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2024年9月15日 (日)

『脱炭素化は地球を救うか』という本について、温暖化はメリットが大きい。その通りと思うのですが。

 2024年8月20日に新潮選書で出版された、池田信夫氏が書かれた書物、『脱炭素化は地球を救うか』は、世の中のほとんどが、地球温暖化論に染まっている中で、かなり今では勇気のある書物になっています。先日,私たちは、長年取り組んでいた人間学研究所の成果を紹介する意味で、『人間って何ですか』という本を2024年1月20日に工作舎で出版しました。工作舎で出版する前に他の出版社で出版すべく取り組んでいただきました。その、前の出版社でブログ筆者は控えめながら二酸化炭素地球温暖化論に批判的な文章を書きましたが、編集者の方の、この文章はいれないほうがいいというお話で消去しました。現在は世の中全体に圧倒的に「二酸化炭素地球温暖化論」の方が圧勝のように思えます。今では「二酸化炭素地球温暖化懐疑論」を提唱するにはよほどの勇気がいるような事態になっています。

『脱炭素化は地球を救うか』という本について世の中ではどのように評価されるのでしょうか。本の内容の一部をご紹介します。

はじめに から

 2023年7月の記者会見で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わりました。地球沸騰化の時代が到来しました。もはや空気は呼吸するのに適していません」と述べた。~

 2023年度の地球の平均気温は、工業化前を1,45度上回り、国連が設定した1,5度Ⅽ上昇まであと0,05度Cまで近づいたが、幸い地球は滅びていない。~国連のグテーレス氏は「地球を救え」と言っているが、地球は救ってもらう必要がない。地球にはマイナス20度の氷河期があり、今より暖かい中世温暖期もあった。温暖期の方が農作物は豊かだった。多くの動物にとっても温暖化は望ましい。~

 マスコミには「気候変動で地球環境が危機に瀕している」という悲観論が多く、それに少しでも疑問をさしはさむと「温暖化懐疑論」としてグーグルの検索ではじかれたりする。他方でアメリカのトランプ前大統領のように「温暖化は作り話だ」という人もいて議論が2極化しているが、この問題は極めて複雑である。~

 しかし「温暖化で地球が破滅する」と一部の政治家が言い始めたため、国連も調査を始めた。気候変動は科学の問題ではなく、政治の問題になったのだ。温室効果ガスを減らす政策に多額の公的投資を行うには、少なくとも次の3条件が必要である。

1、地球の平均気温が上がっており、その被害が大きい。

2、温暖化の最大の原因は人間の出す温室効果ガスである。

3、脱炭素化のコストは温暖化の被害より小さい。

 1、この30年くらい気温が上がっているのは事実であるが、12000年前の大きな気温上昇があり、1000年前の中世温暖期があるので、温暖化は現代に特有な現象ではない。現在もそれほど大きな被害は出ていない。

 2、温暖化の一つの要因の二酸化炭素は温室効果ガスの要因であるが、人間活動が最大の要因であるかどうかはわからない。最大の原因は太陽活動なので、それを捨象して将来予測はできない

 3,2023年に世界で使われた温暖化対策のコストは1,8兆ドルと推定される。地球の平均気温は上がった。CO2排出を実質0とするには毎年4,5兆ドルが必要。温暖化の被害がそれより大きくない限り、温暖化対策は正当化できない。

「本書はトランプのような『温暖化否定論』ではなく、温暖化が起こっていることは認めたうえで、その原因を調べ、対策の費用対効果を考える、「温暖化対策懐疑論」である。これは温暖化を疑うのではなく、それが人類の破滅をもたらすという悲観論を疑うとともに、人類が気候を変えられるという楽観論を疑い、温暖化対策の費用対効果を考えるものだ。

 「温暖化は人類存亡の危機なのでコスパなんか考えるべきではない」という人もいるが、今国連のIPCCが予想している3℃前後の温暖化で人類の生存が脅かされることはありえない。むしろ政策資源が温暖化対策に片寄ることで、感染症や食糧危機など生命命に関わる問題への開発援助が減っている。環境保護の目的は気温を下げることではなく快適な環境を守ることだから、これは本末転倒である。

 

