「水説」で日本に不向きな分野「原発」と。東芝の危機。追記更新版 輸出も全滅。日立英計画の凍結発表。各紙一斉に原発批判。
2019年1月18日の日経新聞朝刊1面に「民営原発」世界で限界 日立、英計画の凍結発表」と出ていました。(以下記事)
日立製作所は17日、英国での原子力発電所の新設事業を凍結し、2019年3月に約3、000億円の損失を計上すると発表した。東京電力福島第一原発事故後に安全対策費が高騰し、日本の原発輸出はすべて暗礁に乗り上げた。欧米企業も苦戦が続き、国家が主導する中国・ロシア勢が台頭する。原発ビジネスは世界で「国策民営」の限界を露呈している。 (日英―国策の具体化を民間にゆだねる、国策民営)
2013年を境に原子力は発電コストが最も高いものになってきています。
新設案件がないにもかかわらず、国内には原発メーカーが3社、電力会社が10社強ある。金属部品や建設業を含めれば原発関連企業は国内400社を超え、事業を撤退・縮小する企業も出始めた。
再生エネの発電コストが大きく下落しているのに反して原発の発電コストが大きくなった。それなのに、エネルギー基本計画では30年の全電源の占める比率は20~22%とする目標を掲げる。~ 日本のエネルギー政策の見直しが急務になる
◎すでに日経新聞でもこのようにみている、相変わらず原発にしがみつく安倍内閣はよほどアメリカの圧力と原発関連企業と結びつく利益があるのでしょう。
1月21日の毎日新聞の記事、「原発はもうからない」の最後に
それでも安倍政権はあきらめない。1月18日の菅官房長官の記者会見で、原発について「人材、技術、産業基盤の維持・強化は不可欠」と述べた。だが夢から覚める時期が来ているのではないだろうか。
と書かれている。
原発はもうだめだ。各紙でも一斉に報道 1月22日 追記
1、2019年1月21日の毎日新聞夕刊に、1面に「時代遅れの原発事業」、2面に大きく「原発はもうからない」、「輸出総崩れでもあきらめない安倍政権」「と出ていました。
2面
2019年1月22日 赤旗 1面
原発関連廃止費用14,7兆円 高コストくっきり
社会面
「原燃元幹部 見積過小」、「原子力施設の廃止費用底なし」
16日処理施設で最も廃止費用が高額なのは、青森六か所村にある日本原燃の再処理工場で,約1兆6000億円です。日本原燃はこのほかMOX燃料工場と合わせ計1兆7300億としています。再処理工場解体に伴う放射能廃棄物放射能の発生推定量は約3万2000トンです。ここの費用の見積もりは過小評価とみています。
原子力日本研究開発機構は「もんじゅ」に1500億円、東海処理施設に7700億円など、合計で約1兆9100億円の廃止費用と見積もっています。
最終的には国民負担に、最終処分場めど立たず
日本の原発輸出計画の結果 全滅 日経新聞 1月18日
英国 日立計画を凍結 2019 東芝の子会社が解散
米国 東芝の子会社ウエスチングハウスが巨額損失で破綻。
テキサス州での計画から撤退
インド 輸出のため原子力協定締結したが、受注ロシアに負ける
リトアニア 日立が受注したが、国民投票で反対、頓挫
トルコ 三菱重工が受注したが、条件会わず断念
ヨルダン三菱重工とフランスで受注目指したがロシアが受注
アラブ首長国連邦 日立とGEが受注目指したが韓国に負ける
ベトナム 三菱重工と東電で建設合意したが、16年に撤回
台湾 日立、三菱重工、東芝で計画したが14年に凍結発表
「再エネ台頭 原発に誤算 日立、英計画の凍結発表 投資マネーも圧力に」
17面のビジネスTODAYの記事で大きく取り上げられています。
日立株は日経平均に見劣りがする。今季純利益72%減。
記事によればー投資家の目も厳しくなっている。「原発のように先行きが不透明な事業を持つ企業の株を中長期で持ちたいとは思わない」(国内投資顧問)原発事業はリスクと。
