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2021年8月13日 (金)

『生物哲学』沼田 眞著作集-第2巻ー岩田好宏編が出版されました。素晴らしい本です。

沼田 眞 著作集 第2巻『生物哲学-新しい研究領域開拓の軌跡』ー沼田 眞著作集編纂委員会 岩田好宏編が、人間学研究所所長の岩田好宏氏から、送られてきました。本の内容の概略を「こういちの人間学ブログ」で紹介してほしいということでした。そして本のご紹介を「こういちの人間学ブログ」でご紹介することを了承するとともに、人間学研究所の皆さんにも読んでいただければと思い,ブログが出来上がったら、研究所の発行されています。メール網でもお伝えしようと思いました。ただ、今体調が不良でいっぺんに記事が書けないので、少しづつ追記していく方式にさせていただきます。著作集第1作は2018年9月30日に発行されています。その概略は2018年9月30日発行の「沼田眞著作集」編纂の序に書かれています。第2作は岩田好宏氏により1941年から1949年までに発行された論文・著作を収めたものとして2021年1月1日に発行されました。概略は「生物哲学―新しい研究領域開拓の軌跡」序、に書かれています。

沼田 眞先生は1917年に生まれました。22歳のころは(1940年)東京高等師範学校を卒業し、東京文理科大学に入学したころで、研究は植物の集団の学の方法論の追求と、理論生物学の確立にあった。本書をよむことにより、若き生物学者新しい学問領域開拓の軌跡をたどるとともに、植物集団の学の方法論発見の過程を見ることになる。岩田好宏氏の序より

沼田先生は東京文理科大学生物学科卒業で、岩田先生も東京文理大から、変わった、東京教育大学の生物学科の卒業です。ちなみに初期の人間学研究所の創立のメンバー岩城正夫先生(現名誉会員)も東京教育大学出身です。また、このブログ筆者が在学当時の東京教育大学はちょうどノーベル賞の朝永振一郎氏が学長で大学は素晴らしい雰囲気でした。民主主義科学者協会(民科)の学生部会たる関東地方の生物科の学生の集まり、関東生物科学生懇談会(生懇)は東京教育大の学生が主導権を取っていました。生懇の責任者の任期は半年でした。同じ動物学専攻の近藤 晃君(科学方法論分科会責任者 東京都老人研究所員から大学教授)、そして私(人間学分科会責任者)、次はお茶大の大沢さん,その次は浅島誠氏(東京教育大動物学から東大大学院へ、ノーベル賞候補者ともいわれる著名な生物学者)が生懇代表でした。ブログ筆者は生懇の分科会として「人間学」を作り現在の「人間学研究所」に至っているのです。その後筑波移転反対闘争を経て反文部省・反政府的な東京教育大学はつぶされ、文部科学省べったりの筑波大学に変えられました。東京教育大学は廃校されていて学籍簿は移動していますが、東京教育大学と筑波大学は別物なのです。(改めて記入あり)

ブログ筆者のころは東京教育大学の生物学科は動物学科と植物学科に分かれていました。定員は動物科、植物科ともに16人でした。動物科と植物科との間の交流はあまりありませんでした。動物科所属していたブログ筆者は植物学に関してあまり詳しくありません。菅平と下田に実習所がありました。少し前に生態学の主任教授だった下泉重吉先生は退任しました。代わりに若手の三島次郎先生が講師としてこられました。

このブログにおいてはブログ筆者の考え方を述べるのではなく、この本の内容がどのようなものか知っていただいて、詳しく知りたい方は、本を購入していただくように書かせていただきたいと思いましす。。

文中において◎の部分はこの本に関しての岩田先生に教えていただいた部分や、ブログ筆者の個人的な見解を書いたものです。本の内容が多いためにはじめは少ししか書けず、後で少しづつ追記という形にさせていただきます。

