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2015年7月12日 (日)

[子どもの貧困問題」人間学例会テーマ、人間学通信NO72号の内容 倉田 眞氏

「子どもの貧困問題」倉田 眞氏の文章の紹介

 実用的人間学研究会の2015年6月例会のテーマと、「人間学研究所通信」第72号に掲載された文章は、倉田 眞氏の「子どもの貧困問題」でした。現代の極めて重要な問題について、よくまとめられているので、皆さんに紹介します。倉田 眞氏は、人間学研究所研究員、実用的人間学研究会幹事です。又新聞社の西部本社編集局長もされていた方です。

 

                  子どもの貧困問題

                          倉田 眞

はじめに

 数十年の高度経済成長期からバブル経済までの間、日本は成長、発展を続け、GDP(国内総生産)はアメリカに次ぐ世界第2の経済大国になった。技術革新も飛躍的発展を遂げ国民生活も「豊かで便利」を謳歌。「一億総中流」とまで言われた。その繁栄もわずかの間で1990年代に入ってバブル経済が崩壊するとともに経済の停滞、デフレ不況に陥りここ20年以上「失われたと時代」BRICS諸国に抜かれると予測されている。少子高齢化が進み人口は減少をたどり雇用も縮小。非正規労働、パート・アルバイトが蔓延し貧困層が目に見えて増大し『格差社会』が到来した。そんな中で最近指摘されているのが「子どもの貧困」問題だ。具体的なデータ・数字をもとに、実情、将来の影響、進まない対策・政策を見る。

実態をデータで見る

 ●貧困状態とは、OECD(経済開発機構)の基準にもとづき、一人当たりの可処分所得の真ん中の以下の人、所得を指すがひとり親世帯が貧困に陥りやすく、日本では母子世帯124万世帯のうち8割が年収181万以下で、貧困率は54,6%となっている。別のデータでは66%に上り、、父子世帯も19%。

 ●子どもの貧困率は2012年のデータでは16,3%で、6人に一人が貧困状態にある。27年前の1985年は11%、9人に一人だったから、悪化している。親の所得も1997年には、201万だったのが2011年には130万円と3割以上減少している。

 ●就学援助費の率は受給率が貧困ぶりを示すいい資料となる。就学援助費とは、低所得世帯の子どもの義務教育にかかる費用(給食費、学用品費、修学旅行費、PTA会費など)国と自治体が援助する制度だ。所得制限はおおむね生活保護基準額(東京都区部16万6800円、地方郡部で13万3100円)が設定され、東京練馬区の場合、給食費、修学旅行費、臨海学校費、などは、実費支給。学用品費、通学費は、小1で年に1万5200円、2年から6年で1万8340円、入学準備金は、小学校で2万3210円、中学で2万6210円などとなっている。受給率は1997年度に公立小中学校に通う子どもの6,6%だったのが、2011年度には15,5%と2,5倍に増加している。年々増えているから、現在は20%近く、5人に一人が受給していると推測される。

 ●発展途上国も含めた50カ国のうち日本の貧困率は25位と中ぐらいだが、OECD調査では、先進国に限るとアメリカの21,2%に次いで2番目。フランス11,0%、イギリス9,8%、ドイツ9,1%となっており、福祉先進国のノルウエー、スエーデン、フィンランドなどの貧困率は低い。

悲惨な実情の一例

 ここ数年新聞、テレビ、雑誌、書籍で貧困母子世帯のルポが目立つ。子ども4人のAさん。パート収入がつき10万円、児童扶養手当が8万円。体調崩してパート休むと食事を減らす。食費は月2万円で肉、野菜はほとんどなく、米、麺類主体。17歳の長男は不登校となり、家で弟、妹の世話をする。子どもがお年玉もらっても、米代になってしまう。長男は結局高校を中退して、閉じこもり、「夢とかはない。母に」申し訳ない」という。A子さんは「もうボロボロです。どうしようもない」とぐったり。

 シングルマザーのB 子さん。幼い子を2人抱え、月収8万円。児童手当7万円。家賃、仕事に使う車の維持費、食費、y光熱費で、月末には、所持金はなくなってしまう。育ちざかりなのに幼児の体重は9か月増えないままだ。「もう3人で死んじゃおうかな」とつぶやく。

 23歳のC子さん。2人の幼児の母だ。離婚したが前夫からの養育費は滞っている。非正規の仕事についていたが、3か月前に体調を崩し解雇された。自宅療養していたが衰弱して倒れた。肺炎だった。子どもは児童相談所に預け入院したが、医療費もままならない。貯金も底をつき区役所がようやく相談に応じ、生活保護を申請した。「私だけならなんとかなるが子供が大変。親子が何とか暮らせるようになりたい」。