それは日立首脳も意識。英国での事業凍結が伝わった今月11日は株価が前日比9%上昇した。
◎日立、東芝、三菱重工の原発3社は早く原発事業から撤退すべきなのです。11年にドイツのシーメンス社はすでに撤退しました。
事業統合「議論したい」東原社長 原発の人材確保必要
◎「CO2の削減に原子力がよい」などとまだいって居ます。「地球人為的二酸化炭素温暖化論」と原発推進を結び付けようとしているのです。
現在のところ原子力発電所は電力会社にとって資産として計上されています。しかし、廃炉が決定されたとたん、膨大な負債に変わります。1台の原発に膨大な費用が掛かります。プラスのものが一挙にマイナスになるのです。
日本には原子力関連企業が高い膨大な下請け産業群に支えられていて、地方自治体も原子力企業群にささえられています。
日本では、日本の高い技術力をもってすれば、プルトニウムを持っていれば、簡単に原水爆を作れます。また高いミサイル能力もあります。このような力を保持したいという勢力が日本に根強く存在するのです。そのあたりのことは岩城正夫氏がずっと前に指摘されていました。
「こういちの人間学ブログ」2012年7月2日
「原発と核兵器の問題 岩城正夫氏の先見性 核武装のための原発論」
http://koiti-ninngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2012/07/post-6feb.html
◎2019年1月22日
フィンランドのオルキルホルト原発の処分場は、安定した花崗岩の岩盤の地中深く作られ、洞窟を意味する、オンカロと名づけられました。使用済みの核燃料廃棄物を10万年閉じ込める施設である。日本では火山や地震が多くオンカロのように地盤が安定したところがなく、フィンランドよりもたくさんの原発があるにも関わらず、最終処理場が決まっていない。それで、「トイレのない、マンション」と言われる。しかし、インターネットを見るとそのようないいかたはおかしいという意見もあります。
小泉元首相はオンカロを見た後、原発反対に転じました。安倍首相はじめ原発を推進する人々は、このような危険極まりないものを、どうして次世代に残してしまうのでしょうか。
日経新聞でも、原発はもうだめだと報道している。しかし読売新聞は原発推進を読売新聞の社主だった正力松太郎が原発を推進してきたので、最も原発推進派である。原発により、プルト二ウムを持つことは潜在的に核武装する力を持つことができると、自民党でも読売新聞でも書いている。いくら危険でも採算が合わなくても原発を維持したいのである。
2018年、日本の安倍内閣が国策としてきた原発輸出が相次いで失敗しました。
毎日新聞2017年1月25日(水)の朝刊に論説委員中村秀明氏の「水説」が連載されています。興味深い論説なので紹介いたします。
スキャンができず、見にくくて申し訳ありません。
「向かない仕事」
お国柄というべきか、国によって向き、不向きがあるというのは笑いの種になり、欧州の国民性についてのジョークはよく知られる。
国によって向き不向きがある、ということで、「最高を望むなら料理人はフランス人、技術者はドイツ人、銀行家はスイス人を選べ」。、逆に最悪の選択は、「イギリスの料理人、フランス人の技術者、イタリア人の銀行家」という。
ここから先は笑えない話だが、日本人が絶対に不向きだと思える分野がある。「原子力」である。国策としての技術開発も、民間のビジネスも、失敗の連続と多くの人の痛み、途方もない浪費を繰り返してきた。
1、原子力船「むつ」は放射能漏れを起こし、4回の実験航海だけで廃船となった。
2、高速増殖原子炉「もんじゅ」はナトリウム火災事故で20年以上まともに動かないまま、昨年末に廃炉が決まった。(ブログ筆者追加ーかかった費用はS55~H27は1兆1000億です)
