから、無理もないところです。そして今になって急に庶民の味方みたいに言っても、もうダメなのです。民主党を支持してきた労働組合もかなり保守化し自民党寄りになっています。以前社会党が与党化して、支持を失い実質消滅したのとよく似ています。
共産党は、大企業の内部留保のたった1%を社員の給与のアップに回せば、月1万円の賃上げができると、具体的な提案をしました。またブラック企業の告発や派遣など非正規社員が増えていることを問題にし、反自民党で民主党を見限った多くの人が、共産党に入れたのだと思います。なんと新宿区では比例では自民党に次いで第二位の得票でした。また、無所属新人の山本太郎氏も、脱原発を唱えて東京地方区で当選しました。ですから人々は手放しで自民党を支持しているわけではないのです。
ねじれ解消で意気込む自民党と先行の不安
さて、これで、自民党に参議院でも多数の議席を与えたことにより、今まで選挙に勝つために、いささかあいまいにしてきた、政策をどんどん実行してくるということになります。消費税をあげて、その分大企業に対して法人税などの減税をする。TPPに参加する。そのことで、自動車産業などには有利だが農業などは壊滅的な打撃を受けます。生活保護費や年金支給高を下げていくなど社会保障費の削減。原発の再稼働と外国への輸出をすすめる。公共事業をどんどん行っていき、大手建設業を喜ばせる。そのために国債を大量に発行する。もっとも重要なのが憲法を変えて、9条をなくし、集団的自衛権を認めさせ、海外派兵を可能にする~などなどです。これらは一般市民の世論傾向と異なるものです。今まではあまり、これらの問題を前面に出さず、アベノミクスでバラ色の未来があるようにだけ言っていました。安倍首相が大企業にも給与をあげるように言ってもポーズだけです。
自民党では、憲法を変えて、今の自衛隊を「国防軍」に変えるといっています。そしてただ名前を変えるだけではなく、石破自民党幹事長は、国防軍になれば、軍法会議を設置し、戦争に行かないなどと、上官の命令に逆らった場合、懲役300年とか、死刑とかにもできるようにしたいと発言し、物議をかもしました。
今度の選挙に勝てば自民党は、今までやりたかったことをどんどん推し進めていきます。そうなると、自民党に投票した人々も、こんなはずではなかった、と思うのですが、もう後の祭りというものです。以前にアメリカのノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏が言っていたように、大企業特に、多国籍企業およびわずか1%の高額所得者は、自分たちの利益を守るために、あらゆる手を使って、政治を動かしていくのですから。
これからの日本の政治がどう成るかを注視していきましょう。早晩、自民党に今回入れた人たちも、こんなことになるとは思わなかったのにと、後悔するのではないかと思います。
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コメント
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とら猫イーチ様
現政権のリスクについて、詳細かつ具体的な指摘をいただきましてありがとうございます。
後、前にも書きましたが、」ゼロ金利にしても、多国籍企業などの大企業は社内留保が積み上げるばかりで、お金が余っていますから銀行から借り入れをしません。逆に中小企業には貸し出しはむしろ減っています。
大企業では正社員を減らし、非正規写真を増やし経費のかかる仕事をどんどん下請けに回してしまいます。東京ガスが無理やり東京ガスの資本も入った合弁会社をつくり、東京ガスの仕事をそちらに移し社員を大量に減らしました。そしてこれにより、東京ガスグループが払う平均賃金は大幅に下がります。ともかく、国民の大多数(7割)がはたらく中小企業の経営状態は厳しく、賃金は下がる一方ですから、消費は上がらず、景気が良くなるわけがありません。高級品が売れているそうですが、それもすぐ一段落してしまいます。一般庶民のふところが豊かになり消費が高まらない限り本当の景気上昇にならず、すぐ行き詰まってしまうでしょう。
投稿: こういち | 2013年7月23日 (火) 08時59分
現政権のリスクは、その極右思想に依る懐古的命題では無く、経済・金融政策であると思います。 今マスコミを中心に持て囃している「アベノ何んとか」は、国家財政を破綻させる元凶です。 この日本を破滅させる恐れのある禁断の政策を持て囃す人々が存在している事実を、私は、信じることが出来ません。
その政策の根本である日本経済停滞の原因を「デフレ」と誤って認識していることが一番の誤りで、所謂今の日本の「デフレ」とは経済学で云う「デフレ」ではありません。 最終消費財を中心に中国等で生産され輸入された製品が安く販売され、物価が下落している状況は、「内外価格の均衡化」です。 それが、証拠に国内に限定されるサービス等の価格は上昇しています。 従って、いくら「デフレ」なるものに対抗してもどうにもなるものではありません。 原因自体が日本には存在しないのですから。
次には、金融政策で停滞した経済を活性化させることは不可能です。 現在は円安で大企業の輸出産業は、業績が良くなっているように観えますが、実質は輸出額が円安に依り上がっているだけで、輸出量は減っています。 日銀の異次元金融緩和でも、設備投資は増えていません。 そもそも、ゼロ金利なのに銀行貸し出しが減る一方で、金融機関は大小を問わずに国債を買うしか方法が無かったのです。
安倍政権は、結局のところ、国債を日銀に引き受けさせてバラマキをしたいのでしょう。 これは、財政破綻への道です。 今までは、国債を発行しても銀行が買ってくれ、金利も低いままで、財政危機にはなりませんでしたが、日銀が国債を買いあさり、金利が上がり始めています。 今のところは、日銀が買い向い金利を押さえていますが、何時まで、もつかが問題でしょう。 本来は、こうした日銀の手法は、国債バブル崩壊で金利が上昇し始めた折の手段ですが、態々、火の無いところに火をつけたようなものです。
現政権の成長戦略なるものも、詰まるところは、負け組企業の救済策です。 バブル崩壊後から今に至るまで、負け組企業への救済は、凡そ、思いつく限りの方法で為されました。 「温暖化」対策に名を借りて「エコ」補助等も国債を積み上げながら実施しました。 根本的な誤りは、政府が成長企業を育成することは不可能なことです。 今まで、世界で競争に負けるような企業ばかりを国費で補助し、一体、どうなったのかを考えないと国費の無駄使いに終わるのみです。 税金で応援しないと破綻するような企業は、遅かれ早かれ破綻するのです。 こんな当たり前の事実が分からない政治家は無能です。 でも、大方の日本人は、彼等を信じるのですね。 救いようの無い国民です。
投稿: とら猫イーチ | 2013年7月22日 (月) 23時08分