 32歳のD 子さん。離婚後妊娠がわかった。産んだが仕事とかけもちの育児はきつい。5万7千円の家賃も負担だ。公営住宅に入れないかと相談するが、所得や家族構成など条件満たしてないとノー。出産後も働いているが乳児を抱えてはきつい。役所に2度目の相談でようやく生活保護を認められたが、将来のめどはまったく立たず、「この子が学校入るまで親子生きていけるかしら?」と不安いっぱいだ。

 大阪市北区のワンルームマンションで2013年5月母子の遺体が見つかった。室内に食糧はなく餓死状態。「おなかいっぱい食べさせてやりたかった」との趣旨のメモが残されていた。

 こんな例は枚挙にいとまがない。昔は近所の人が気づいて通報するなり協力して援助するなりしたが,隣付き合いも疎遠な現代の無縁社会で母子は孤立するばかりだ。

 わずかだが立ち直った例もある。40歳のシングルマザー。9年前に離婚。15歳と17歳の娘がいる。生活が苦しく子どもに八つ当たりして次女を不登校に追い込んだが、役所の就労支援で週に5日働けるようになり月に12万円の収入。足りない分は生活保護を部分受給し、何とか暮らしが成り立つようになった。子供たちも明るくなり次女も通学するようになった。

子どもへの影響と環境、現状

 ●教育面では貧困率が高まるにつれて国際的な学力到達度が低下している。OECDの到達度共通テストで日本は読解力が2000年に8位だったのが2003年に14位、2006年に15位。科学は2位⇒2位⇒6位。数学は1位⇒6位⇒10位。いずれも転落し物議をかもしている。貧困家庭の子供の学力は相対的に低い。教育にはお金がかかる。私的な負担がOECDの中で最高だ。公立小学校で年間9万7千円、公立中で16万7千円、公立高校で24万かかる。他に、塾や習い事が公立小で年間20万7千円、私立だと58万4千円、公立中で29万3千円、公立高校で15万6千円が「学外活動費」に、充てられている。家計を圧迫する。

 ●高校、大学への進学率。高校進学者は全体で98,4%だが貧困家庭では89%に落ちる。大学となると全体で53,2%だが貧困家庭ではわずか、19,2%だ。

 ●健康面でも悲惨な例が多い。健康保険料を滞納すると保険証を取り上げられ「被保険者証明書」を発行される。そんな家庭の子どもたちは病気になっても診療を受けないケースが多い。資格証明書ではいったん全額前払いとなるので医療を受けるのをためらうからだ。治療が遅れで死に至るケースもある。2006年データで国民保険料滞納は19%。資格証明書交付が全国で35万世帯。被保険者世帯の1,4%いる。2008年調査では大阪市で1720人、横浜市で3692人の無保険の小中学生がいた。カナダでは国民皆保険でその上、子どもの医療費はすべて無料。アメリカでさえ低所得層の子どもには州政府が無料の医療保険を提供している。

 ●子どもが学校でぜんそくの発作を起こし親と連絡を取ろうとしたが電話止められていて連絡付かないとか、子どもは親をかばって「保険証ないから病院に行けないと」といわないことが多い。永久歯32本のうち20本が虫歯でも医者に行かない子もいる。

 ●健康に大きくかかわるのは食事だ。先述したように食費を切り詰めるしかない家庭ではご飯と麺類中心でおかずは少ない。「肉はきらい」という子は少ないが実際は食べたいのに高いから手が出ない家庭の子どもだ。肉、魚、野菜るいをわずかしか摂らないから栄養状態は悪くなり成長に影響する。夏休みなど長期休暇明けに以前より痩せて登校する児童もいる。給食がなく家庭で十分食べられないからだと推測される。休日の朝食抜きの家庭も多いという。それなのに、環境省が公立小中学校の給食を調べたところ、一人当たり年間7キロ余りの食べ残しがあった。ご飯茶わん70杯分に相当するというからもったいない話だ。食糧自給率が40%に満たないのにこんな無駄が見過ごされている。貧困家庭に回す知恵がないだろうか?