岩田先生へのお詫び

◎この2021年7月から8月以上 昼夜逆転の生活が戻らず、ブログなどもまともに書けなくなっております。この状態ですともともとまとめてうまく書くのが下手なうえに注意力が散漫となっております。こういった状態でこの書の的確な評論は無理な状態でした。せっかく岩田先生の立派な本をけがしてしまい申し訳ありませんでした。

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1946年10月 千葉師範学校玄関前にて

右から2人目が沼田眞先生で、当時千葉師範学校の助教授をされていました。

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ーーーーーーーーーーーーーー

「生物哲学」の本の概要は以下の通りです。

『生物哲学-新しい領域開拓の軌跡』

 2021年(令和3年)3月30日 初版第1刷 発行

 沼田 眞著作集編纂委員会 岩田好宏

 発行所 (株)学報社

 価格  4200円

 本文  424ページ

 解説  岩田好宏  425~477ページ

 索引  480から485ページ  事項索引  486~502ページ

 編者紹介  岩田好宏  奥付

ーーーーーーーーーーーーー

 沼田 眞生誕100周年記念著作集 第1巻刊行

自然誌の窓から」

  沼田著作集編纂委員会 中村俊彦編

  刊行2019年4月10日 520ページ  4200円+税

ーーーーーーーーーーーーー

「生物哲学―新しい領域開拓の軌跡」

「沼田眞著作集」編纂の序・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ⅲ

生物哲学―新しい研究領域開拓の歴史・・・・・・・・・・・・・・・Ⅴ

本巻の表記についての方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Ⅶ

 

 

  、初歩期の生物学理論研究・・・・・・・・

 

1、生物学における「理論」の問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

  「博物学雑誌」Vol,38 No701 博物学会1941年10月より

  1,1、緒論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

        私は年来、生物学における理論があまりにも貧弱で且つ酷い混乱状態にあることを憂え,之が打開をいかになすべきかについて悩んできた。この意味において所謂理論生物学の建設には非常なる関心と興味とを有するものであるが、現代生物学のこうした極端なる混乱状態は、いったい何に起因するのであろうか。石井友幸氏の言葉を借りれば、~生物学は膨大な事実の集積をし~1つの「生命の理論」にまで総合し、概括すべき必要に迫られているにもかかわらず、~誤った理論に陥っているのは、生物学が哲学に対して無関心であるがゆえに、研究の正しい認識論、方法論を持たないことによる。”正しい方法によってのみ正しい理論に到達しうるのである”(唯物論全書:『生物学』昭10)。~

  1,2,理論と実験の関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3  

  1,3 西田哲学の生命観 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 

  1,4 結語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

  関連著文1:P ヨルダン著 

     「理論生物学への道」訳文の前書き1941より・・・・・・・・・11

   <(岩田好宏氏による) 解説>

   ~このような沼田先生の問題意識について注目したいのは、ご自身が将来研究されようとする領域を、同じ領域の先行研究の成果を学び、批判する一方で視野を生物学全体に、さらには自然科学全体に目を向けられて構想されたことです。   

2、理論生物学への道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

 「科学ペン」6  科学ペン社 1941(懸賞当選論文)

  関連著文2:「自然美論」2題  東京文理科大学新聞 1941・・・21

3、書評 -今西錦司著「生物の世界」・・・・・・・・・・・・・・・・・27

    東京文理科大学新聞7月20日 1941

    この書は生物学概論(生物学通論ではない)の1論考をなし、したがって当然理論生物学あるいは自然哲学の見地から問題とされるべきであろう。

4、量子生物学の進展性とその将来・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

  関連著文3:書評  菅井準一著「科学史の諸断面ー

          力学及び電磁気学の形成史」・・・・・・・・・・・・37

    東京文理科大学新聞1月20日 1942年

  関連著文4:書評  下村寅太郎著「科学史の哲学」・・・・・・・・39

   「新若人」3,8 旺文社 1942(懸賞当選論文)