3,1993年に着工した青森県六ケ所村の使用済み核燃料の再処理工場は23回も完成時期を延期し、稼働の見通しが立たない。ここまで、ざっと5兆円を費やした。
4、そして、東京電力が福島第一原発で大事故を起こした。いまだ8万人以上が避難生活を続け、事故の処理費用は現段階で20兆円を超える。
5、この負の足跡に東芝が新たなページを刻む。2006年に6000億円以上をかけて米国のウエスチングハウス社を買収した。「高すぎる買い物」と批判されたが、世界の原発市場を牛耳りたかった。当時の社長は「これからは攻めの経営で行く」と強気で語った。結果は、いろいろ隠れていた問題を見抜けず、1兆円近い損失をこうむりそうだ原発市場も東電の事故で沈んだ。利益を水増しする不正会計もあって、1万人以上をリストラしたが、まだ足りない。いや、会社の存続そのものが危うくなっている。
技術評論家で物理学者でもある、桜井淳氏はかって毎日新聞のインタビューで相次ぐ失敗の構造をこう分析した。
「ことを推し進めたいひと握りの関係者だけが意義を声高に掲げるが、そこからは客観性や必要性が読み取れないにもかかわらず、独善的に暴走することである」
過去の愚かな戦争のことも頭をよぎる。
さらに悲しい歴史が背景として加わっている。核兵器の被害を受けたトラウマが「平和利用」への強い執着につながり、冷静で合理的な判断を失わせている可能性だ。
私たちには、向いていないのである。
・
筆者の考え
◎新聞記事での中村氏の記事は以上です。費用はこれからかかる金額でなく、今までかかった金額です。今までかかった費用が「むつ」を抜いて27兆円以上ですが、これから無事収束させるのにさらにどれだけ費用がかかるかわかりません。今後原発をやめると膨大な廃炉費用が掛かります。資産は一気に負債に転じます。原発での発電は安いという神話がいかに嘘っぱちかがわかります。まったく将来のことを考えると気が遠くなりそうです。それなのに、まだ原発を続けようとするのですからきちがい沙汰です。考えてみれば、福島の事故は悲惨でしたが、原発をどんどん作り続けるのはストップしました。事故がなければもっと作り続けるのです、それももっと恐ろしいことです。
27兆円これだけあれば、福祉予算をけちらなくてもよいのになー、と思います。他の産業の発展に使っていればずいぶんよくなることでしょう。本来ながら倒産するはずの東京電力が、国策としてやってきたからと、自然エネルギーにより発電する会社にも負担させようとか言っていますが狂気の沙汰です。東京電力も東芝も普通なら倒産ですがどうでしょうか。日航は簡単に倒産させました。
それから、核兵器の被害を受けたトラウマが「平和利用」への強い執着とありますが、逆に以前岩城正夫先生が書かれたように、プルトニウムを蓄積して、日本もいつでも核兵器を作れるように、原発に執着しているという話もあります。日本の高い技術力があればすぐ作れるでしょう。おりしも、今度のトランプ大統領は、日本や韓国も、核武装して自分で守るべきだと言っているのですから。
「原発は必要なのかー『社長 島耕作』に見る原発擁護の傾向」
http://koiti-ninngen.cocolog-nifty.com/koitiblog/2011/04/post-be21.html
という、2011年4月に書いた筆者のブログが、昨日今日と急にアクセスが増えています。
2チャンネルに誰かが転載したようです。今日朝から夕方8時ころまでで50件以上で、もっと増えると思います。
今後巨大地震の発生が予想されます。少しの地震でも原発は異常ありません、と放送していますが、こんな危険なものを再稼働していくなんてどうかしています。政治家、役人、原子力企業等々、前も責任を取らず今後も責任を取らないのでしょう。
2017年2月15日 追記 東芝倒産か?