 ●給食費、保育料の滞納問題。埼玉の公立小学校では6年間で42万以上の給食、教材費がかかる。給食費は自治体によって少しずつ異なるが年間4万から5万円、全国で児童生徒の12,8%が生活保護基準に基づき就学補助を受けて居るが、それが生活費にまわることも多い。給食滞納額は2007年度で22億円。保育料〈高い所での月5万円)の滞納も2006年で84億円に上った。

●親と家族との関係では、母子所帯の場合,母と子が過ごす時間は一日平均46分というデータがある。『休日に子どもと十分遊んでいる」のは年収1千万以上で38,7%なのに、200万以下出は26,8%と3分の2になる。勉強、健康に影響を受けるし引きこもり、不登校の原因にもなる。何より親子の絆、愛情が薄れ、虐待、関係の希薄化が心配だ。家族との関係で見ると「子どものことで相談相手が家族にいない」が、200万以下では19,7%に対し、700万以上では4,7%、1千万以上では0%。祖父母、兄弟姉妹など親戚関係の濃淡が分かれる。「病気や事故の際に子どもの面倒を見てくれる人がいない」が200万以下では16,7%もいるのに1千万出は9,4%と、頼れる親類、友人にも差がある。

●虐待と貧困の関係を見ると、2002年3都道県17児童相談所が調査したところ、児童虐待で保護した501件のうち、生活保護世帯が19,4%、住民税・所得税非課税の貧困層が26%、母子世帯30,5%、父子世帯5,8%,母と内縁の夫世帯が9,9%だった。

●不登校の児童、生徒17万人の多くが貧困層の子ども。

●貧乏人の子だくさんは本当か?子どもが4人以上となると、貧困率は上昇。5人以上の貧困率は50%。1~2人は43%、3人が12%で、ある程度当てはまるといえよう。

●貧困と非行。全国の少年院に収容されている5248人の割合(2004年調査)は富裕層2,8%、普通層69,8%、貧困層27,4%だった。一般保護少年で見ると貧困層は14,5%、少年鑑別所は26,7%で、重い罪ほど貧困所帯出身が多い。貧困による疎外感が犯罪への入り口になっているのがわかる。

貧困の連鎖が深刻

●2006年東京都の20歳以上の男女1600人を対象に15歳時点での暮らし向きを調査、「金銭的理由で食糧を買えなかった経験ある」と答えたうちの26%が「15歳時は大変苦しい暮らしだった」と答えた。「苦しかった」が15%「普通、ゆとり」が60%だった。15歳時点での暮らし向きがその後成長した時点にも影響しているとみられる。「15歳時の貧困」⇒「限られた教育機会」⇒「恵まれない職業」⇒「低所得」⇒「低い生活水準」の図式、連鎖に行きつく。これが、2世代、3世代と続く。

●親の学歴と子供の学歴の関係(2006年度調査)父親大卒なら本人大卒66%、高卒30%。父親高卒なら本人大卒39%、高卒53%、中卒8%。父親中卒なら本人大卒14%、高卒55%、中卒31%のデータ。高学歴の親の子が高学歴をめざし高収入の職に就く。逆に低学歴で所得が低い親の子は進学率が低く職業選択も、非正規やパートが多く所得が低い職に行かざるを得ない。まさに格差拡大、悪循環の連鎖だ。

●貧困と経路。貧困は基本的には低所得、情報不足、社会ネットワーク欠如、文化との絡みによるが、子どもの栄養医療へのアクセス、家庭環境、親のストレス、学習不足、住居の問題、近隣・地域、親の就労状況などとも密接に関係する。その中でも所得が最も大きい比重を占めカギとなる。

どんな対策がとられているのか

1億総中流と浮かれていた時代が続いたが、バブル崩壊で厳しい現実が襲ってきた。少子高齢化が叫ばれ福祉の論点は雇用、年金、医療、老人対策中心となり、子どもの貧困、家族政策の施策は遅れている。アメリカでは「チルドレン・ファースト」政策で朝7時から夕方7時まで学童保育が食事含めて無料.それでも子どもの貧困率は日本を上回る。GDPに占める家族政策の総額を見ると、日本0,75%、イギリス2,9%、フランス3%、スエーデン3,5%。日本は少なく遅れている。先進国で日本より低いのはアメリカだけだが税制からの給付がありこれを含むと日本より高い。要するに日本政府は貧困対策にまともに取り組んでいない。家族政策とは児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、出産一時金、育児休業給付などだ。