5, ゲーテの植物哲学-科学方法論的反省・・・・・・・・・・・・・・・・44

    東京文理科大学新聞 3月20日  1942年

6,生の原型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

    東京文理科大学新聞  8月   1942年

7、生命論と区別されたる「理論生物学」・・・・・・・・・・・・・・・52

    東京文理科大学新聞   1942年

 

Ⅱ、基礎期の生物学理論・・・・・・・・・・・・・・57

関連著文5:ドブジャンスキー著 沼田 眞訳「遺伝学と種の起源」

      第5章 「生物の自然集団における変異」の まえがき・・・・・・57

      農業及び園芸21巻10号 養賢堂 1946年

 

 1,原型概念の系譜について―生物学思想史の一試論・・・・・・・・・58

     「医学と生物学」第9巻 医学生物学速報会 1946年

 1,1 生物学思想史の立場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58

 1,2 原型概念発展の序幕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

 1,3 原型概念における転換点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・59 

 1,4 生活型概念の発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

 2、 科学と科学者の類型-生命論のことよせてー・・・・・・・・・・・62  

     「東京文理科大学新聞」 1946年

 3、生物学におけるゲーテの位置

      「科学」1947年 岩波書店・・・・・・・・・・・・・・・・・65

 4、生物学的基礎論のために―理論生物学序論・・・・・・・・・・・・・・69

      「科学思想」2 科学思想研究会1947

 5、生命論批判・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

      「民主主義科学者協会編「自然科学」1947

 6、生命哲学試論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88

     「日本科学哲学会編」「哲学と科学」1947

 7、生命学論-生の原型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111

     「民主主義科学者協会編」 「自然科学」NO9 1947

 8、生物学論-生態論批判を中心としてー・・・・・・・・・・・・・・・119

     関連著文6:生物学を学ぶもののために―読書の栞り・・・・・・119

 

Ⅲ  完成期の生物学理論研究・・・・・・・・・・・・・・・121

 1、生物学論 ―現代生物学批判ー

        1948年、自東書店 刊行・・・・・・・・・・・・・・・121

 1.1生物学の構造-集団の生物学を中心としてー・・・・・・125

 1、2生物学の対象と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・142

 1,3 生物学の存在的拘束性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・179

 1,4 理論生物学批判・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・190

 2)理論生物学批判・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・195

      1,   理論生物学と言われてきたもの、~有用なことではあるが、それらは生物学そのものの内容を構成するものではない。それらは科学としての生物学の基礎論であり、哲学であるといえる。生物学そのものではない。理論生物学と呼ばれたものは大部分「生物学の哲学」であったのである。生物学の一部と考えるのが問題。

  2

  3

  4

  5

 2、生物学の方法論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・209~228

               民主主義科学者協会編 「自然科学」  1948年  霞ケ関書房  1948

 

3、生物哲学概論(本邦初出)

 

コメント

    ◎岩田好宏氏から、この本とともに送られた手紙には、この「生物哲学概論」は、1949年初めに執筆され、編集事務担当者による使用活字などの指定がされ、印刷に回されるところで出版版元が倒産して刊行されず、長い期間にわたり書斎の奥深く眠っておりました。70年を超える年月ののち、本巻に収められ公のものとなりました」と書かれています。

  ◎またほかのメールで、岩田氏は「沼田氏についていろいろなことがわかりました。①、沼田さんが昭和17年の東京研究の論文文理大の学事報告によれば、沼田氏が東京文理大の卒業論文を3つ書かれていることがわかりました。1つは松の樹形について 2つは菅平の植生に関する調査、②つ目は最初の「生物学における『理論』の問題」です。 ③つ目は1949年に著述される「生物哲学概論」理論生物学についてです。

◎同じ大学の生物科に石井友幸氏がいる。石井友幸氏は帝大のほうへ進みましたが、沼田さんが学生のころ植物の助手をしていました。チミリャーゼフの「植物の生活」の翻訳をしたりして、理論生物学のリーダー的存在でした。」

◎沼田氏の原稿は草書体でなかなか判読するのが困難でした。とのことです。

 