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序 章 地球は「気候危機」なのか

 都市の暑さの原因は気候変動ではない p18

 真夏の暑さがひどいと、テレビで「地球温暖化の影響だ」というが、日本の都市部で体験する気温上昇のほとんどは気候変動の影響で はなく、建物や道路の照り返しによる「ヒートアイランド現象」(UHI)である。気象庁のデータを見ると日本全体の平均気温は100年間で1,5度上がったが、東京、名古屋、大阪、の3都市の平均気温100年で2,8度上がった。このあいだに地球の平均気温は1℃上がったので残りの18℃はUHIだと推定される。

 地球の平均気温2度くらい上がる。東京都と宮崎県くらいの差。日本全体では住みやすくなる。農作物も増える。都市化による温暖化(UHI)

第1章 人間は地球に住めなくなるのか

 人間の出す温室効果ガスの影響は1%程度。~温暖化により大気中のCO2が増えたのだ。温暖化の最大要因は自然現象。~食料危機を解決する最も低コストの手段は脱炭素化ではなく、干ばつに強い品種に変えるなどの農業技術援助である。少なくとも農業に関する限りプラスにならない。寒さの死者は暑さの死者の9倍なので~

第2章 「グリーン成長」は幻想である

 LNGのエネルギーを水素に変え、それをアンモニアに変えて日本に運び、それを燃やして発電するものだから、明らかに無駄で、直接LNGを日本に輸入したほうがいい。~水素の「炭素粉飾決算」

第3章 環境社会主義の脅威

      温暖化は熱帯の防災問題なのだ.最悪の場合2100年までに何が起こるのか―地球規模でみると、ほとんどの被害は熱帯に集中している。先進国で考えられるのは、毎年1センチ以内の海面上昇で、これは通常の防災対策の範囲である。寒帯では最低気温が上がるメリットの方が大きく、温帯ではほとんど体感上の変化はない。~脱炭素化は、先進国の高価な自己満足なのだ。

第4章 電気自動車は「革命」か

  日本ではハイブリッド車の方が10万キロメートルまではCo2排出量が少ない。~電気自動車で脱炭素化できるのか。~EUは電気自動車を政治利用する。~解決策はライドシェア。

第5章 再生可能エネルギーは主役になれない

  メガソーラーは環境を破壊する。~日本の電源のうち再エネは20%前後で頭打ちになり、森林を破壊するメガソーラーは周辺住民の反対で止まり、新規のFIT認定(固定価格買い取り制度)はほとんどなくなった。もともと平地の少ない日本で、土地集約的な再エネが主役になるはずがなかったのだ。~もう再エネを敷設する場所がない~カーボンフリーの莫大なコスト

第6章 電力自由化の失敗

   イギリスのサッチャー首相が始める。電気代は下がらず 電力自由化で電気代が上がった。~再エネ優遇が生んだ電力の不安定~ブラックアウト寸前の事態~電力自由化で電気代が上がった。

第7章 原子力は最強の脱炭素エネルギー

    原子力は最も安全なエネルギー~(原子力発電の死者数 ) 原子力政策の大転換が必要である~

第8章 脱炭素化の費用対効果

   脱炭素化の費用はその便益よりはるかに大きい。~ 合理的な解決策は炭素税。~化石燃料を減らすと地球温暖化が加速する。~緊急対策は「気候工学」~最適な気温上昇は2,6C- 必要なのは脱炭素化ではなく、被害を受ける熱帯に焦点を絞った適応である。

終章 環境社会主義の終わり

   1,5C目標は死んだ。~化石燃料は命を救う~緩和から適応へ ~ COPの歴史は、科学ではなく政治が気候変動対策を決める歴史だった。バングラで大事なのは100年後の気温ではなく、今日の生活に必要な電力である。~気候変動問題は、EUの意識の高い金持ちのお遊びだったが。~ウクライナ戦争で化石燃料の不足が経済に及ぼす絶大なインパクトが明らかになった。~グローバルサウスは「脱炭素化より生きるためのエネルギーが必要だ」と声を上げ始めた。

 

補足

序章 地球は「気候危機」なのか

 国連で話題になったスエ―デンの高校生、グレタ・トゥーンべリは地球温暖化で人類が「地球温暖化の時代は終わり大量絶滅」するというが、これは噓である。人類は絶滅どころか、人口が激増している。地球上の種の数は減っているが、その原因は温暖化ではなく、人類が環境を破壊し天敵や害虫を殺してきたからだ。

