ちきゅう座の熊王信行氏の評論が復活しました。5月5日”イタチの最後っ屁”、安倍改憲案は歴史に逆行し無効
毎年咲かせている胡蝶蘭です。
バラとカーネーションです。
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「ちきゅう座」に優れた論評を出しておられた、熊王信之氏の論評が復活しました。
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しばらく掲載をお休みされていましたが、この度また、書かれるようになりました。
熊王氏は、ブログ筆者のブログに、「イチロウ」氏のお名前で、鋭い論評で、コメントをしていただき、ブログ筆者の足らざるところを補っていただき感謝しております。ブログ筆者に比べ、社会・経済・政治などの分野においては造詣が深く、本質を突いた論評をされるのです。
熊王氏の再開された論評をそのまま、ご紹介します。今の政治状況、特に改憲問題に対しての鋭い論評がなされています。全く書かれていることに同感しますので、文章をそのまま転記させていただきます。
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「イタチの最後っ屁「」
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ちきゅう座 熊王信之(くまおうのぶゆき)氏 2018年5月5日より
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「現在、この国では、改憲が政治課題になっている、らしいです。
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らしいと言うのは、市井の課題ではないから、であり、例えば私事ですが、私の周囲では,改憲等は話題にもなることがないのです。
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報道、それも右派の新聞等では,改憲が大きな見出しになっているらしい、です。反対派が街頭で宣伝活動をされているのも見かけたことがあります。でも、通行人が関心を示すことはありませんでした。
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客観的に、改憲が必要な緊急の課題でもあるのでしょうか。
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そもそも現政権が改憲志向なのは衆目の一致する処であり、国民世論次第では、改憲の発議に必須の手続き着手をするでしょうが、これだけ安倍政権への異議申し立てが相次いで出される現状では、肝心要の国民投票で否決される恐れがあるでしょう。
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例えば、地方の住民投票ですが、大阪都構想の実現に向けての大阪市の住民投票では、維新の思惑は雲散霧消しました。大阪市の解体を住民が拒否した訳でした。白昼夢を現実にしようとする試みはありましたが、同じ住民投票を何度行っても無駄と悟ったのか、再度の住民投票の実施は、延期されるようです。もちろん大阪都構想は、維新の存在意義そのものなので、再び日程に上がるでしょうが、目下は無理でしょう。
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国政の場合も同様で、改憲がいくら安倍政権のレーゾン・デートゥルであると言っても、実現性のないことを試みるのは無駄と言えましょう。
ただし,現下の状況で、己の支持基盤向けに結束を固め、見捨てられる状況に追い遣られる危険を脱しようとする企図は分かります。
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そもそも、およそ安倍政権の企図とうりに、安全保障法体制を整えることができたのは事実でしょう。その現状で、あえて憲法第9条に自衛隊の存在を加えることがなぜ必要なのか
と問わなければなりません。
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安倍首相曰く、自衛隊を違憲という学者がいるから、と。呆れてものが言えません。
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大学の法学部の初級講義で学ぶものでも理解できることですが、そもそも法令には、解釈がつきもので、解釈の必要のない法令を作るのは、相当無理をしなくては出来ません。法令用語の一々につき肝心の法令中に定義を入れるものもありますが、あらゆる法令を解釈無用とするのは不可能なのです。憲法は、その代表例です。
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では現行憲法第九条の解釈で、多くの学者が自衛隊は違憲、と主張されている事実を改憲の理由とすることは首肯できることか、と言えば、前述のとおり出来ません。
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少し詳しく観れば、まず、裁判所、それも最高裁判例では、自衛隊の存在につき裁判所が判断することは、いくら違憲立法審査権を持つ裁判所でも 出来ない,という訳です。
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従って、国民に選ばれた議会でできた法令に基づき存在する自衛隊は、少なくとも合法という訳ですし、違憲と裁判所が判断された訳でもないのですから、、安倍政権は、合憲と主張可能なのです。
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勿論のことに,九条には諸種の解釈が存在しますので、自衛隊の存在は違憲との主張も可能ですし、此方の解釈のほうが有力です。また、憲法制定の議会では、政府解釈として例え自衛のためでも「陸海空軍その他の戦力は」有しない、とのことでしたので、自衛隊は違憲の存在になるのでしたが、その後、その解釈そのものが、「変遷」したのでした。
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従って、安倍政権は、国民の声を封殺することが狙いなのでしょう。では、改憲のために議会で発議を行う手続きに着手する合理性があるのか、と問えば、前述のとおりにこの時期に着手する合理性は無いものと思われます。
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敢て改憲を掲げるのは、支持者にとっての錦の御旗を振るものであり,撒き餌。そして批判者にとっては,例えは悪いのですが、イタチの最後っ屁でしょうか。
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その昔、ごく少数説ですが、憲法改正は、歴史の向けるものに限り認められる、と説かれた憲法学者がおられました。京都学派の田畑忍です。