3,生物哲学概論   〈本邦初出)p229

 

 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・230

科学の哲学、いわゆる科学哲学の高唱されることは新しい傾向であるが、、その1例は物理学を媒介にしたカントの先験的観念論。歴史学を媒介にしたヘーゲルの客観的精神の形而上学、あるいは心理学ないしをベルグソンの純粋持続の形而上学に見ることができる。

3、1 生物哲学の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・232

  1)科学の哲学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・232

    哲学を持たない科学は真の化学ではない。

  2)生物学の哲学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・236

  3)生物学の存在拘束性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・240

3,2 生物学思想史の試論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・245

  1)科学思想史の方法論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・245

  2)生物学思想の源流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・253

          科学思想史としての生物学史 古代 1、生命に対する驚異、2、トーテム崇拝、3,魔術、4、生活に置いての知識

    ギリシャ文化 アリストテレスとヒッポクラテス  中世 ゲルマン民族の破壊 イスラム文化に継承 十字軍 商工業の発達

    中世を終わらせるベーコンの思想 人間主義と自然科学の相互作用で近代精神の真の歴史が始まる ルネサンス時代 ヒューマニズム

    フランシス・ベーコン ニュートン力学、進化論 ヘーゲル  マルクスとエンゲルスの弁証法的唯物論

  3).生物学における原型概念の系譜・・・・・・・・・・・・・・・269

           p284 原型概念の発展の図示

    アリストテレス

    デオフララストス -リンネ ー  ルソー  -ゲーテ  -フンボルト ーラウンキエー

        静的植物学              〈原植物〉  (相観型)  (生活型)   

                                            ーークレメンツ

                              動的生物学              (植物計)

  4)生の原型  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p286

    1  生物学における種

    2  黒松の判定におけるプロセスはゲシュタルト心理学の説くところかもしれない

    3  生物の多様性  分類が可能に

    4  似ていることとは何事であろうか

    5  生物種の純粋はせいぜい遺伝子的に言いうるのみであるが~

    6  生態における類型的な2,3を取り上げてきたが

    7  原型とは何を意味するのか

        原型の系譜こそ生成発展する声明の現実にほかならない

   (付)生物学史におけるゲーテの位置・・・・・・・・・・・・307

        ゲーテの生物学上の業績について、沼田氏は3つの論文に書いています。ゲーテの生物学上の業績は正しく評価されていない。ダーウィ 

   ンが種の起源の冒頭に、彼を進化論の先駆者として挙げていることには注意する必要があるであろう。  

   ◎ゲーテが生物学上の優れた実績を上げていることは全く知りませんでした。

3,3 生命論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・311

  1)生命論と生物学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・311

  2)生気論と機械論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・312

  3)生物的なもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・316

  4)生命の弁証法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・318

  5)生命論の在り方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・321

3,4 生物学論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・324

  1)生物学の位置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・324

  ◎原図と異なります。ご容赦ください。

    形式科学(数学)

                       

 科学         

          自然科学(現象論的  発生論的  組織論的)

           実質科学

          精神科学(現象論的、発生論的、組織論的)

ーーーーー

自然科学  現象論的 (物理学・科学。生理学)  

      発生論的 (宇宙発達史、地質学・生物発生学)

      組織論的 (記述学的星学・地理学・鉱物学。生物系統学)

          

      現象論的(心理学・社会学)

精神科学  発生論的(歴史学)

      組織論的(系統的法理学・系統理論学)

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  2)生物学の構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・328

  3)集団の生物学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・330

3,5 理論生物学の形成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・336

  1)生物学における「理論」の問題・・・・・・・・・・・・・・・・・336。

。建設には非常な関心と興味とを有するものであるが、現代生物学のこうした極端な混乱状態は一体何に起因するのであろうか。

  2)理論生物学への道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・344

  3〉量子生物学の問題性-方法論的考察ー・・・・・・・・・・・・・・351

   1から4

  1927年、モルガンの弟子マラーがショウジョウバエにX線を当てて人為的に突然変異体を作るに至った。人為的突然変異が可能になった。

      ドイツの理論物理学者ヨルダンの量子生物学(1939)の提唱。巨視生物学に対し微視物理学的なの関係がありうるのではないか。

 

