収束しない原発 「風知草」、双葉町避難民の話、福島訪問報告会
1)毎日新聞「風知草」の「フクイチの社員に聞く」
2013年9月2日の山田孝男氏の連続コラム「風知草」に、「フクイチ社員に聞く」という記事がありました。要旨は以下のようです。
まずい流れだ。放射能汚染水。制御できない。4月に大量の汚染水が漏れ出し。6月に除去装置アルプスが故障。8月に間に合わせの地上タンクから汚染水が流れだした。さすがに政府も前面に出ると言い出した。
第一線で働く東電社員の話を山田氏が聞いた。「管理職は(屋外の)現場に出てこない。ほとんど放射線を浴びないで退職していく。副社長がタンクの巡回を増やすといっても人を増やさない、作業員の被ばくなんて考えていないと。こないだ大臣が来てどなっていましたね。ああいうのを見ると、ふざけんなって思いますよ。お前に何がわかるんだって」
汚染水を巡る混乱は、日本軍のガダルカナル作戦と同じである。東京の机上の作戦で、敵を甘く見、己を過信し、戦略的大局観がなく場当たり的だと。その結果補給ができず2万人以上が餓死した。汚染水を甘く見、貯水タンクとアルプスを過信し、誤算続きで作業員がへとへとになっている。福島をガダルカナルと同じにするわけにはいかない。福島の作業員の東京不信をぬぐい、空前の海洋核汚染を食い止めなければならない。
文中の漫画には防護服を着た、東電社員(実際は下請けが多いのでしょうが)とガダルカナルの日本兵が背中合わせに座っているありさまが描かれています。
2)日本ユーラシア協会で福島訪問報告会
2013年8月31日に2013年平和記念行事として、日本ユーラシア協会では、第一部で「NAGASAKI 1945アンゼラスの鐘」の試写会があり、第二部では福島訪問報告会がありました。4月26日に日本ユーラシア協会企画で福島の訪問があり、人間学研究所でも5名が参加し、5月には研究所での報告会も行いました。福島訪問ではビデオカメラでの記録は筆者のものだけということで、ビデオの映写を依頼されました。経堂にある日本ユーラシア協会の本部の上にある東京ロシア語学院の2階会議室で行われました。人間学研究所では2時間かけたものを30分でということで、十分に伝えられなかったと思います。福島市内にある仮設住宅の集会所での住民との対話。そしてマイクロバスで、浪江町へ行く途中の放射線量が次第に上がっていく状況ありさまを中心に見てもらいました。当日は人間学研究、 そして請戸海岸での津波の惨状などを見てもらいました。海岸からは原発はすぐ目の前という感じです。また人間学研究所で配布された資料も参加者に配られました。
詳しくは、「こういちの人間学ブログ」2013年5月9日「原発事故2年 福島を訪れる 帰還困難地区の浪江町請戸へ 車内で一時10マイクロシーベルト」をご覧ください。
3)双葉町の旧騎西高校の避難所の状況について
双葉町は、原発のあったところで、全住民が避難させられているところです。町役場も群馬県の加須市の旧騎西高校に町役場ごと引っ越し、まだ唯一避難所として残されているところです。そこに避難している幾田慎一氏のお話を聞きました。30分の予定がかなり伸びて質問を含め1時間ほどいなりました。ちょうどビデオカメラを持っていきましたので、お話は全て記録してあります。
騎西高校という言葉で検索するといろいろな記事がでてきます。その一つに「東洋経済オンライン」に「追い詰められる 福島、双葉町123人の避難民」というものがあります。詳しくは直接ごらんください。
6月17日に役場機能が加須市の旧騎西高校から福島のいわき市の仮庁舎に移りました。5月21日現在で残された人は123人で、平均年齢68歳。要介護の人は25%に上ります。大井川さんは昨年6月の分を今年3月に受け取り以後東電から賠償金を受け取れず、食費を削って生活費に充てているといいます。
また、「原発の町を追われて」という、双葉町の住民の状況を描いた映画の紹介もあります。興味のある方はごらんください。上映会がいろいろなところで行われています。
4)幾田慎一氏のお話です。
双葉町の避難している人たちはもうすでに2年以上たっているにも関わらず、一向に事態は好転せず、事態はかえって厳しさを増していることが話されました。教室では相変わらずダンボールで仕切られた状態のままでプライバシーなどはないということです。せめてきちんとした仕切りをつけてシェアハウスのようにしてくれないかという要望を話していました。あるいは校庭に住宅を作ってくれるとか。でも2年以上がたって、まだダンボールで仕切られたところで生活しているというのは驚きでした。
ただ、みんなが助け合って生活しているので、ほかの仮設住宅のような、孤独死というようなことは起きていないということでした。
東電からの補償金はなんだかんだと言って、支払ってくれない。領収書がないから駄目だとか、六割に減額したらすぐ払うなどとなんとかお金を出さないようにしているといっていました。
政治家に話しても、ほとんど無視されて、誰も来ないといっていました。特に福島県の対応にはすごく腹を立てていました。
また、放射能汚染でのスクリーニングでは、ほとんど異常がでないようにセットされているという話には、それを南相馬市で受けた筆者には驚きでした。
これは、除染作業をしていた、飯館村の村役場で聞いた話と共通していますが、膨大なお金が除染作業を請け負うゼネコンに流れ、末端の汚染を受ける作業は地元などの孫請けなどが行い、作業員は放射線を浴びながら低賃金で作業しているとのことです。
そのほかにも、様々なお話がありましたが、いづれにしても、政府も県の役人も東電も本当に被災した人々の立ち場などは無視していることがわかりました。
飯館村でもいわれていることですが、いつ終わるともわからない除染作業にお金をかけるなら、被災者に一世帯当たり1億とか2億にもなるお金で、新しい土地に家を建てたらいいのではと言っていました。被災者のためよりは、自民党政府を応援してくれるゼネコンにお金をばらまいたほうがいいということになるわけです。
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