●教育支出も日本は最低レベルだ。日本はGDPの3,4%、スエーデン、フィンランドは5~7%、アメリカでさえ4,5%だ。その上日本は教育機関(学校)への直接投資が大部分を占め児童生徒、学生への補助は、総経費のうち18%にすぎない。奨学金など学生への経済負担を軽減する補助はGDP}の,0,12%で、スエーデンの0,23%、フィンランドの0,36%の半分から3分の1だ。しかも給付制でなく卒業後返還義務がある。

●14歳以下の子どもが人口に占める割合(2006年)。日本Ⅰ3,6%、アメリカ20,7%、イギリス18,2%、フランス18,6%、スエーデン17,7%で日本の少子化が際立つ。注目すべきはスエーデンの比率は日本の1,3倍にすぎないのに家族関連支出の割合は4,7倍もあることだ。いかに日本の家族関連政策が片隅に追いやられているかを示している。

●政府の子育て支援策は2007年度で4兆3300億円。GDPの0,83%。内訳は児童手当1兆500億円、保育所9900億円、児童扶養手当1558億円、育児休業給付1210億円などとなっている。児童手当は1972年度に制度化されたが、発足時は月額3千円、75年に5千円に増額したがその後30年は据え置きで、2010年民主党政権で子ども手当と改称され、3歳未満および3~12歳の第3子以降が月額1万5千円、3~12歳の第1子,2子と中学生は月額1万円となった。所得制限も960万円(夫婦と子ども2人)と比較的高く、従来の「広く薄い児童手当」から比較的「広く厚い子ども手当」となった。

●問題は母子所帯。2003年度の母子世帯数は122万5千所帯。98年に比べ27万所帯、28,3%増加した。2011年には124万所帯と増えている。父子所帯数は22万所帯。子どものいる所帯は1180万所帯だから、約12%が一人親所帯となる。▼子ども人口に占める母子所帯の子どもの割合も1989年の3,8%から2001年には5,8%に増えた。現在はもっと高いとみられる。母子所帯の貧困率は50%、父子所帯は30%、母子はトルコに次いで高い。ひとり親所帯全体の貧困率(2009年)の国際比較は日本58,7%アメリカ47,5%、アイルランド47%、カナダ44,7%と続き、低いのはデンマーク6,8%、スエーデン7,9%と福祉国家が低い。▼就労率は30カ国中4位だから「働いても低賃金の」いわゆる「ワーキングプア」状態なのだ。背景にあるのが低賃金の非正規労働、アルバイト、パートに就くケースが多いことだ。ちなみに2008年の母子所帯の平均年収は212万だが、現在はさらに低くなっているとみられる。▼公的支援策として児童扶養手当、母子生活支援施設(旧母子寮〉保育所優先入所、ホームヘルパーサービス、医療費助成金、母子福祉貸付金、就労・自立支援組織などがある。児童扶養手当は107万所帯が受けており年収136万以下で満額の支給額は月に4万1720円、一部支給の場合、年収365万以下で支給額最低は9850円となっている。しかし、こうした制度を知らなかったり利用を嫌ったりする母親が多い。最後の砦が生活保護で9万所帯、7%が受給しているが、申請してもハードルは高い。母子所帯対策より「子ども対策」重点の施策充実が望まれる。

遅れている子ども対策

イギリスの取り組み。1999年当時のブレア首相は2020年までに子どもの貧困を撲滅すると宣言。2004年までに4分の1減らし、10年までに半減する計画を立て、児童税額控除、勤労税額控除など親の負担を軽減する政策を打ち出した。これによって貧困の子供は5年間で340万人から270万人に減った。当時のイギリスの貧困率と日本はほぼ同じのⅠ3%前後だったが日本の対策は遅れ16%台に悪化した。

●日本では「子どもの貧困ゼロステップ」として、児童手当や児童税額控除、大人への所得保障などが論議されたが、制度、法律策定の取り組みは遅れ具体化しなかった。2014年1月に「子どもの貧困対策法」が施行され、8月に「対策大綱」が閣議決定された。すでに12年には貧困率は16,3%と過去最低を更新しており、いかにも手遅れの取り組みといわざるを得ない。