3,6  生物学の方法論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・360

  1)生命の公理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・360

  2)生物学の対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・362

  3)生命の合目的性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・363

  4)生命現象の法則性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・365

  5)生物学の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・367

 

あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・373

 

4、本邦における理論生物学の発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・374

  民主主義科学者協会理論生物学研究部編(民科)「生物科学」

      1949 岩波書店

 昭和21年9月 民科理論生物学研究会(責任者 八杉龍一)が作られた

  丘 英通、八杉龍一、碓氷益雄、柳田為正、柴谷篤弘、石井友幸、高梨洋一、

  沼田眞など。

  さらに民科の京都支部に、仙台に永野為武のグループ これらが季刊誌

   「生物科学」を生むことに。

◎民主主義科学者協会(略して民科)はブログ筆者の東京教育大在学のころは、部会により衰えているものがありました。また当時民科の学生版がいくつもありました。都物集(物理)都数集(数学)生懇(生物学)などがありましたが、東京教育大の地学の午来正夫氏の地団研が最も活動が盛んでした。地団研は1957年、民科から脱退し現在もつづいています。

5、ゲーテの植物学-生物学史の1試論・・・・・・・・・・・・・・・388

  同上「生物科学」1949

 1,まえがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・388

 2,ゲーテ植物学のおいたちとその背景・・・・・・・・・・・・・・・390

 3,植物学上の業績とその評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・393

 4,方法論としての型の論理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・395

 5,進化論と後成説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・399

 6,生命観と世界観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・405 

 7,むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・409

  引用文献

  関連著文7: 『生物学のゆくて』・・・・・・・・・・・・・・・・413

    千葉県長狭バイオロジー研究会編 「バイオロジー」No5   1951

6、理論生物学に対する私見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・415

   民主主義科学者協会編「自然科学」霞が関書房1949

  関連著文8:沼田眞著 「最近の生物学の動向」・・・・・・・・・・417

     教育技術連盟編「教育技術」小学館 1954

 

沼田 眞先生の生物学史研究   

       岩田好宏・・・・・・・・・・・・・・421

 沼田眞先生は、実証的生物学の研究者としては異例と言えるほど生物学史研究に大きな力を注がれました。沼田先生にとって生物学史は、生物学を専門的に研究することになった学生時代から始まり、生涯を通じての研究領域でした。沼田先生の生物学史に関する論著は次のようなものです。

 p423  "科学史とは単に科学上の事実の継起的羅列ではない 、史的事実を、木に竹をつぐよう、本質的には不連続に繋ぎ合わせた結果は、決して科学の成立発展を明らかにしてくれない。科学史は科学の「歴史」であるよりも「科学」の歴史である。科学史の最大の目標は、科学の真の性格を明らかにし、現代の科学を理解せしめ、あるいは更に将来の科学への見通しを与えるところにある ,と。さらに”・・・科学史は、まず第一に科学思想史でなければならないと思う”とも述べられています。~先行研究を調べる言うのは一つの史的作業です。

 沼田先生の生物学史研究はむしろその広がりと深さに大きな特色があると考えます。

第2巻所集論著順番  表

1942年

2002年

◎参考  ブログ筆者より

1886年に東京高等師範学校設立

1929年に東京文理科大学設立される 小石川区

1949年に東京教育大学設立される

1969年 つくば移転反対闘争 機動隊導入

1973年10月 筑波大学開設される(新規学生募集)

1978年(昭和53年)3月末 東京教育大学閉鎖される

     最後の東京教育大学生卒業(重なる期間が4年半あります)

