人間学研究所5月合同例会「どこまで人間と見るか」その2,で話
人間学研究所、実用的人間学研究会合同例会
2016年度第2回
(第83回実用的人間学研究会・第123回人間学研究所)
テーマ
・
「どこまで人間と見るか」その2
・
2015年5月19日 午後6時より
西戸山タワーホームズ集会室
講師: 佐竹幸一(実用的人間学研究会会長、人間学研究所専務理事)
・
このテーマは2009年10月の第12回実用的人間学例会で、「『どこまで人間と見るか』-ヒューマニズムの起源」というテーマでお話ししました。今回は、同じテーマを、その後加わった資料も加えて再度お話しします。
(以前の資料は、文章7ページ、図版資料3ページでした。今回は文章8ページ、図版4ページでした。)
・
はじめに
人間とは何か
人間はどこまで自分の仲間、「人間」と認めるのか
人間の歴史は、自分の仲間(同じ人間として認める拡大の歴史)
正義や善悪も人間と認めた自分の仲間だけに通用する
人間でないと判定されたものは、ヒューマニズムの対象外
・
ともかく、「人間」を様々な資料から取り上げてみて、多面的にとらえ問題提起してみました。
・
「どこまで人間と見るか」その2
・
配布資料要旨
・・
Ⅰ、人間というものをいろいろ考える
―人間を人間と見ない、あるいは劣った人間と見る歴史
1、アメリカインディアン、インディオ
1537年ローマ法王がアメリカインディアンなどもアダムとイブの子孫(人間)と認めた。
それまでは人間ではなかった
2、オーストラリア原住民、アボリジニに対して
1828年イギリス兵士にアボリジニを自由に捕獲、殺害する権利
オーストラリア原住民はじめ人口50万人、90%人口減。
タスマニア原住民絶滅―有袋類は保護するのに
3、カースト制度、身分制度、ダリット、白丁、非人
インド、朝鮮、日本において
4、アフリカのピグミーに対しての食人行為
2003年コンゴのピグミーが国連に提訴
(21世紀の現代、こんなことがあるなんて)
5、白人による執拗な人種差別や優生学
白人が最も優れている。黄色人種が少し落ち、黒人は類人猿に近いと
・
Ⅱ、いろいろな側面から人間を考える
1、人間とは何か、他の生物や宇宙人などとの比較
いろいろな例 マンガに見る 別図9ページ
2、人間、ロボット、アンドロイドなどとの比較(新資料)
「ロボットと人間』石黒浩氏の取り組み
人とAI(人工知能)
3、人間(ヒト)と近い動物との比較
人間とチンパンジー、ボノボ
遺伝子配列は近い
数字の記憶能力などはヒトより優れる
京大の松沢氏はちんぱんじんと呼ぶ
4、王充の「論衡」から
人間は300から360の裸の生物のうち最も高貴で最も知的である。
しかしそれは程度の差であり、人間もシラミのように地上をはい回っているに過ぎなかった。-神は聞こえない、だから神に祈っても無断なことである。
・
Ⅲ、人間とは何か
1、ヒトの生物人類学的位置づけ
2、人類の歴史
化石人類 絶滅 ホモ・サピエンスだけが生き残る
3、人間とは、人間、人(ヒト)、人間の意味
1、人類-畜類などと対比
2、人、ヒトーヒト、生物、人類学的意味
3、人間-元は世間という意味
4、「人間って何ですか?」夢枕獏、8人との対談(新資料)
いろいろな立場から考える
5、「人間の境界はどこにあるのだろう?」
訳者、長谷川真理子のあとがき
・
最後に(筆者からの)一言
2009年4月に人間学の例会で「どこまで人間と見るか」についてお話をしてから、ちょうど7年が経過しました。それ以後、1つはネアンデルタール人のゲノムが解析され、アフリカ人以外の人類にネアンデルタール人の遺伝子が組み込まれていることがわかりました。2014年には発見者ペーボの自伝的な書が出版されました。(邦訳は2015年)また、石黒氏は人間そっくりなロボット(アンドロイド)を作り、「人間とは何か」について問題提起しました。今後AI(人工知能)との問題が大きくなっていくでしょう。科学の急速な発展により、「人間とは何か」という問題もさらに深く掘り下げられることでしょう。
・
別図
・
別図-9ページ
マンガに見る、人間とは
ブッダ 手塚治虫 バリア(非人)のタッタ
鉄腕アトム 手塚治虫 人間としての権利を求めるロボット、それに反発する人間に壊される
火の鳥 手塚治虫 直立歩行し知性を持ったナメクジ?
14歳 楳図かずお 選ばれた子供たちに食料としてロケットに載せられる人工人間
・ (もの)
別図ー10ぺーじ
「人間の境界はどこにあるのだろう」
人種差別、人間とチンパンジー、ボノボ
争わないようになったボノボ
(一部、新資料)
別図―11ページ
ネアンデルタール人の少女の想像図(カラー)
ネアンデルタール人、昔のイメージと最近のイメージ
「人類進化700万年の物語から」
(一部新資料)
別図―12ページ
「アンドロイドは人間になれるのか」石黒浩
(新資料)
テレノイド、(見かけと動きと声)、石黒氏のジェミノイド、コミュ―とソータ
マツコロイド、桂米朝のアンドロイド
美人すぎるジェミノイドF、ハグビー(触覚と声)
「AIの遺電子」山田胡瓜
・
9ページ、手塚治虫の「ブッダ」から、バリア―非人
9ページ、手塚治虫の「火の鳥」から、突然変異したナメクジ型、人間?
11ページの石黒氏のいろいろなロボット
追記:2016年5月20日
昨日例会が開催されました。参加者は15名でした。話の内容は、面白く参考になったと言っていただきました。1時間のお話のあと、1時間半ぐらいはベルギービール飲み比べなど、懇親会となりました。
« 近況、1、5月は忙しい、二火会、株主総会、人間学例会講師、2、大江戸ビール祭り3、、蘭花盛り | トップページ | ヒューマニスト「エンゲルス」の評伝、しかしマルクスにくらべ、誤解され評価の低いまま »
「人間学研究所の例会」カテゴリの記事
- 2021年11月19日(金)人間学研究所の例会が再開されました 160回目は田中稲生氏 「歌の歌詞について」 (2021.11.20)
- 1、人間学研の2020年11月例会で佐竹が話をします。2、「人間学研究所通信89号」の発行、3「交流の広場」始める(2020.11.10)
- 1、コロナウイルスで人間学例会中止、追記、当面4月以後も休会に、2、人間学研究所年誌の発行 3、人間学研の図書移動(2020.03.05)
- 人間学研究所 2019年度例会 更新版 11月例会 岩田好宏氏のお話. 追記12月忘年会 の写真 2020年4月まで講師の方決まる(2019.12.14)
- 人間学研10月例会、対談「藤岡貞彦一橋大名誉教授に聞く」”SDGsの異常な期待を考える” (岩田当研究所所長との対談)(2019.10.03)
« 近況、1、5月は忙しい、二火会、株主総会、人間学例会講師、2、大江戸ビール祭り3、、蘭花盛り | トップページ | ヒューマニスト「エンゲルス」の評伝、しかしマルクスにくらべ、誤解され評価の低いまま »
コメント