●掛け声倒れの施策。大綱は「日本の将来を担う子供たちは国の一番の宝」と仰々しく謳いあげたが実際はお粗末だ。子どもを支援するNPOや専門家、貧困の当事者の親や子供が「返済の必用がない給付型奨学金などの現金給付を充実させ、国としていつまでにどれほど貧困を解消するか、の数値目標を定めるべき」と声を上げたが、政府は財源不足を理由にこれらの切実、具体的な提案をことごとく退けた。並んだのは従来どうりの事業ばかりだ。安倍首相は「子どもたちが夢と希望を持って成長してゆける社会の実現を」と美辞麗句を並べたてたが、施策作りは内閣府、文科省、厚労省の官僚に丸投げされている。彼らは専門家による検討会の意見を神妙に聞いていても会議が終わると「財源確保は困難。専門家や関係者に言いたいことを言わせるだけでいい」ととうそぶく。少しでも施策を進めようとすると、今度は財務省から「財源はどうするのだ」と横やりが入る。財政健全化の美名のもとに母子所帯の生活保護費から「母子加算」の削減を打ち出す始末だ。「母子加算削減と子どもの貧困対策を一度にやるのはブレーキとアクセルを同時に踏むようなもの」と批判され、厚労省もさすがに財務省に反発した。今の政権にとっては子どもの貧困対策は財政健全化、特定秘密保護法、集団自衛権行使容認、米国に追従しまくりの安保法制など国民の危惧、反対が強い施策よりはるかに優先順位が低い。防衛費を増額し米軍のために新基地建設=沖縄・辺野古埋め立てに1兆近い予算を投入するのに躍起だが、貧困に苦しむ子ども対策の安倍首相の本気度はゼロである。

●2020年の東京オリンピックにも巨額の費用が投入される。いぬのエサ代年に36万というセレブ夫人をテレビがちやほやしていた。格差の度を通りこしたこの世の中、一体この先どうなっていくのだろう。

●貧困の社会的コスト。貧困状態のA君を放置したままにしておくと適切な教育も受けられず才能も開花しない。支援して適切な教育受けたら著名な科学者、有能な経営者になるかもしれない。普通でも平均的な労働者になるだろう。しかし貧困状態に放置しておくと、不安定な職にしか就けず、税金、社会保険料も納められず、場合によっては生活保護を受けるかもしれない。A君の子どものころに支援していたら、成長して税を納め生活保護を受けず医療費も少なくて済む。A君が20歳から65歳まで働き続けたら4500~5000万の税金、社会保険料を支払う。18歳から2年間の職業訓練費と生活保護費は460万円。たったこれだけの公的支援で普通の社会人になってくれたら、4000万近くの社会還元=利益を生む計算だ。彼が低収入のまま65歳まで生活保護を受けると5000万~6000万かかる。つまり彼を支援〈投資)すれば1億円近く節約できる計算になる。官僚の言う「財源がない。Aクンは支援なしでやってくれ。あとは野となれ山となれ」では無責任で将来展望、長期的視点を欠いた行政だ。これこそ税の無駄使いになってしまう。     

識者、NPOからの提言~NHKの特集から

●頑張れば報われるまっとうな社会にする。高校生への給付型奨学金、学習支援、生活支援を国、自治体だけでなく経済界、労働界一体となって取り組む。特に母子世帯への差別意識をなくす。何よりも生活基盤の安定、日常生活を支える政策が必要。今の大綱、取り組みは不十分で弱い。もっと充実すべき。

●政府は2016年度予算で処置するというが現状を見ていると信用できない。公的資金、財源投入どうするのか?どこかを削らなければならない。対策の必要性を認めても財源含め、実効性ある対策がとられない。(ただ、この識者は遠慮してか防衛費削減とか、法人税減税の問題とかに触れない。昨今のニュースでアメリカの垂直離着陸輸送機・オスプレイ17機を3600億円で日本に買い取らせる話が出ていたが、そんな金があるのなら子ども救済に回すべきだろう)

●家計への支援が大事。この問題への国民の意識低いから国の取り組みも遅れている。ヨーロッパでは、イギリスなどは1980年代から貧困問題を目玉にして国民・有権者を啓蒙し税金投入の世論が形成されている。日本では貧困まではいかなくても6割の国民が生活苦しいから、もっと苦しい子どものことに目が向かないまで。6人に1人の貧困の子どもに将来の生活の担い手になってほしいとの意識を育てるのが重要だ。

●少子化対策や婚活には、予算投入するが子どもの貧困は別もの扱いだ。今は2,8人の現役が高齢者1人を支えているが、50年には一人が一人を支えなければならない超高齢化社会になる。子ども育たないともっとひどいことになる。

●昔は一家の生計を生計を支える仕事が当たり前だったのに、今の日本社会では自分1人でも厳しい時代になっている。特に非正規、パート、アルバイトの若者、中年世代がそうだ。大学出てもまともな職に就けない。中卒の人は1年のうちに半分以上がやめて転職を繰り返す。この矛盾、悪循環を断ち切る施策が必要だ。