◎追記

  岩田先生は筑波大を東京教育大学の引き継ぎ校とされていました。もう全く別物と否定しなくてもいいとも思いました。先日筑波大を出た方が私のことを先輩と言っていました。後輩がいるのもいいものですね。

解 説 (岩田好宏)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・425

1、沼田 眞生物学理論研究の概要・・・・・・・・・・・・・・425

  1,1沼田生物学理論研究の世界

  1,2沼田生物学理論研究の後・・・・・・・・・・・・・・・426

表1 (p426) 沼田眞の生物学理論の世界

 N 植物集団学研究にかかわる理論研究

   Nー1 植物集団学研究のなかでの理論研究

     N1a  実際の調査研究の進め方に関する理論研究

     N1b 調査に必要な仮説の設定、調査結果によ

        る検証や研究結果の評価など結果を導く

         理論研究

   Nー2 植物集団学研究の方法開発に関する理論研究

     N2a 植物集団を形成している格個の生活様式に

        関する理論研究

     N2b 植物集団の構造を明らかにするための理

        論研究

   n純粋の理論(理論生物学研究)

   n-1 植物集団学研究の方法開発の基礎に関する理論研究

              n1a  ヨルダンの量子生物学、ドブジャンスキーの

        集団遺伝学に関する理論研究

              n2b  ゲーテの植物学に関する研究

   n-2 生物学純理論研究

              n2a  生物学一般の方法論に関する研究

             n2b  生物学の中の特定の分野(植物生態学)に

         関する研究

 

表1

 

210730_1501_01

p427沼田眞の生物学理論研究の場合 3つの段階を経て発展している。

210730_1500_01

2、沼田眞の植物生態学研究と理論研究との関係・・・・・・・・429

はじめに

  2-1 初歩期純粋理論研究と植物生態学研究

  2-2沼田先生の基礎期の理論研究

  2-3沼田先生の完成期の理論研究・・・・・・・・・・・・・・432

  1)3つの成果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・432

   完成期の生物学的理論研究は、1947年から始まった。

   ①『生物科学』に発表された「本邦における理論生物学

     の発展」

   ②1918年に公刊された『生物学論』と1949年に完了された

     『生物学概論』

   ③1972年の「生物学的原型観の系譜とゲーテの位置」の下

      が形成された。

  2)沼田先生の純粋理論研究の2著誕生の経緯・・・・・・・・・・433

    「生物学論」と「生物哲学概論」が、純理論研究の完成期

     の作品である

   (1)1946年 「世界哲学全書」の第1巻として「生物哲学」の執筆依頼

   (2)1947年 「生物哲学概論」執筆を再開

   (3)1948年 「生物学論」を刊行する

   (4)1949年 「生物哲学概論」出版社の倒産で刊行されず

  3)沼田眞著「生物学論」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・435

   生物学理論研究の成果  「柴谷書」の観光に対しての批判

  4)「生物哲学概論」は生物学理論研究書・・・・・・・・・・・・437

   戸坂書に従って世界観は人生論であるとみるならば、生物哲学にもう一つ人間は生物世界といかにかかわればよいか、という問いにこたえる使命がある。

   表ー2 沼田眞著 「生物哲学概論」の構成  p439

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3 沼田生物学理論研究の日本における1926年から

   1950年までの生物学理論研究のなかでの位置・・・・・・・・441

  3-1  日本における1926年から1950年までの生物学理論研究史

  3-2 戸坂 潤著「生物学論」・・・・・・・・・・・・・・・・446

            「戸坂書」、「丘書1」については、沼田先生は強く批判しながらも、その生物学論の重要な基礎としていた。戸坂はカント哲学から弁証法的唯物論に転換して間もなくで、「科学論」執筆の準備期であったと思われる。

  3-3 丘 英通の「生物学概論」と「機械論と生気論」・・・・・450

   ◎丘 英通は有名な進化論研究者丘浅次郎の息子である。丘浅次郎は明治元年生まれ、東京文理科大学などの教授になった。『進化論講和』などの多くの本を書いています。

     丘書1は、1931年2月に『岩波講座生物学』として書かれた「生物学概論」であり、同じ年の12月に「機械論と生命論」(丘書2)を書いた。沼田先生はその両書を批判した。

