工作舎の本のご紹介2 『巡礼としての絵画』メディチ宮のマギ礼拝堂とゴッツォリの語りの技法
『巡礼としての絵画』はメディチ宮のマギ礼拝堂に描かれたベノッツオ・ゴッツォリの壁画の紹介の本です。
著者 前川久美子 4800円+税 2009年9月20日 工作舎刊
前川久美子氏は獨協大学外国語学教授 西洋美術史
本文 229ページ 注 283ぺーじまで(絵画の説明) 全文 315ページ
フィレンツェ、パラツォ・メディチ礼拝堂を飾る絢爛豪華な壁画
注文主コドモらメディティ家の人々が書かれたことで知られる「マギの旅行」
そして、「羊飼い」「天使たち」「祭壇画」「幼児礼拝」
そこには「代替巡礼」の図像プログラムが意図されていた。
自らを画中に描いたベノッツオ・ゴッツォリは、視るものに指示を与え、天国へと導く
生前に墓を送られるほど人気を博したルネサンス画家の、
その「語りの技法」は師フラ・アンジェリコを受け継いだものなのか
ベノッオの「語り」を丹念に追う
◎この本では大変多くの図版が載せられています。
深い罪の意識におののき、年老いて病を患うコジモ(メディチ)が、長時間過ごした礼拝堂に
描かれる図像に、信心を助ける機能をもとめないことがありえようか。
それはコジモの信心を助けるために制作され、実際にそうした目的で使われて
いたのではないか。(本書 第1章より)
◎「マタイによる福音書」でマギとはイエス生誕の印たる、星を見た東方の3博士をいう。
magic の元ともなる。マギは没薬と乳香と黄金を幼児のイエスにささげる。」
コジモはマギ同心会を手厚く保護する。マギはさらに西欧の君主がマギとして
膝まづくようになる。
本の目次
序
第1章 パラッツォ・メディチ・リッカルディ礼拝堂の図像プロゴラム
第2章 代替の巡礼と絵画の機能
第3章 マギ図像と鑑賞者
第4章 ベノツォ・ゴツツォリの語りと絵画の場
第5章 ベノツォ・ゴッツォリの語りの技法の源泉
第6章 語り手としてのベノツォ・ゴッツオリ
本の表紙
裏表紙
ゴッツォリ(天使たち)1459年 メディチ礼拝堂 内陣右壁
右は羊飼い
フィリッポ・リッピ 幼児礼拝 1459年ころ
ゴツッオリ 「天使たち」 1459年 メディチ礼拝堂 内陣左壁
左 羊飼い
ゴッツォリ 1459年 パラッツォ・メディチ礼拝堂 マギの旅行より
下図はメディチ家の人々とベノツィオ 部分
ボッチチェリ マギの礼拝 1970年代前半
p42
礼拝堂における鑑賞者、信者の動き
p43巡礼を経て救済に至る鑑賞者・信者の動き
◎ コジモ・デ・メディチは1389年生まれ。フィレンチェ共和国生まれ。
銀行業など多くの仕事を行う。政治の実権を握る。納入する税65%の
65%を負担し、祖国の父と呼ばれた。プラトンアカデミーの設立など
文学芸術などに貢献した。
◎個人の邸宅内に設置された最古の礼拝堂の一つ。パラッツ・メディチ
礼拝堂、1457年に完成。
◎マギの旅行にはメディチ一族とその友人たちの肖像画書きこまれている。
◎メディティは深い罪の意識におののき、年老いて病を得る。
天国への巡礼の為。
◎「ヨハネの黙示録」に基づく週末における救済をもとめる
1464年死去。
◎この本は本文229ページの中に多量の図版が載せられています。特にカラー図版は
14ページ、本文中に大量の図版が載せられています。
232ページからは注が、287ページにわたって書かれています。総ページ数315ページ。
◎この世での栄耀栄華を誇るとも、人には寿命があり、晩年には病気になり、死んでしまう。
藤原道長は1018年ごろ、有名な歌「この世を場わが世とも思う望月のかけたることも無きと
思えば」の歌を詠み、絶頂を迎えたようであるが1019年には病のため出家。1028年には
62歳で死去した。宇治の鳳凰堂を立て来世にきぼうをもつ。コジモ・メディチと似ている。
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