●あしなが育英会の運営にかかわり、あきらめ、絶望している子供たちに希望を与える取り組みをしている。「遺児バネ」というのがあって、苦しみをバネにして成長する子どもを見ると本当に嬉しくほっとする。暖かい眼差しの支援が大事だ。地域、民間でやることには限界がある。公的、政府の取り組みが大事だ。

●ボランティアでやっているが、子ども、若者にセカンドシステム、再チャレンジさせるシステム、仕組みづくりが必要だ。民間だからお金がないが、子どもの「社会的孤立」を防ぐのが役割と思って取り組んでいる。

おわりに

 データを中心に子どもの貧困の現状、国際比較、悲惨な実態、何世代にもつづく連鎖の問題、日本政府の不作為の罪、対策、施策の遅れを見てきた。国民は問題に関心を深めることしかできない。子どもの見守りのボランティアを数年間続けているが、冬の厳冬期でもコートやウインドブレーカーなしで長袖のTシャツだけで通学する子もいる。「寒くないか」と聞いても健気に「大丈夫」の答えが返る。校納金は月1万円前後だが期日が迫ると「土曜、日曜銀行が閉まっていて遅れる』と相談してくる女の子がいる。校長や教職員も厳しい取り立てをしたくないが、市役所幹部や教育委員会は催促してくる。船橋市に住んでいるが、一般会計予算2055億円のうち民生費が824億円と3割以上で、高齢者対策、生活保護、子育て支援に回る。先日統一選挙があったが、人口60万人に市議の定数が50人。何をしているか不明の連中だから半分でいいと思う。定数削減で数億円は浮く。国会議員の定数削減も進まない。3年前、当時の民主・野田首相と自民安倍総裁の約束で衆院解散になり安倍政権が復活したがいまだに削減の兆しは皆無だ。子どもの未来を考えない政治は国の将来を暗くする。子どもを戦争に追いやる危険が増す安全保障法制に取り組み「国の安全と世界の平和を追求する」と声高に叫ぶが、子どもの将来展望が開けなければ、日本は内側から崩壊の道を進むのではと危惧する。年寄りの取り越し苦労だろうか。(了)

 

参考文献

Ⅰ,阿部 彩 『子どもの貧困』 岩波新書

2、阿部 彩 『子どもの貧困Ⅱ』 岩波新書

3、本田良一 『生活保護』 中公新書

4、湯浅 誠 『反貧困~すべり台社会からの脱出』

5、毎日新聞、NHK特集など

筆者の感想

 倉田さんの記事は、いろいろな資料に基づいて、日本の子どもの貧困問題について、よくまとめられています。ぜひ、多くの人に読んでいただきたいと思います。 

 貧困問題と格差の増大は大きな問題となっています。そして、少子化が進み、どんどん人口が減っていき、単純に今のペースで行くと、いずれ、人口がゼロになってしまうことになります。昔は人口の爆発が問題になっていましたが、逆の現象が起きているのです。これは、生物学的要因ではなく、政治や社会のあり方による社会的要因です。今の少子化は政治のあり方によって起きていることです。

 「子どもを生まないんじゃなく産めないんです」という女性の声がある。子どもの貧困ばかりではなく、格差の進展と貧困の増大が進んでいる、アメリカではその実態が堤 未果さんの、貧困大国アメリカシリーズにくわしい。(『貧困大国アメリカ』3部作 岩波新書)「1%対99%が進む中、あらゆるものが巨大企業に飲みこまれ、株式会社化が進む社会になっている。ヨーロッパの一部では、その流れに抗しているが、アメリカとその追随国の日本ではまっしぐらに、その道を進んでいる。子どもの貧困とともに、「女性の貧困」も進んでいる。「クローズアップ現代」、「NHKスペシャル」で取り上げた問題を書籍化した、『「女性たちの貧困」”新たな連鎖の〝衝撃』 NHK「女性の貧困」取材班 幻冬舎は、帯封に「働く女性の3人に1人が年収114万円」とある。女性の貧困と、子どもの貧困がセットになっている。でもこのままでは日本の将来は暗い。

 現在はまだいろいろな問題点などを報道機関が扱っているが、今、安倍内閣が取り組んでいる「安保法制」の流れの中で、報道機関への圧力は高まっている。自民党の中でも戦争はこりごりだという我々以上の世代が少なくなり、戦争をしてもかまわないという威勢のいい安倍内閣の世代が力を持ってきている。ここしばらくが正念場のように思われます。

 

 

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