  「戸坂書1」生物学論の枝葉をそぎ落として純粋に哲学的に核心となる課題のみ検討したのに対して、丘には生物学研究のそれまでの成果を取り入れて包括的、体系的に生物学を論じようという問題意識を感じる。p452

  丘書2 「機械論と生命論」全体論が表れてきて、新実在論の立場に立って新たな生命論を論じようとする。全体論を支持する立場。

  「理論生物学」は実証的研究の助成・支援の位置にある。実証性をという生物学の立場から生物学の独立した部分ではない。したがって理論生物学という名前は適当ではない。「純理論研究」というべきである。p456

   4つの要件、1統一方法論は 個々の生物学の方法論を明らかにしながら、生物学の方法論を構築するしかない。丘書では下からの理論生物学と述べたが、これは「上向理論研究」ともいうべきものである。 2は方法上のことである。生物世界は物理化学的世界の法則性から逸脱して存在することはあり得ない。第3の方法上の問題、哲学との関係 各個生物学を全体の中でどう位置付けるかの問題 第4の要件 生物学と社会の相互関係の問題

    ◎ 丘英通先生はブログ筆者の1、2年の時の主任教授でした。 私たちは丘先生がそんなに偉い先生とも思っていませんでした。碓氷先生もこのころ助教授でした。

    京都大学の生物学から代議士となった、山本宣治は丘浅次郎の進化論的人間観を厳しく批判していました。

 

p469 理論生物学研究成立要件による評価

  戸坂書、丘2書、柴谷書、沼田2書、八杉書の比較

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  3-4 生物学の純理論研究(理論生物学)と生命論・・・・・・・454

      1) 理論とは

  2)生物学研究における理論についての1つの整理

   3)理論生物学の行き詰まり―生命論の混迷

  3-5 柴谷篤弘著「新訂理論生物学―動的平行論」について・・・460

  3-6 八杉龍一の「理論生物学」観       ・・・・・・・464

        八杉龍一の『生物学の方向』1948年刊(八杉書)は、沼田先生の『生物学論』と同じ年に発行された。八杉は父親がロシア語学者のためルイセンコ学説や生物学史の論文を多数発表している。八杉は民主主義科学者協会(民科)が設立された後、1946年に碓井益雄と柳田為正と3人で「理論生物学研究会」の設置にかかわった。その機関紙「生物科学」が岩波書店から1948年に創刊されたが、その名は八杉の提案だった。その初代編集代表は沼田先生であり中心であった。

 

  3-7 沼田生物学理論研究の当時における日本の生物学理論研で研究の中

     での位置              ・・・・・・・・・467

  1)生物学における純理論研究の要件

  2)各生物学理論書の、純粋理論研究の視点から見た特色。

  3)沼田眞の生物学理論研究の特徴

           沼田先生生物学理論研究は、同時代のほかの理論研究に比べ、純粋理論と実証的研究を同時併行的に進め、さらにその相互の連関が密であったことに見ることができる。丘英通も同様な方向。丘が2つの著書を執筆した当時もっとも関心を持ったのが実験発生学であった。~八杉龍一は実証的研究から進化論を中心とした生物学史へと研究領域を変えた。柴谷篤弘は沼田先生と同様純理論研究学生時代から始め、ともに実証研究と並行させたという点では共通している。しかし、実証的研究との関係を重視して理論的研究に取り組むことはなかった。柴谷篤弘の取り組み~。