今日の新聞各紙の1面トップは、「東芝債務超過1912億円」の問題でした。毎日新聞には、「米原発不正疑い」、「半導体経営権売却も」、「決算発表延期、会長引責辞任」とあります。日経新聞には「米原発損失7125億円」とあります。
子会社の米原子炉メーカー、ウエスチングハウス(WH)による米原発建設会社の買収で、会計処理をめぐって、WH経営者による不正な圧力があった可能性が浮上。(経営幹部の不正を追及する内部通報があった)決算に影響を及ぼしかねず、監査法人が決算を承認しなかったため、急きょ発表を1か月間延期した。東芝は3期連続赤字となる。
毎日の3面では、「東芝解体の危機」と大きく見出しが出ています。
東芝は、白物家電、医療分野は売約済みで、稼ぎ頭の半導体部門も3月末までに分社化の上株式の過半数売却-すべて売却もありうる、原発部門は7千億超の巨額損失見通し。WHの株売却も検討するが、原発事業を取り巻く世界的な環境は厳しく。買い手を見つけるのは難しいのが実情だ。
原子力などに手を出して、日立、三菱などに並ぶ大企業が最悪倒産の危機がおとづれています。
毎日新聞2月16日、朝刊1面トップ、東芝、東証二部降格へ
東芝は債務超過により、東証2部に降格し、翌年も債務超過が解消できなければ、上場は廃止されることになり、東芝は瀬戸際に立たされた形だ。
◎ 2006年にWH(ウエスチングハウス)を6000億で買い取ったのがつまづきの始まり。
東芝はすでに3万人のリストラ。残る19万人の社員はどうなるのでしょうか。
2019年1月17日 追記
安倍内閣が日米原子力協定に基づいて、国策として推進してきた、原発の海外輸出が相次いで失敗し、すべて計画がすべての全滅したことが明らかになりました。
2011年の福島原発事故以来、世界的に原発のコストが上がり、取りやめになるものが相次ぎました。とドイツは完全に原発はやめて再生可能エネルギーにシフトしています。日本の原発輸出は現状では 全滅です。日本は原発の技術が世界1と自賛していました。福島原発により日本国民の負担は21,5兆円に上るとみられています。廃炉が決定したモンジュも1兆円をかけています。これから廃炉に向けて膨大な費用が掛かります。
1、東芝は原子力開発のために2006年に購入したウェスチングハウスが巨額の赤字を出しあわや倒産の危機となり、ドル箱の半導体部分を売り払っています。
2、三菱重工がトルコの黒海に2017年建設予定の原発受注をコストがかかりすぎると断念しました。三菱重工はフランスアレバ社と提携して、原発販売を進めようとしていました。トルコの原発は安倍首相が2013年、訪問を繰り返し受注しようとしたものです。
3、日立製作所が、英国アングルシー島での原発建設を断念しました。安全対策を強めるためのコストがかかりすぎると判断したためである。またベトナム、リトアニアでの計画も中止となりました。
日本はすでに47トンのプルト二ウムを持っていて、、国際的な非難を浴びている。プルトニウムの発電を行うモンジュはすでに破綻した。混合MOX燃料も稼働している原発が4基と少なくほとんど使用されていない。
日仏で共同開発していた高速炉実証炉アストリッド(ASTRID)は、フランスの電力会社が大幅な赤字で開発を中止しました。
どれだけ無駄な金をつぎ込んだことでしょう。
福島原発の廃炉費用そして全原発の将来は?
福島原発の廃炉費用は政府の見通しでは、当初11兆円でした。ところが現在の政府見積もりでは22兆円だという。ところが老舗シンクタンクの日本経済研究センターの見積もりではなんと50~70兆円になるといいます。この費用は東京電力ではとても不可能で、国の税金だ払わなければならない。そして何よりもうすでに20兆円支払い済みで、これからどれだけかかるのかわからない状況です。
しかし、福島原発事故は大変恐ろしく悲しい事故でしたが、この事故により世界が原発で発電する方向にストップがかかりほかのエネルギーに依存するようになったのは世界にとって喜ばしいことだったのです。
イギリスの原発であるフィニッド発電所は規模の小さな発電所ですが、廃炉に今まですでに20年かかっています。ところが放射能濃度があまり下がらず、いったん休んで放射能濃度が下がってから、工事を再開するのであと50年かかるというのです。費用は900億円だそうです。
イギリスでは廃炉費用に29基で8兆8500億円を見込んでいるにもかかわらず、日本では54基もあるのに3兆円しか見込んでいないそうです。実際はどれほどかかるのでしょうか、気が遠くなる費用でしょう。こんなとてつもなく費用の掛かる原発を、優れている、安くで済むと言って推進してきた学者、政府、企業の人たちはまだうそをつきつづけているのです。
最近のコメント