 グレタを利用しているのは、彼女を「人類の未来の代表者」として利用する大人である。国際紛争を調停する機能を失った国連は、今や気候変動が唯一の仕事となったので「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」という。本当に地球はそんな危機なのだろうか。~

 熱波に関していえば、一番簡単の方法は冷房することである。熱帯の国にはまだほとんどエアコンは普及していない。先進国がエアコンを配る方が、莫大なコストのかかる脱炭素化よりはるかに安上がりだ。~

都市の暑さの原因は気候変動ではない。

 日本の都市部で体験する気温上昇のほとんどは気候変動の影響ではなく、建物や道路の照り返しによる「ヒートアイランド現象である」(UHI)~日本全体の平均気温は100年間で1,5度C上がったが、東京、名古屋、大阪の3都市の平均気温の2,8℃上がった。この間に地球の平均気温は1℃上がったので、残りの1,8℃はUHIだと推定される。

 第7章

 再処理や高速炉に投入されてきた人的・物的資源を、政府が再配分し、世界でもトップレベルの原子力技術を残すべきだ。残された時間は少ない。

◎ブログ筆者 

 この本について多くの点で特に気候変動については本の著者に対して同意見です。しかし原子力利用には異論があります。124ページでスリーマイル島の事故では死者ゼロ、1986年のチェルノブイリ事故の死者では60人、福島では死者ゼロだから、原子力発電の事故は60人であり、1年に1人も死んでいない,と書いています。ところが「データで見る福島第一原発事故」で検索してみると、福島原発事故の死者として2013年11月1日の報告では、下記のようであり、原子炉は日本のように地震の多い国には向いていず、できるだけ早く廃棄していくべきであると思います。原発事故のその時の直接の死者はないにしても、発表では直接死1605人、関連死2339人となっています。これはまだ増え続けています。日本は放射能汚染でまだ完全に汚染状態から抜け出ていません。日本には深刻な断層だらけです。東日本大震災後、福島の原発の近くまで行ってきましたが、つくづく日本のように地震の多い国に原発は向いていないと思いました。

終章 環境社会主義の終わり

 ロシア革命からベルリンの壁の崩壊まで72年かかったが、環境社会主義の終わりは意外に早く訪れそうだ。100年後の気温を1℃下げることより大事な問題が、世界には山ほどある環境政策の目的は快適な生活を実現することであって、Co2を減らすことではない。脱炭素化のために途上国に貧困を強いることではなく、経済発展で豊かになることによって環境を守る道を考える必要がある。~

 100年後の気温を1℃下げることより大事な問題が、世界には山ほどある。環境政策の目的は快適な政策を実現することであって、CO2を減らすことではない。脱炭素化のために途上国に貧困を強いるのではなく、経済発展で豊かにすることによって環境を守る道を考える必要がある。

◎もっともな考え方である。しかし、世の中の風潮はそうではない。地球二酸化炭素温暖化論が圧倒的に強いのが現実である。

この本に対しての世の中の反応を見てみたい。

池田信夫氏

 株式会社アゴラ研究所代表取締役所長 経済学者 1953年京都生まれ。東大卒 NHK勤務。国際大学GLOCOM教授などから現職。

 

ブログ筆者追記

 地球の多少の温暖化は、昔からいいことが多いのです。逆に寒冷化は様々な困難を引き起こします。縄文時代には北海道の礼文島にも多くの縄文人が住み素晴らしい縄文文化を残しています。江戸時代でも温暖な時にも、雨が適度に降れば米が豊作になります。福島に有名な相馬盆歌というのがあります。”あーあ、今年や豊年だーよ、”という。誰でも知っている歌詞です。ところが時に”山瀬”と言われる冷風が吹くときがあります。その時には、米はならず恐ろしい飢饉となります。昔から2,3度、気温が高めの時には雨が降り却って豊作になります。昔は日本でも地球寒冷化で恐ろしい被害が日本でも出るのではないかと心配されたものです。日本で2,3度高ければエアコンで冷房すればよく、冬が2,3度高ければ快適になります。東京も沖縄位になればいいなと、思っています。

 

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