 これに対して沼田先生は4つの理論研究と実際の実証的研究を進めていた。

   ①実際の実証的研究の中でそれと不可分の理論研究    

   ②実証的研究に必要な方法の開発の理論研究

   ③生物の集団の学としての生態学の純理論研究

   ④生物学一般の方法論追及の理論研究

   この1から4の4つを相互に密に関連させながら進めたとみることができる。

 第2のこととして、沼田先生の生物学理論研究が、ご自身の生物学研究の中でどのような位置にあったか、これも一言でいえば、植物集団の学の方法論追及手段の位置にあった。

  沼田先生の理論研究は、先に述べたように4つの領域でみられるが、それらは最終的には自身の生涯の前半をかけた植物生態学方法論の構築築とともに収束したとみることができる。、この第2巻の副題を”新しい研究領域開拓の軌跡”としたのはこのためである。こうした生物学理論研究は、他に例を見ない。

 

資料  沼田眞著作集年表(1941~1950)  ・・・・475~477

 

 

編者あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・478

    この第2巻の沼田先生の書かれた諸論文を、初めから順に読み進んでいきますとお分かりになると思いますが、前に書かれた論文の一部がのちの論文の中に見られ、それが核となって論が大きく展開されて発展してゆきます。量子生物学を提唱したパスクワル・ヨルダンの3つの論文の紹介が何回もあります。橋田邦彦の全体論的生気論や、生物を「直覚」するなどを含む全体論の批判の同じ文章が何回も出てきます。ゲーテを進化論者のさきがけと述べていたダーウインやヘッケルに対して、それは誤りであると指摘した文章もも出てきます。またフランスのクロード・ベルナールの機械論と生気論についての苦悩の中から生まれた考え方の紹介の文章も何回も出てきます。石井友幸の認識論の引用、早田文蔵の「動物分類学」に対する激しい批判から。

 この第2巻の編集方針については「はじめに」で簡単に述べましたが、沼田先生の生物学理論研究の軌跡をたどり、「生物哲学概論」でその全体像を読み取っていただきたいという願いから編みました。

編者者紹介

    岩田好宏(いわた よしひろ)

    1936年2月 東京生まれ

    1958年3月 東京教育大学理学部(動物学専攻)卒業

    1958年~1996年 千葉県公立高校教諭

    1984年~2008年 立教大学などで非常勤講師

 

現在の研究分野

  生物学習助成学、人間学、生物学基礎論

 

所属学会・団体

  千葉県生物学会会員、人間学研究所所長、総合人間学会理事、子どもと自然学会・野生生物保善論研究会顧問

編著書

  『野生生物保全事典』、(緑風出版)、『子どもと自然大事典』、(ルック)、『野生生物保全教育入門』(少年写真新聞社)など

 

ブログ筆者のコメント

◎戸坂潤はブログ筆者が最も尊敬する学者です。戸坂潤は弁証法的唯物論の立場から哲学的人間学のマックス・シェーラーらをてきビしく批判していました。ブログ筆者も戸坂潤と同じ立場です。以前ブログ筆者が哲学的人間学を批判的に書いた論文を、シェーラーの立場に立つ哲学的人間学会の立場に立つ小林直樹氏とはうまくいかなかったのです。

◎民科の流れをくむ生懇(関東生物科学生懇談会)には八杉龍一氏や柳田為正氏などに、着ていただいた。生懇から人間学研究会が独立した後も例会に来ていただいたり連絡をしたりしていました。

◎同じ東京教育大学の生物科と言っても、動物学専攻と植物学専攻では交流がほとんどありませんでした。生懇でも植物学の人は私たちの世代ではあまり来ていませんでした。またさらに私は大学2年生ころから生物学・動物学というより幅広く人間学として勉強していましたから生物学に関してあまり詳しくありません。岩田先生の本に対して適切なコメントができなく、申し訳ありません。

◎岩田先生は人間学研究所設立当初(1999年)から参加していただいております。ほかの学会などで学会運営の基本に詳しく、人間学研究所の組織、『人間学研究所年誌』(現在第18巻)、『人間学研究所通信』No90(Humanology)に対して基本的な枠組みを作られました。人間学研究所の初代所長は柴田義松氏でしたが2代目は岩田好宏氏です。

  

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