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憲法学者の中では、この説は賛同者が少数でしたが、憲法の改正のに限界がある、との主張には大いに賛同できるものです。例えば立憲民主主義に基づく憲法を君主制に改正できるのか否かという訳です。私の考えでは出来ない、となります。一定の原理に基づく憲法を、当該一定の原理を蹂躙し無限の改正が可能とするのは,如何にも無理があるからです。その意味では、田畑説には同意できる意義があると思われます。
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憲法も人権に関わることですが、「この憲法が日本国民に保証する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」(第97条前段)と田畑説が説く「歴史の進歩」を認めて名分にしています。その意味では、自民党が掲げる憲法改正案は、「歴史の進歩」に逆行するものであり、到底、憲法改正案と呼べるものではありません。
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従って、憲法第九条についても、日本国憲法の平和主義を蹂躙し,第九条に憲法が認めることのない戦力を定めることは改正の限界を超え,出来ず、無効であると言わねばなりません」
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記事出典 サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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ー(黒の太字はブログ筆者によります。)
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◎この文章の前に、5月3日付で、「クールビズ」という文章を書かれています。また5月4日に「朝鮮半島のディール(取引)が進行中」と相次いで論評を書かれています。ここには日本だけが北朝鮮とのビジネスに取り残される可能性を論じています。興味のある方は、上記のちきゅう座を開いてください。
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◎久しぶりに熊王氏の文章がちきゅう座に復活しました。今の世の中に対しての鋭いご指摘は大変参考になるものです。
この文章での熊王氏の憲法に対しての見方は極めて重要です。自民党の憲法改正案は「歴史の進歩」に逆行するもので、到底憲法改正案とよべるようなものではありません。というご指摘は、まったくその通りだと思います。
憲法第九条は、大切な日本の宝です。日本を戦前の形に戻したいとする、安倍首相や日本会議などの復古思想に染まった人々にとって、目の上のたんこぶのような目障りなものです。
自衛隊は災害の時などにとても頑張っているのに、憲法で明確に定められずに日陰者であるのはおかしい。だから自衛隊の存在を憲法に明記しなければならない、これが改憲論者の言い分です。
自衛隊という軍隊が曲がりなりにも戦争に巻き込まれず来たのは、憲法9条のおかげです。イラク、南スーダンへの自衛隊派遣ではあわや戦争に巻き込まれるところでした。
自衛隊幹部はイラク・スーダンでの出来事を稲田防衛大臣に報告せず、隠蔽しました。また2017年には稲田大臣を下ろそうとする動きもありました。
今年の4月には現役の3等空佐が民進党の小西参議院議員に対して国民の敵などとの暴言を吐きました。
これらの動きは自衛隊の文民統制が危うくなってきているということです。第9条が変えられればさらに文民統制が危なくなります。
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アメリカはもっと自衛隊が戦争ができるようになって、アメリカ軍のより一翼を担いやすいように変えたいと思っています。しかしあまり強力な力も望まないでしょう。あくまでもアメリカの指揮権の元のみでの力です。
ー「知ってはいけない」という矢部宏治氏の講談社現代新書の本(2017年)では、日本の自衛隊がアメリカ軍の)如何に指揮下にあることを、詳しく書いています。
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自民党政府はうるさい野党を、状況により戒厳令のようなもので押さえつけられれば良いがと、思っているでしょう。
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今はまだ憲法9条の威力で、ある程度自衛隊の横暴が抑えられていますが、これに対する歯止めがなくなれば、どんなに恐ろしい政治状況になるか心配です。
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今、韓国とアメリカが北朝鮮と対話し、朝鮮の非核化が実現するかもしれません。
前の選挙で、安倍内閣はさんざん北朝鮮の核ミサイルの脅威を言い、抜き打ち解散で勝利しました。
安倍内閣は今度の和平の進展には蚊帳の外です。北朝鮮の今の動きは北朝鮮の脅威を言い、憲法を変え、自衛隊を正式に国防軍とし、防衛費を増大したい、という政策に逆行するものです。
北朝鮮の脅威を言い、自衛隊を軍隊として公認させ、より強化するには、この和平の動きは困ったものでしょう。
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これからの日本の政治の動きは、今後どうなるかの重要な分岐点になることでしょう。
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イチロウ様
コメントを日曜日にいただいたにも関わらず、返事が遅くなり、申し訳ありませんでした。
ご両親がお亡くなりになり、また最愛の猫ちゃんも亡くなり、さぞ悲しく、お力落としのことと思います。
でも、またちきゅう座へのコメントも復活され、本当に良かったと思います。ちきゅう座に文章を掲載される分、私の拙文にコメントをいただき、足らざるところを補っていただき、本当に感謝しております。
またちきゅう座でも鋭いご指摘を続けられるように思います。私のブログでも時々掲載させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: こういち | 2018年5月16日 (水) 19時43分
こういち 様
拙い拙稿をわざわざご紹介をいただきまして有難うございます。 本日、やっと読むことが出来ました。 昨日までは、恥ずかしくてとても読むことが出来ませんでしたので、コメントが出来ませんでした。
実は、一昨年から、世間で言います処の「ペットロス」と言うものになっておりまして、随分と厭世的な気分になっておりました。 未だ未だ正常な気分では無いのですが、無理にでも世間的な日常に復帰しませんと残る人生を無為に過ごすことにもなりかねませんし、亡父母と飼い猫の供養も出来ないことにもなります。
こういち様には、ご自分のブログで私のコメントをご迷惑にもかかわらずに自由にさせていただきまして、本当に感謝しております。 加えて、拙い投稿までご紹介を頂きまして、穴があれば入りたい程です。
こういち様のブログで展開される処の東京の街の様子や、ご自分のご専門のやさしい解説は、私の様な門外漢にも理解が可能ですし、興味が尽きません。
これからも宜しくお願いします。
投稿: イチロウ | 2018年5月13日 (日) 18時20分